「国会議員がそこまで」2月17日
『組み体操事故防止へ超党派議連発足』という見出しの小さな記事が掲載されました。記事によると、『児童・生徒の骨折が相次ぐ組み体操など学校での重大事故の防止を目指す超党派の議員連盟が16日発足』したのだそうです。会長は元文科相で、総会には現文科相も出席し、『組み体操を否定しないが、エスカレートしないようどのように対応すべきか議論することは重要』と述べたそうです。
政治の世界には詳しくありませんが、様々な議連が存在することは知っています。日韓議連が政府間の対立を緩和するための模索をしている、などの記事も目にします。そうした議連に比べて、今回の「組み体操」議連には、違和感を感じます。
その理由はいくつかありますが、その一つが、こんなに「小さな問題」についてまで、国会議員が提言をするのか、ということです。教育に関する提言であれば、歴史教育のあり方、英語教育振興、理科教育の充実というような広がりのあるテーマについては、まさに我が国の今後のあり方に結びつく課題であり、民意を受けた政治の役割があるように思うのですが。
次には、これが何か別の意図をもった活動なのではないか、という疑念が浮かびます。今まで、教育に関する政治家の提言は大きな方向性を示すもので、具体的な指導についてあれこれ言うことはありませんでした。新しく教科化すべき、授業時間数を増やすべき、専門の教員を配置すべき、というような提言はあっても、組み体操のタワーは小学校では4段まで、というような提言、悪く言えば介入はなかったのです。
安倍総理、麻生副総理、谷垣幹事長という現在の政権中枢を占める3氏が小泉総理の後継を争った自民党総裁選においては、教育クーポン制や義務教育の延長など教育問題が争われましたが、そのときも、指導の方法は現場の教員に委ねるという姿勢は貫かれていました。今回の議連結成が、今後学校での指導の細かい部分についても政治が介入する前例作りとなってしまうのではないかという思いを捨てきれないのです。
さらに、記事によると、『組み体操に関する提言を2月中に文部科学省に提出』とのことで、わずか2週間あまり、実質2,3回の議論で提言が作られることについても、そんな軽い扱いなのか、という感じがします。おそらく、実態と問題点をざっとおさらいし、それで一部の議員によって元々用意されていた結論を微修正して提言、というのが実情でしょう。それでいて、超党派の国会議員による提言となれば、その重さは確実に教育行政を縛ることになります。こうした前例を積み重ねて欲しくはないという思いです。そもそも、今回の組み体操についていえば、文部科学省が通知を出せば済むことなのですから。
こうした手法は、やがて地方自治体にも浸透し、地方議員がいくつかの自治体を超えて議連を作り、公平公正な提言という形で教育行政に介入するというケースが多発するというのは、私の勘ぐりすぎでしょうか。
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