これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。
ゆきちゃん通信 No17
1902年7月15日発行
気が付くともう7月‥・。
なんだか今年の時間は
いつもより早く進んでいくような気がします。
でも、振り返るといろいろな事があった1学朝!
泣き笑いの4年生の1学期をお伝えします
4月 遠足だ!
歓迎遠足といえば我家の近所の中央公園!
と、思っていたら、
なんと今年は海だといいます。
六方海岸で遊ぶのだそうです
大喜びの由紀子を横目に私はとっても心配な事がありました。
それはゆきこが海に行くと必ず全身ずぶぬれになる事…。
『ちょっと足だけ入っていい?』
『おひざぐらいまではいい?』
『手をついてもいい?』
『あー!お腹が濡れちゃった。
もう全部浸かってもいいでしょう?』
こうやって、言葉ではなく表情で訴えながら
じわじわと海の中へと沈んでいくのが常なのです。
念のために着替えを一式持たせて送り出しました。
その結果は‥・予想通り!
O田先生と「海には入りません!」と約束をしたらしいのですが、
お友達がいっせいに海辺に向かって走って行くのを見て
我慢ができなかったようです。
O田先生が振り向いた時にはすでに海の中で
ニコニコしていたとの事でした。
遠浅の海岸ですからまあ溺れる事はないんですけどね!(笑)
海の誘惑に負けてしまった由紀ちゃんでした。
もう一つの話・‥
この遠足ではうれしい事もありました。
遠足の帰り、
歩くのが遅い由紀子はみんなよりも30分近く遅れてしまいました。
担任のO田先生は1年生の“としきくん”と
すでに学校へ戻っていて、
由紀子は他の先生と歩いてきているというので、
私はO田先生と校庭で待つことに…。
そこへ交流学級のH田先生が来て、
由紀子を迎えに行ってくるといわれるのです。
「わざわざ行かなくても大丈夫ですよ!」
と、言うと
「いえ!由紀ちゃんも僕のクラスの子ですから…。」
そう言い残してH田先生は走っていかれました。
「僕のクラスの子‥・」そのうしろ姿を見送りながら
「ありがとうございます!」と、頭を下げた私です。
五月 がんばった運動会
今年の由紀子の出番は
ダンス「ロック八木節」・徒競走・三人四脚でのリレーの三つでした。
ダンスはとても楽しそうに!
そして、徒競走はビリながらも
みんなの声援にニコニコして走りました。
でも、三人四脚のリレーは
O田先生やお友だちに手伝ってもらっていっぱい練習をしたのに
残念ながら本番ではうまく走ることができませんでした。
ぶっちぎりの一番でもらつたバトンだったのに、
次に渡す時にはぶっちぎりのビリになってしまいました。
クラスのみんなはきっと悔しかつたと思います。
でも、私が、「ごめんね!」と声をかけると
子ども達は言ったのです。
「おばちやん!
ゆきちゃんはがんばったよ!
今日が一番がんばってたんだよ!」
思いがけない子ども達の優しい言葉に涙が出ました。
「由紀子ちゃんがいるから
回りの子ども達の思いやりの心が大きく育った」と、
ある方が言って下さいました。
もし、その言葉が本当だとしたら、
いつもみんなに助けてもらうばかりの由紀子ですが、
少しは恩返しができているのでしょうか
あじさい
O田先生と、キーボードを練習する由紀子です。
一本指のピアニストだった由紀子が
最近は5本指を使うようになりました。
和音の楽しさもわかってきたようです。
由紀子の情操面を大切にしてくださる先生のおかげで、
苦手だった絵も楽しそうに描くようになりました。
紫陽花の絵を描かせる時に先生は、
「まず本物の花に触ってごらん!」
といわれました。
全身で紫陽花を感じる事のできた由紀子は
こんなにすてきな紫陽花の絵を描きました。
将来はピアニストか画家か、迷う母です(笑)
6月 スーパーにて・・・。
『おいしい牛乳』のコーマーシャルをご存知ですか?
牛が草原を
「はやく絞ってもらわなくっちゃ!」
と言いながら走っていくコマーシャルです。
そのセリフの中に
「すみませ~ん!しぼって!しぼってくださ~い!」
と、言うのがあります。
それがお気に入りの由紀子は
「すみません」の言葉にすぐ反応します。
スーパーの通路で立ち話をしている人にどいて欲しくて、
私が「すみません」と言った瞬間、横から
「しぼって!しぼってくださ~い!!」
立ち話をしていたおばさん達は
びっくりして振り向きました。
私もびっくりしてゆきこの手を引っ張って
走りながら「すみません!」
すると、また「しぼって~!しぼってくださ~い!」
私は思わず由紀子の口を押さえました。
その光景を見ていたレジのお姉さんは
お腹を抱えて大笑いです。
さて、やっと買い物を済ませてレジへ・・・。
レジでお金を払う時に10円を落としてしまいました。
お姉さんが拾ってくれたので思わず
「すみません!」・・・( ̄O ̄;アッ!
「しぼって!しぼってくださ~い!!」
お姉さんは立ち直れないくらい笑いこけていました。
まるでマンガのような生活です。
編集後記
長崎大学附属養護学校の学校説明会に行ってきました。
由紀子と同じような障害を持ちながら
由紀子の何倍もがんばっている子ども達の姿に
少し焦りを感じて帰ってきました。
何ができて、何ができないのか、
自分のことをよくわからせる、
その事をふまえて
一生懸命に子ども達の指導をされている
先生方の姿がとても印象的でした。
この学校に入るためには受験があります。
机上の受験ではありませんが、
由紀子を育てていく私の姿勢が問われる
受験のような気がしています
=END=
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。
ゆきちゃん通信 No17
1902年7月15日発行
気が付くともう7月‥・。
なんだか今年の時間は
いつもより早く進んでいくような気がします。
でも、振り返るといろいろな事があった1学朝!
