これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。
2009年4月11日発行
ゆきちゃん通信 NO26
由紀子に必要な生活って?
由紀子の中にはとてもゆっくりとした時間が流れているんだなぁ~と、
最近よく思います。
私たちは生活の中に刺激を求めます。
特に高校生ぐらいの頃は
毎日何かしらの変化が欲しいと思いながら生活をしていました。
いろいろな場所に出かけ、
仲間達と楽しい時間を過ごす事に幸せを感じていました。
だから、ついつい由紀子もそうなのだと思いがちですが、
それは違うのかもしれません。
逆に、思春期で心が大きく揺れ始めた由紀子は
「静かに暮らしたい!」と叫び続けているようでした。
決まった生活リズムの中で気持ちを安定させ、
自然に湧き上がってくる興味や好奇心に身を任せながら
ゆっくりと心を成長させていく・・・
きっと由紀子たちはそんな世界の人たちなのです。
学校の行事のたびに不安定になる由紀子を見ながら、
それを強く感じるようになりました。
先生方がいろいろ手を尽くして由紀子を支えてくださって、
写真のような笑顔を引き出してくださっても、
次の行事の波がその笑顔を奪っていってしまうのです。
それはもう、学校の中での対応をどうするとかの問題ではなく、
高等部の時間の流れに由紀子がついて行けなくなってしまったのです。
前号の「ゆきちゃん通信」の中で
私は入学に際して
「嵐を乗り越えてながら、
由紀子はたくましくなって行くと信じて
新しい春を進みたいと思います。」
と書きました。
あの時は本当にそう思っていました。
でも、この一年の由紀子の姿を見ていると、
もう楽にしてやってもいいのではないかと思うようになりました。
そして、そんなときに「さつき園」との出会いに恵まれました。
これまでもそうでしたが、
由紀子の前には自然と進むべき道が現れるのです。
「さつき園」との出会い!
由紀子の将来に向けて、通所できる施設を探し始めたのですが、
環境の変化に弱くこだわりも強い由紀子に合う施設を探すのは
大変だろうと思っていました。
予想通り、最初に利用した施設では初日から大きなパニックを起こして、
途中で迎えに行くことに・・・。(汗)
覚悟はしていましたが、やはり前途は多難でした!
それでも、相談員の方に別の施設を探していただき、
再度、チャレンジすることにしました!
めげないぞ!(笑)
最初の失敗を繰り返さないために、
施設との打ち合わせを綿密にして、
由紀子に下見もさせました。
うまく行って欲しいとは思っていましたが、
正直、今回もそんなに簡単には行かないだろうと思っていました。
ところが・・・です!
利用初日、
また電話がかかってくるかもしれない!という私の心配をよそに、
由紀子は夕方まで施設で過ごして
笑顔いっぱい、ルンルン♪で帰ってきました。
そして、由紀子が自分から「また行きたい!」と言ったのです。
今まで、どこに連れて行っても、
そんなことは言ったことはなかったのに・・・
ビックリでした。
その施設が「さつき園」でした。
その日から祭日はさつき園に行くことが
由紀子のスケジュールになりました。
あんなに心配した施設選びだったのに、
こんなに簡単に見つかるなんて・・・
これは運命の出会いだったかも!(笑)
でも、本当はこの出会いの裏には、
さつき園のスタッフのすばらしい準備があったんです。
初日を迎える前に由紀子の情報をスタッフ全員が把握していて、
由紀子がゆっくり過ごせるようにきちんと配慮をしてくれていたのです。
この施設に由紀子を託してみよう!
そう思いました。
家族の思い
3 学期に入って、由紀子がやっと環境に慣れて
落ち着きを取り戻してきたのを見て、
この調子なら2年生に進級もできるかもしれないと思いました。
もしも、次の学年で由紀子がまた荒れたらその時は施設へ移そう・・・
主人と2人でそう話していました。
でも、それを聞いた由紀子の姉達が言ったのです。
「それでは、学校に嫌な思い出を残したままお別れをすることになる。
新しい施設も荒れた状態の由紀子を迎え入れるのは大変だろう!
由紀子には学歴は必要ない!
