ゆきちゃん通信++tomiの日記++

自閉症の娘、由紀子の毎日と
母の生活を綴っています。

ゆきちゃん通信 No20 その2

2004年03月31日 | 新聞 ゆきちゃん通信
これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。


2004年3月24日発行

ゆきちゃん通信 No20 その2


セッション


2月に由紀子がお世話になっている先生方3人が集まってくださって
音楽のセッションをしました。



会話が苦手な由紀子ですが
音楽でならばコミュニケーションの輪を広げて行く事ができるはずだと、
みなさん思ってくださっています。

その3人の先生に囲まれて、
一緒に音楽を楽しめた幸せな時間でした。

音楽を一人で楽しむだけでなく、
たくさんの人と楽しむ事ができるようになってくれる事を願っています。


その3人の先生方の紹介です

S木先生


交流学級の担任の先生です。
由紀子をクラスの一員としてしっかり受け入れてくださいました。

いつも少し離れた所からクラスの子どもたちと由紀子の関係を見守っていて
関係が崩れそうになると素早く対処をしてくださいました。

由紀子に障害があってもそれを特別な存在とせず、
自然体で関わってくれる3組の空気は
先生の姿勢そのものでした。

由紀子がパニックを起こすたびに5組まで来て、
私にその原因を確認してくださいました。

由紀子を理解しようとしてくださる気持ちが伝わってきて
本当に嬉しかった母です。

1年間ありがとうございました。


H崎先生



由紀子に音楽のレッスンをしてくださる先生です。
月に一度JRに乗って先生の所までレッスンに通っています。

音楽は好きなくせにこだわりも強い由紀子は
先生とレッスンを始めた頃、
泣き叫んでピアノの蓋も開けさせないほどの抵抗をしました。

何もレッスンできないままで終ってしまうことが数回続きましたが、
先生は由紀子の中の可能性を信じて根気強く接してくださいました。

そして今では由紀子も心を開いて
一緒に音楽を楽しめるようになりました。

あのひどいパニックを潜り抜けてできた関係です。

きっとこの先長く由紀子の音楽の世界に関わってくださると思います。


K村先生



由紀子が大好きな担任の先生です。
この1年間不安定だった由紀子をしっかり支えていただきました。

由紀子の障害を丸ごと受け止めてくださって
いつも由紀子が落ち着けるように配慮をしてくださいました。

先生と一緒なら頑張れる事がたくさんありました。

由紀子の成長の芽を見逃さず
いろんな事に挑戦させてくださる先生で
パソコンが好きだとわかると将来に役立つようにと、文章入力
を指導してくださいました。

今では一人でワードを使って長文の入力ができるようになりました。

先生との関係は由紀子の描く絵の中にもしっかり表れています。

以前は絵の中に由紀子だけしか描かれる事はなかったのに、
夏ごろからはいつもK村先生が一緒に描かれるようになりました。

私ですら頼まなければ描いてもらえないのに…。
これは母のひがみです。(笑)

さようなら先生!

こんなに好きな先生なのにお別れをしなくてはならなくなりました。

3月は由紀子にとって本当に淋しい時です。
この数年ずっと大好きな人とお別れをしてきました。
だから、今回も由紀子は早い段階から
先生との別れを感じ取っていたようです。
必死に先生との別れから目をそらそうとしている姿がかわいそうです。

いっそ泣いてくれれば早く立ち直れるのに・・・と思う母です。

先生!
本当にお世話になりました。
ありがとうございました。


編集後記
転校をして一年が過ぎようとしています。
思春期の由紀子の変化に振り回された一年でした。

そして、もう一度由紀子の障害について
見直しをする事ができた一年でした。

自傷が始まり、こだわりが強くなっていく由紀子を見て、
自閉症がどれほど暮らしにくい障害かということを
再認識させられました。

そんな時に主治医の先生や、K村先生が
私の話を聞いて支えてくださいました。

だから、ここまで頑張って来られた。

そんな気がしています。

この時期に長崎に来る事ができて本当によかったと思っています。

だた、由紀子と私を支えてくださっていたK村先生が
転勤されることになりました。

受け持っていただいた時から
一年で転勤かもしれないと聞いていたので
覚悟はしていましたが、
本当に幸せな一年だったので、
「あと一年・・・」、と思わずにはいられませんでした。

別れと出会いを繰り返して由紀子の理解者が増えていくのだ!と、
今年も自分に言い聞かせている母です

=END=
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ゆきちゃん通信 No20 その1

2004年03月31日 | 新聞 ゆきちゃん通信
これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。