泣き笑いの4年生の1学期をお伝えします
4月 遠足だ!
歓迎遠足といえば我家の近所の中央公園!
と、思っていたら、
なんと今年は海だといいます。
六方海岸で遊ぶのだそうです
大喜びの由紀子を横目に私はとっても心配な事がありました。
それはゆきこが海に行くと必ず全身ずぶぬれになる事…。
『ちょっと足だけ入っていい?』
『おひざぐらいまではいい?』
『手をついてもいい?』
『あー!お腹が濡れちゃった。
もう全部浸かってもいいでしょう?』
こうやって、言葉ではなく表情で訴えながら
じわじわと海の中へと沈んでいくのが常なのです。
念のために着替えを一式持たせて送り出しました。
その結果は‥・予想通り!
O田先生と「海には入りません!」と約束をしたらしいのですが、
お友達がいっせいに海辺に向かって走って行くのを見て
我慢ができなかったようです。
O田先生が振り向いた時にはすでに海の中で
ニコニコしていたとの事でした。
遠浅の海岸ですからまあ溺れる事はないんですけどね!(笑)
海の誘惑に負けてしまった由紀ちゃんでした。
もう一つの話・‥
この遠足ではうれしい事もありました。
遠足の帰り、
歩くのが遅い由紀子はみんなよりも30分近く遅れてしまいました。
担任のO田先生は1年生の“としきくん”と
すでに学校へ戻っていて、
由紀子は他の先生と歩いてきているというので、
私はO田先生と校庭で待つことに…。
そこへ交流学級のH田先生が来て、
由紀子を迎えに行ってくるといわれるのです。
「わざわざ行かなくても大丈夫ですよ!」
と、言うと
「いえ!由紀ちゃんも僕のクラスの子ですから…。」
そう言い残してH田先生は走っていかれました。
「僕のクラスの子‥・」そのうしろ姿を見送りながら
「ありがとうございます!」と、頭を下げた私です。
五月 がんばった運動会
今年の由紀子の出番は
ダンス「ロック八木節」・徒競走・三人四脚でのリレーの三つでした。
ダンスはとても楽しそうに!
そして、徒競走はビリながらも
みんなの声援にニコニコして走りました。
でも、三人四脚のリレーは
O田先生やお友だちに手伝ってもらっていっぱい練習をしたのに
残念ながら本番ではうまく走ることができませんでした。
ぶっちぎりの一番でもらつたバトンだったのに、
次に渡す時にはぶっちぎりのビリになってしまいました。
クラスのみんなはきっと悔しかつたと思います。
でも、私が、「ごめんね!」と声をかけると
子ども達は言ったのです。
「おばちやん!
ゆきちゃんはがんばったよ!
今日が一番がんばってたんだよ!」
思いがけない子ども達の優しい言葉に涙が出ました。
「由紀子ちゃんがいるから
回りの子ども達の思いやりの心が大きく育った」と、
ある方が言って下さいました。
もし、その言葉が本当だとしたら、
いつもみんなに助けてもらうばかりの由紀子ですが、
少しは恩返しができているのでしょうか
あじさい
O田先生と、キーボードを練習する由紀子です。
一本指のピアニストだった由紀子が
最近は5本指を使うようになりました。
和音の楽しさもわかってきたようです。
由紀子の情操面を大切にしてくださる先生のおかげで、
苦手だった絵も楽しそうに描くようになりました。
紫陽花の絵を描かせる時に先生は、
「まず本物の花に触ってごらん!」
といわれました。
全身で紫陽花を感じる事のできた由紀子は
こんなにすてきな紫陽花の絵を描きました。
将来はピアニストか画家か、迷う母です(笑)
6月 スーパーにて・・・。
『おいしい牛乳』のコーマーシャルをご存知ですか?
牛が草原を
「はやく絞ってもらわなくっちゃ!」
と言いながら走っていくコマーシャルです。
そのセリフの中に
「すみませ~ん!しぼって!しぼってくださ~い!」
と、言うのがあります。
それがお気に入りの由紀子は
「すみません」の言葉にすぐ反応します。
スーパーの通路で立ち話をしている人にどいて欲しくて、
私が「すみません」と言った瞬間、横から
「しぼって!しぼってくださ~い!!」
立ち話をしていたおばさん達は
びっくりして振り向きました。
私もびっくりしてゆきこの手を引っ張って
走りながら「すみません!」
すると、また「しぼって~!しぼってくださ~い!」
私は思わず由紀子の口を押さえました。
その光景を見ていたレジのお姉さんは
お腹を抱えて大笑いです。
さて、やっと買い物を済ませてレジへ・・・。
レジでお金を払う時に10円を落としてしまいました。
お姉さんが拾ってくれたので思わず
「すみません!」・・・( ̄O ̄;アッ!
「しぼって!しぼってくださ~い!!」
お姉さんは立ち直れないくらい笑いこけていました。
まるでマンガのような生活です。
編集後記
長崎大学附属養護学校の学校説明会に行ってきました。
由紀子と同じような障害を持ちながら
由紀子の何倍もがんばっている子ども達の姿に
少し焦りを感じて帰ってきました。
何ができて、何ができないのか、
自分のことをよくわからせる、
その事をふまえて
一生懸命に子ども達の指導をされている
先生方の姿がとても印象的でした。
この学校に入るためには受験があります。
机上の受験ではありませんが、
由紀子を育てていく私の姿勢が問われる
受験のような気がしています
=END=