ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

仲介、口利き、働きかけ

2016-02-11 08:05:19 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「仲介はOK?」2月5日
 『外国語助手事業 遠藤氏仲介認める 厚労省側に働きかけは否定』という見出しの記事が掲載されました。遠藤五輪担当相がALT派遣企業と担当官僚の面会を仲介した件についての記事です。記事によると、遠藤大臣は、『「法の解釈について厚労省の窓口を秘書が紹介した」と認めたが、「それ以上の働きかけなどしていない」とした』のだそうです。
 真実は分かりませんが、私の経験からすれば、概ね事実を述べているように思います。私も教委の指導室長をしていたとき、議員から様々な紹介やお願いをされたことがあります。ただし、一度として、「○○は私の知り合いなんだけど、特別な配慮をしてやってくれないか」というニュアンスのことは言われたことはなかったからです。
 「私の知人が、電子黒板の学校への導入を目指して研究開発している。私も電子黒板は活用の仕方によっては子供にとって有益な影響を与える、以前から思い、関心をもっていた。でも知人は、学校の授業の実情がよく分からないと言っている。授業における黒板の使われ方について質問に答えられるようであれば時間を取ってもらうことは可能か」。例えば、こんな感じです。
 あるいは、「知人のお嬢さんが、学校における図書室のあり方について関心をもっているらしい。まだ大学生なんだけど、図書館補助員に応募する資格はあるのかな」などという問い合わせもありました。
 「時間を取ってほしい」という件について言えば、当時教委には電子黒板導入という予定はありませんでしたし、議会で要望されているということもありませんでした。つまり、議員の知人の業者を使え、というような圧力が存在する状況ではありませでした。後者の問い合わせも、あくまでも問い合わせであり、採用決定はいつか、応募者はどれくらいか、などといった他者には明らかになっていない情報を聞き出すものではありませんでした。
 しかし、私の在任中に電子黒板の導入が決まり、業者選定という段階になったとき、私の頭には、「あのときの会社だな」という思いが浮かぶのは確実です。また、後者についても、実際に議員の知人のお嬢さんが応募してくれば、「ああ、彼女は~」となることは間違いありません。それでも、これらをもって、「働きかけ」とは言えません。仲介でさえもありません。でも、こうした動きを第三者が知ったとき、どう感じるか、中には議員が行政をねじ曲げたと捉える人もいると思われます。
 幸いなことに、私の任期中に電子黒板が導入されることはありませんでしたし、図書館補助員は個人ではなく派遣会社を選ぶ入札で行われることになり、私も余分な気を遣わずに済みました。
 ただ、この程度のことはどこでも誰でも行っていることだと思います。それをどう評価するかは一人一人が考えることです。私自身一切禁止されれば楽かもしれないという思いと、そんなことをすればかえって仲介や働きかけが地下深く隠れてしまい、密室性が高まってしまうという懸念との間で判断が付きかねています。

 

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