2004年3月24日発行

ゆきちゃん通信 No20 その1


通信の発行が遅れている間に
また春がめぐってきてしまいました。

長崎に来て2度目の春です。

去年は転校という大きな変化の中で
自傷行為が始まってしまった由紀子ですが、
さて、その後は・・・。

今回は5年生の由紀子の様子を
まとめてお伝えしたいと思います。

また2枚になっちゃいました。(笑)


障害って・・・・。


転校のストレスと思春期の揺れからか
自傷行為が始まってしまった由紀子ですが、
前回お伝えした通り生活のパターンを整える事で
ひどい自傷はなくなりました。

今でもパニックを起こすと頭を叩きますが、
まわりの人に静止されると
「ごめんなさい!」と言ってやめるようになりました。

自分でもやめなくてはいけないと思っているようです。

自閉症の人にとってはストレスの塊のような環境の中で暮らして、
イライラが溜まるのは理解できますが、
自傷は由紀子にとっても、
まわりにとっても辛すぎる行為です。

できたら頭を叩く事ではなく
他の方法で湧きあがるイライラを
発散できるようになってほしいと思っています。

他にも思春期に入って
自閉症の特徴が強く出るようになってきました。

もともと音に対するこだわりを持っている由紀子ですが、
給食の時間に放送されるお話のテープを聴くと
箸を持てないほど動揺するようになりました。

耳を押さえて最後にはパニックをおこします。

先生方と何か方法はないかと話し合いをして、
とりあえず放送の日だけ別室で給食を取ることにしました。

その後、主治医の先生のアドバイスで
ヘッドホーンを試してみることになり、
それがうまく行って今では聞く事のできない放送の日に限り
ヘッドホーンをつけて、
好きな音楽を聴きながらみんなと給食を食べています。



まわりの子どもたちの反応が心配でしたが、
子どもたちは由紀子の障害はそういうものなのだと
よく理解をして当然の事のように受け入れてくれました。

聞くことができない音があるのは自閉症からくる障害です。

以前だったら、
音に慣らす事や我慢をさせる事を考えたかもしれませんが、
今は由紀子の障害は我慢だけでは乗りこえられないと思っています。

由紀子が我慢をしてくれれば、まわりは楽ですが
我慢だらけの生活を送る由紀子はどれほど辛い事か、
それを今頃になって気がついた母です。

これからは、どうすればこだわりを和らげる事ができるか、
その事を考えてやりたいと思っています。


空を飛んだ日

西部地区の特殊学級交流遠足に行って、
初めてロープーウエイに乗りました。

事前に家族で下見に行った時に
怖くて乗れなかったので心配をしたのですが、
大好きな担任のK村先生と一緒なら大丈夫だったようです。

窓から外を見て

「ハクに乗ったの!」

と感激をした由紀子です。



ハクとは「千と千尋の神隠し」に出てくる竜のことです。
気分はすっかりハクの背中に乗った千尋です。(笑)


きれいな物

平和学習で原爆資料館や平和公園へ行きました。

原爆や、平和の意味を理解できない由紀子に
この日の目的を持たせるために先生が考えてくださったのが
写真を撮るということです。

お題は「きれいなもの」です。

平和公園で由紀子が見つけたきれいな物はこの千羽鶴でした。



この他にも花や風景の写真がたくさんありました。

そこには由紀子が感じたきれいな物がいっぱい映し出されていました。

この写真を見ながら由紀子に何を撮ったのかを聞いたら、
笑顔で一言「たなばたさま!」と答えました。

そう言われれば、そう見えないこともないけど…(笑)


やせました!!

ぽっこりお腹がトレードマークだった由紀子ですが、
秋から冬にかけてダイエット大作戦を決行して
5キロの減量に成功しました。

去年の春の血液検査で『脂肪肝の疑いあり!』と、
恐ろしい結果が出ていましたが、
先日行った検査では『異常なし』でした。

由紀子も2月で11歳になりました。
身長も一年間で7センチも伸びてすごくお姉さんになりました。

どうやってやせたのか?

それは秋に家に戻って来ていたねーねーの功績です。

母は相変わらず

♪ダイエットは明日から~~!♪

です。
ポリポリ (・・*)ゞ






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花見

2004年03月31日 | ゆきちゃんの日記
長崎も桜が満開になりました。 

近くの平和公園も桜がとてもきれいです。 


昨日、駅に向かうバスの窓から
その桜が見えたので由紀子を花見に誘ってみました。 

「ゆきちゃん! 
明日、弁当を持ってここにお花見に来ようか?!」 

お弁当に反応した由紀子は承知してくれました。 

さて、朝からお弁当を作って出かける準備をして
由紀子を誘ったのですが、 

「ビーズをしてからね!」

 「パズルをしてからね!」 

と、理由をつけてなかなか立ち上がりません。 

できたら機嫌良く花見がしたいので
由紀子が行く気になるのを待つことにしました。 

平和公園はバスで10分です。

時間はいっぱいあるし、
焦らない!焦らない! 