状態が良い時に、由紀子が行きたい所へ移してやった方がいい!」
言われてみればその通りです。
今なら、学校のみなさんに感謝をしながら笑顔でお別れができます。
今がベストタイミングなのかもしれない。
私たち夫婦は娘達の言葉に背中を押されて、
由紀子の新しい進路を決めました。
最後になりましたが、
由紀子の担任をしてくださったS 岡先生とS 藤先生です。
お二人には一年間、本当にご苦労をおかけしました。
2学期の終わり頃だったでしょうか
S 岡先生が
「最近、パニックの時の
由紀子さんの心の叫びが聞こえるような気がします。」
と、言ってくださいました。
その言葉が本当にうれしかった!!
お二人が支えてくださったから
由紀子は一年間頑張れたのだと思います。
本当にありがとうございました。
《編集後記》
こんなに早く学校生活が終わってしまうのならば、
もっと頻繁に通信を発行すればよかったと反省しています。
先日、さつき園で入所式がありました。
今までは同年齢の集団の中で生活をしていましたが、
さつき園では十六歳の由紀子が一番年下です。
若い!(笑)
式の時に年配の利用者さんに
「ゆきこちゃんは元気かねぇ~。」と
笑顔で声をかけてもらいました。
きっとご迷惑をおかけしていると思うのですが、
由紀子のパニックの受け止め方がとても大人の反応でした。
以前、私はある授産施設に体験入所をした事があります。
三日間、ボランティアではなく
利用者さんと同じ立場でお仕事をさせていただいたのです。
その時に感じたのが、施設の中には社会があるという事でした。
いろいろな年齢層の利用者さんがいて、
それぞれの立場で人間関係の役割を担っていました。
入所式で声を掛けていただいたときにその事を思い出して、
そうだ、由紀子は社会人になったんだ!と思い、
新しい生活の始まりを実感しました。
ただ、施設に移ったからと言って、
これからの生活が全てうまく行くとは思ってはいません。
きっとこれからもいろんな事があると思います。
でも、由紀子が初めて自己選択した進路ですから、
ここでがんばってみようと思っています。
これからも応援してください。
=END=
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。
2009年4月11日発行
ゆきちゃん通信 NO26
由紀子に必要な生活って?
由紀子の中にはとてもゆっくりとした時間が流れているんだなぁ~と、
最近よく思います。
私たちは生活の中に刺激を求めます。
特に高校生ぐらいの頃は
毎日何かしらの変化が欲しいと思いながら生活をしていました。
いろいろな場所に出かけ、
仲間達と楽しい時間を過ごす事に幸せを感じていました。
だから、ついつい由紀子もそうなのだと思いがちですが、
それは違うのかもしれません。
逆に、思春期で心が大きく揺れ始めた由紀子は
「静かに暮らしたい!」と叫び続けているようでした。
決まった生活リズムの中で気持ちを安定させ、
自然に湧き上がってくる興味や好奇心に身を任せながら
ゆっくりと心を成長させていく・・・
きっと由紀子たちはそんな世界の人たちなのです。
学校の行事のたびに不安定になる由紀子を見ながら、
それを強く感じるようになりました。
先生方がいろいろ手を尽くして由紀子を支えてくださって、
写真のような笑顔を引き出してくださっても、
次の行事の波がその笑顔を奪っていってしまうのです。
それはもう、学校の中での対応をどうするとかの問題ではなく、
高等部の時間の流れに由紀子がついて行けなくなってしまったのです。
前号の「ゆきちゃん通信」の中で
私は入学に際して
「嵐を乗り越えてながら、
由紀子はたくましくなって行くと信じて
新しい春を進みたいと思います。」
と書きました。
あの時は本当にそう思っていました。
でも、この一年の由紀子の姿を見ていると、
もう楽にしてやってもいいのではないかと思うようになりました。
そして、そんなときに「さつき園」との出会いに恵まれました。
これまでもそうでしたが、
由紀子の前には自然と進むべき道が現れるのです。
「さつき園」との出会い!
由紀子の将来に向けて、通所できる施設を探し始めたのですが、
環境の変化に弱くこだわりも強い由紀子に合う施設を探すのは
大変だろうと思っていました。
予想通り、最初に利用した施設では初日から大きなパニックを起こして、
途中で迎えに行くことに・・・。(汗)
覚悟はしていましたが、やはり前途は多難でした!
