ゆきちゃん通信++tomiの日記++

自閉症の娘、由紀子の毎日と
母の生活を綴っています。

ゆきちゃん通信 No19 その1

2003年08月01日 | 新聞 ゆきちゃん通信
これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。


2003年8月16日発行
ゆきちゃん通信No19



我が家はこの春、
由紀子が生まれ育った福江を離れ長崎へ移り住みました。

もっと早くに通信を出すつもりでいたのですが、
転校という大きな生活の変化と思春期で揺れる由紀子の事を
支えるのに必死でなかなか通信を書く余裕がありませんでした。

でも、早いもので新しい学校での生活も
夏休みを迎えようとしています。

やっと学校の中に居場所を作り上げた感じがします。

今回の通信は福江の思い出と長崎に来てからのゆきこの変化、
そして家族の戦いをお伝えします。

久々の発行という事で今回も2枚つづりになりました。
読むのが大変だと思いますが、よろしくお付き合いください。


旅立ち

三月三十一日、
私たちはフェリーで福江を発ちました。

早朝の出発だというのに港には学校の先生方やお友達が
たくさん見送りに来てくれました。

今まで由紀子は先生方をこの港で何人も見送りました。

悲しい別れもたくさんありました。
でも、今度は由紀子が見送られる番です。

その事をどれくらい理解できるのか・・・
説明はしたものの自信のないままその日を迎えてしまいました。

船の上からみんなに手を振る由紀子の姿は
ちゃんと理解しているようにも見えましたが、
船の中でみんなにもらったプレゼントを楽しそうに広げる姿は
まるで旅行に出かけて、数日後には元の生活に戻れると
信じているように見えました。

新しい生活が始まった時に由紀子がどんな反応を示すのか
不安が一杯の旅立ちでした。

でも、船はもう出たのです。
後戻りはできません。

行くしかない!
後は何とかなるさ!

そんな気持ちの母でした。

でも、あれから3ヶ月が過ぎて思うのですが、
あの時、由紀子はやはりちゃんと現実を理解していたと思います。

あの日から福小のことを全く話さなくなった由紀子でした。

それはいつも、大切な人とお別れた後に
思い出を心の中に封じ込めてしまうのと同じ方法です。

福小での思い出も心のどこかにしまい込んで
しっかり鍵をかけてしまったようです。

辛いことから自分を守る為に由紀子が身に付けた
悲しい心の整理の仕方です。

でも、その鍵もそろそろ開かれる予感がします。

先日、H田先生に頂いた色紙を見つけ出した由紀子が
みんなの写真を見ながらこっそりと
一人ずつ名前を言っているのを聞いてしまったのです。(笑)

それは転校して今の生活が安定してきた証拠かもしれません。

夏休みにはO田先生と再会の約束もあります。
先生に会ったときにどんな反応を示すのか、
とても楽しみな母です。

その時の様子はまた次回の通信でお伝えしたいと思います。


O田先生ありがとうございました!!

写真は4年生の時に5組の担任をしてくださったO田先生との記念写真です。

4年生の時には母がまめに通信を発行しなかったので
O田先生との思い出をあまりお伝えする事ができませんでした。
反省しています。

先生に受け持っていただいたのは1 年間でしたが、
一日一日がとても穏やかで楽しい1年でした。

その短い時間の中で由紀子の新しい可能性をた
くさん引き出していただきました。

紙に絵を描くことが苦手だった由紀子が
何か行事があるたびに絵を描くようになった事には
感激の母でした。

由紀子が描いた絵を見て私が誉めると
「そうやろう?すごかやろう?」
と親ばかの私以上にいつも誉めてくださいましたね。(笑)

その作品の中でも自画像の版画は
長い時間をかけて作り上げた作品だけに
表情のかわいらしさは最高でした。(また親ばかですが・・・。)

そして、持久走大会の前には
毎朝、由紀子をひっぱって走ってくれましたね。
いつも、何をするときでも必ず一緒にがんばってくれた先生。

由紀子を成長させる為にはどうすればいいのか
身をもって教えていただきました。

由紀子だけではなく、
いろいろな事で精神的に疲れていた私を
支えてくださったのもO田先生でした。

小さな事でくよくよ悩んでいた私の相談に
親身になってのってくださって、
時には一緒に泣いてくださいましたね。
先生本当にありがとうございました。



転校する時にT田先生が下さった色紙です。

なつかしいお友達の笑顔がいっぱいです。

何をする時にもいつも誰かが由紀子の側にいてくれました。

4年前小学校は特殊学級に入れようと決めた時に
一番不安だったのが子ども達との関係でした。

でも、その心配は全く無用でした。

優しかった福小の子ども達には心から感謝しています。
みんなありがとう!

そして、H田先生には思春期に入って
難しくなった由紀子を交流学級で支えて頂きました。

授業中に突然泣きだしたり、
我ままを言って先生を困らせる事も度々でした。

その様子をクラスの子ども達に聞くたびに
本当に申し訳なく思いながら
由紀子の変化に戸惑うばかりでどうすることもできない母でした。

なのに「お母さん大丈夫ですよ!」といつも笑顔で答えてくれた先生。
由紀子が3 組の中に居場所を持ち続けられたのは先生のおかげです。
本当にありがとうございました。


=END=
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« からだ探検隊 準備編 | トップ | ゆきちゃん通信 No19 その2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

新聞 ゆきちゃん通信」カテゴリの最新記事