そして、11時半になって
やっと由紀子が行く気になりました。 
(お腹がすいてきたせいかも・・・。)

二人で平和公園へ出発! 

ここからは私と由紀子の会話です。 

tomi「見て!ゆきちゃん!!お花がきれいだねえ!!」
(~▽~@)♪♪♪ 

ゆき「おべんとう!!」 

tomi「待って! お花を見てからね!」 

ゆき「お花を見たらお弁当を食べようね!!」
(-_-;)
 
tomi「ゆきちゃん!写真を撮ろうね! そこに立って!!」
 
ゆき「写真を撮ったら お弁当食べようね!」(-_-;)  

ーーーーーお弁当タイム!-----

tomi「おいしかった?」 

ゆき「うん!!おうちに帰ろうか!!」
(~▽~@)♪♪♪ 



この間、わずかに30分です。
(o_ _)o パタッ 

多分こうなるとは思っていました。 

由紀子は完全に花より弁当です。(笑) 

でも、その後必死に説得して本屋に連れ出すことに成功!! 

久しぶりに駅のショッピングビルに行きました。 

そこでも、ただ本を読んで、
スーパーでチラシを集めただけで終わりなのですが、 
家の中に閉じこもっていることを思えば
外に出られただけでもよしとします。 







=END=
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現川の春

2004年03月30日 | ゆきちゃんの日記
久しぶりに現川へ音楽のレッスンに行きました。
 
学習発表会での独唱のおかげで、
歌うことに自信を持った由紀子は、
先生にピアノで伴奏をしてもらってたくさん歌を歌ってきました。 

いつも母はレッスンの間は
現川のあちらこちらを写真を撮りながら徘徊しています。 

現川はもう春爛漫! 




山沿いにソメイヨシノの大木が満開でした。 

その写真を撮るときに、
由紀子の歌声が聞こえてきました。 

「涙そうそう」でした。 

ここにレッスンに来始めた頃、
近所に響きわたっていたのは由紀子の泣き声でした。 

それが今では、歌声です。
本当によかった!(^▽^喜)  


さて、由紀子の歌ですが、
最近英語の歌にこっています。 

アラジンのテーマ曲「ホールニューワールド」もその一つ。 

自信たっぷりに怪しげな英語(?)で歌います。 

英語と理解できるのはたった一言・・・

「ホールニューワールド」だけ!(笑) 

先生に聞かせたら大受けでした。
(V^-°)イエイ!


=END=
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まーまーとお買い物

2004年03月29日 | ゆきちゃんの日記
由紀子には行けない場所がたくさんあるのですが、
近所のスーパーの2階もその一つです。 

以前、そこにアンパンマンのゲーム機が置かれていて、
近づくとバイキンマンの声で
「バイバイキ~ン!」と叫ばれたのがきっかけで
行けなくなりました。(笑) 

私たちには笑い話のようなことですが、
由紀子は真剣に嫌みたいです。 

今はそのゲーム機もなくなっているのですが、
何度説明しても信用してくれず、
ずっと2階は行けない場所のままでした。 
 
ところが、今日まーまーと2人でお買い物に行って
その壁を乗り越えてきました。 

そのスーパーは本とお菓子が2階に置いてあるのですが、
本を買いにいこうという誘いに乗ったようです。 

今までもこの誘いは何度も使ったのに・・・
今日はどうして誘いに乗ったのか? 

それはわかりませんが、
きっと以前から自分でも2階に行きたいと思っていたのでしょう。 

でも、やはり音が気になるらしく、
2階に上がる前から耳を抑えて完全に音を遮断していたようです。 
 

2階にも由紀子が大好きなチラシがいっぱい置いてあります。 
そのチラシを集めたいのですが、
そのためには耳をおさえている手を離さなくてなりません。 

さて、由紀子はどうしたでしょうか? 

なんと!

まーまーに自分の耳を抑えさせたのだそうです。

ヾ(@^▽^@)ノ わはは 

しかも、耳の抑え方にも決まりがあるようで、
耳たぶを折り曲げて後ろから指で穴をふさぐ・・・。
 
間違えると
「ちがう!ここ!」と言われたと、
まーまーが笑っていました。 

結局、2階にいる間中
まーまーは指示どおり、
由紀子の後ろから耳を抑えて売り場を歩いたそうで・・・(笑) 

帰ってきたときにまーまーがとても嬉しそうでした。 

自分と一緒のときに由紀子がこだわりを乗り越えた!

それは由紀子のそばにいる人が時々経験するこの上ない快感です。
 
こうやってどんどん由紀子の障害にのめり込んでいくのです。 

我が家ではこの現象を
「由紀子のめろめろパンチ!」と呼びます。(笑)


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