それでも、相談員の方に別の施設を探していただき、
再度、チャレンジすることにしました!
めげないぞ!(笑)
最初の失敗を繰り返さないために、
施設との打ち合わせを綿密にして、
由紀子に下見もさせました。
うまく行って欲しいとは思っていましたが、
正直、今回もそんなに簡単には行かないだろうと思っていました。
ところが・・・です!
利用初日、
また電話がかかってくるかもしれない!という私の心配をよそに、
由紀子は夕方まで施設で過ごして
笑顔いっぱい、ルンルン♪で帰ってきました。
そして、由紀子が自分から「また行きたい!」と言ったのです。
今まで、どこに連れて行っても、
そんなことは言ったことはなかったのに・・・
ビックリでした。
その施設が「さつき園」でした。
その日から祭日はさつき園に行くことが
由紀子のスケジュールになりました。
あんなに心配した施設選びだったのに、
こんなに簡単に見つかるなんて・・・
これは運命の出会いだったかも!(笑)
でも、本当はこの出会いの裏には、
さつき園のスタッフのすばらしい準備があったんです。
初日を迎える前に由紀子の情報をスタッフ全員が把握していて、
由紀子がゆっくり過ごせるようにきちんと配慮をしてくれていたのです。
この施設に由紀子を託してみよう!
そう思いました。
家族の思い
3 学期に入って、由紀子がやっと環境に慣れて
落ち着きを取り戻してきたのを見て、
この調子なら2年生に進級もできるかもしれないと思いました。
もしも、次の学年で由紀子がまた荒れたらその時は施設へ移そう・・・
主人と2人でそう話していました。
でも、それを聞いた由紀子の姉達が言ったのです。
「それでは、学校に嫌な思い出を残したままお別れをすることになる。
新しい施設も荒れた状態の由紀子を迎え入れるのは大変だろう!
由紀子には学歴は必要ない!
状態が良い時に、由紀子が行きたい所へ移してやった方がいい!」
言われてみればその通りです。
今なら、学校のみなさんに感謝をしながら笑顔でお別れができます。
今がベストタイミングなのかもしれない。
私たち夫婦は娘達の言葉に背中を押されて、
由紀子の新しい進路を決めました。
最後になりましたが、
由紀子の担任をしてくださったS 岡先生とS 藤先生です。
お二人には一年間、本当にご苦労をおかけしました。
2学期の終わり頃だったでしょうか
S 岡先生が
「最近、パニックの時の
由紀子さんの心の叫びが聞こえるような気がします。」
と、言ってくださいました。
その言葉が本当にうれしかった!!
お二人が支えてくださったから
由紀子は一年間頑張れたのだと思います。
本当にありがとうございました。
《編集後記》
こんなに早く学校生活が終わってしまうのならば、
もっと頻繁に通信を発行すればよかったと反省しています。
先日、さつき園で入所式がありました。
今までは同年齢の集団の中で生活をしていましたが、
さつき園では十六歳の由紀子が一番年下です。
若い!(笑)
式の時に年配の利用者さんに
「ゆきこちゃんは元気かねぇ~。」と
笑顔で声をかけてもらいました。
きっとご迷惑をおかけしていると思うのですが、
由紀子のパニックの受け止め方がとても大人の反応でした。
以前、私はある授産施設に体験入所をした事があります。
三日間、ボランティアではなく
利用者さんと同じ立場でお仕事をさせていただいたのです。
その時に感じたのが、施設の中には社会があるという事でした。
いろいろな年齢層の利用者さんがいて、
それぞれの立場で人間関係の役割を担っていました。
入所式で声を掛けていただいたときにその事を思い出して、
そうだ、由紀子は社会人になったんだ!と思い、
新しい生活の始まりを実感しました。
ただ、施設に移ったからと言って、
これからの生活が全てうまく行くとは思ってはいません。
きっとこれからもいろんな事があると思います。
でも、由紀子が初めて自己選択した進路ですから、
ここでがんばってみようと思っています。
これからも応援してください。
=END=