浦安中年期外伝

カミさんを師匠に修行中の週末の料理やポタリング、読み散らしてている本の事など

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歳をとると日々が過ぎて行くのがどんどん早くなっていきます。ブログの更新がやや散漫になりつつありますが、しっかり元気でやっております。
いろいろなジャンルの本を読み漁り書き散らしてきたウェブサイトは今年で20年を迎えました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 浦安中年期外伝(読書編)
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その牙を捨てよ

2008-12-27 23:29:24 | 出来事
ジョセフ・E・スティグリッツの「世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃」読了。このなかでスティグリッツは『戦争を悪とするか善とするかにかかわらず、あるいはイラク戦争を成功と考えるか失敗と考えるかにかかわらず、ほとんどのアメリカ人は、国のために全てを懸けた人々に適切な医療と保障手当を提供するのが道徳上の義務であることに同意している』と書いていた。ノーム・チョムスキーも語り口はまるで天気予報のような悠長さがあった。

この二人に共通する姿勢はまるで、コーマック・マッカーシーの「平原の町」に登場したエデュアルドのようだ。彼はメキシコの国境付近に生きるアウトローなのだが、度々越境してきては勝手な行動を繰り返すアメリカ人に対してこんな台詞を吐く。

『当たり前のことだがどういう結果になるかを無視してもその結果は生じる。』
アメリカがこれから今負う責務は、正にこの無視し続けてきた結果と向き合う事そのものに他ならない。経済学者が気付くずっとずっと前にこの傲慢なアメリカの行為のツケについて思いを馳せていたマッカーシーの着眼点は余りにも鋭い。

アメリカは今大変な窮地に立っている。いまこの時点で「核」を放棄し自らその牙を捨てる勇気が必要な時期にきていると僕は感じた。