ヒマローグ

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分かって言っている?

2018-09-07 08:16:34 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「意味不明」8月30日
 『教員勤務時間 年間で管理 文科省 休み期間は上限下げ』という見出しの記事が掲載されました。記事によると新制度は、『春先や年度末など繁忙期の勤務時間の上限を10時間に延長する一方、夏休み期間などは短くして学校閉庁日を設けやすくすることで、増加傾向にある時間外勤務を抑制する狙い』だということです。
 全く意味不明の改革です。そもそもこの「変形労働時間制」は、記事にもあるとおり、『製造業や宿泊業など繁忙期と閑散期がはっきりしている業種』で採用されるものです。分かりやすく言えば、海水浴場近くの旅館では、夏は大勢の観光客が押し寄せ、てんてこ舞いであるにもかかわらず、冬は一人も客がこない日が続き、従業員は、掃除を済ますとやることがなく、ぼんやりしたり、おしゃべりをしたりして時間を潰す、というような状況下で導入されるのです。
 もちろん、営業を休止したり、従業員を辞めさせたりできればよいのですが、正社員として雇用している場合、従業員の収入を絶つことになってしまうのでそうした行為は認められないため、夏は10時間、冬は6時間というようにして、雇用主にとっては、繁忙期にアルバイトを増やして人件費が増えるのを防ぐというメリット、従業員には、年間を通せば同じ勤務時間と給与を確保できるというメリットがあるのです。
 つまり、繁忙期には8時間勤務ではこなせない仕事があるという条件だけでなく、閑散期には8時間分の仕事がない、という職種において効力を発揮する制度なのです。では、教員の場合はどうでしょうか。確かに、春先や年度末という「繁忙期」はあります。しかし、長期休業中が「閑散期」かといえば、そうではありません。現在では、長期休業中に教委等が主催する研修会が開かれることが多いですし、校内でも研修会や各種委員会をこの時期に集中させているケースが多いのです。さらに、部活やプール指導なども普段以上に設定されています。
 また、「繁忙期」と「閑散期」が、一律でないことも教職の特徴です。例えば、小学校6年生の担任にとっては、冬季は「超繁忙期」となります。私立や国立の中学受験者のために、内申書を作成しなければならないからです。都心部の小学校では、100通以上の内申書を書く担任も珍しくありません。30人の子供のうち、25人が受験、多い子供は7校、少ない子供でも3校受験という感じです。実際には第一志望校に合格すれば滑り止めは受験しないので、平均で3~4校となりますが、内申書が必要なことにかわりはありません。
 しかし、1~5年生の担任や専科教員は特に多忙ではないのです。だからといって、6年生の担任だけ、他の教員とは異なる労働時間にするわけにはいきません。それでは校務が停滞してしまうからです。学校行事による偏りも存在します。学芸会があれば、音楽専科教員は目の回る忙しさですが、家庭科専科教員は、普段と変わりません。展覧会となれば、逆になります。
 学校の実態を知った人の案なのでしょうか。大変疑問です。

 

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