浦安中年期外伝

カミさんを師匠に修行中の週末の料理やポタリング、読み散らしてている本の事など

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化学療法を断ってみることにした件について

2014-10-26 19:23:00 | 出来事
いろいろあって自転車に乗れない週末が続いております。そして今週10/24金曜日は会社をお休みして仙台へ夫婦二人で帰省です。

送信者 ドロップボックス2014



当日の駆け込んだ新幹線は普通席が満席でグリーン車。場違い、アウェー感で満載な一時間半はあっと言う間で転寝する暇すらありませんでした。

送信者 ドロップボックス2014


今回の仙台行きは義母の入院。大腸がんがみつかった義母は今年のはじめに大腸を一部切除しましたが、先日の経過観察で肝臓に数個のがん細胞がみつかり、更に追加でPET検査で他の部位への転移も発見され切除ではなく化学療法による治療を受けることになったということでした。

がん細胞は数個で、場所がどうもはっきりしない。早期も早期のがん治療らしい。一方で切れない。だから化学療法なのはわかるがその内容や方法について、電話ではどうもわからない。そもそも義父母がちゃんと説明されている感じではない。

のんきにしているとわからないままになりそうだったので、今回入院時に付き添って医師からの説明を一緒に聞こうということになったのでした。

そんな訳で入院手続き前の義父母と合流。

金曜日の朝の病院は入院手続きのラッシュで、まるでホテルのチェックインのような感じでありました。部屋に案内されるや、点滴のための手術があるので、入院の説明とかはその後でという。

手術?と戸惑う僕らに看護婦さんがもってきてくれたのは一枚のパンフレット。

「皮下埋め込み型ポート」。

静脈カテーテルからの点滴を容易にするために皮下に丁度500円硬貨くらいのポートを埋め込むのだという。それって治療が終わったらどうなるの?

不要になったら取ることもできるけれども、そのままにしておく場合もある。みたいなちょっとやっぱりよく解らない。解らないまま義母は連れられて一時間程で手術を終えて帰ってきました。

皮下なので技術的には容易な手術なのでしょうが本人はものすごくショックだったようです。施術した医師(恐ろしく若くて美人さんでびっくり)の方が義母の主治医である事がわかりこの医師に伺うと、化学治療は基本的にずっと続けてもらうものだという。3週間(確か彼女はそう言ったと思う)のスパンでずっと繰り返していくことになる。だからこそこの埋め込みポートなんだという訳なのでありました。

詳しい化学治療の内容は薬剤師から説明があるという。あれ?この患者さんたちは話が半分なのはなんでなんだと向こうも思っていたのかもしれません。

そして薬剤師さんからの説明。その内容を聞けば聞くほど「聞いてないよ」というかびっくりの連続なのでありました。

化学治療はFOLFIRI(フォルフィリ)治療と呼ばれるものであるということ。この治療は二週間を一回のスパンで、48時間の点滴を繰り返す。48時間の最初の三時間は吐き気止めと体内の薬品濃度を急速にあげるための点滴でこれは病院で実施。残りは濃度を維持するために時間をかけてやる点滴となるので体調や事情に応じて自宅でも可能で普段どおり生活している人もいるという。

送信者 ドロップボックス2014


こんなのあるなら先にくれよと。

但しこれはあくまで抗がん剤治療になるのでがん細胞がなくなるとか消えるということではなく、今あるがん細胞を増殖させない大きくしないために行うものなのだそうです。

加えて副作用の説明。吐き気やだるさ、免疫機能の低下そして若干の脱毛などなど。しかしこれは個人差があるので、やってみないとどの程度でるかはわからない。特に吐き気は個人差が大きいようですが、これはそれを抑える薬がいろいろと出てきているので体調などに応じて調整をしていくことになるという。

確かに早期なのでこうした治療で効果が期待できるという話はもっともなのですが、一方で義母は75歳、体力に自信がなく、すぐに食べられなくなってしまったりする人なので、この化学療法で普段の生活がままならなくなる可能性があることを強く懸念していたのでありました。

薬剤師さんは各々の患者さんのどこにどの程度がんがあるのか具体的な事は「知らない」上に僕ら側がよくわかっていないことに違和感があったようです。

主治医の方にきちんと伺った方がよいのではないでしょうか。と。そりゃそうだ。そりゃそうなんだけど、順番がなんだかみんなおかしくないかい。

化学療法に賭けるのか、やらない場合はどうなるのかあまりにも僕らがわかっていることは少ない。少ないまま、化学療法を受けるということになって入院しちゃってポートまで埋め込んで、今になってこの議論をしていること自体が後手なのだけど、病室で僕らは真剣に話し合いを続けました。

夕方主治医の回診があり、がんの状況についてもう少し詳しく教えてもらう機会がやってきました。「腹膜播種」という状態だという。(これも口頭だったのを必死に覚えて後でネットで調べまくったよ。)腹膜に大腸がんから飛び火したがん細胞が数個見つかっている。この腹膜のがんは切除ができない。故に取れる方法としては化学療法しかないのだそうです。

薬剤師さんからの話を聞いて化学療法を受ける気持ちが失せつつある僕らは。もしやらないとなったらどうなるのか。

美人さんの主治医の方はちょっと言葉を失うくらいびっくりされていました。やるって言う話になっているからポートの手術もしたのに・・・。

だから順番がなーとも言えず。

この話の報告を受けた今まで外来での担当医の外科部長の医師も駆けつけてきて説明をしてくれました。いろいろ言ってましたが、早い話が健康で早期であるからこその化学療法なのであって、やらないのは勿体ないと。

そりゃもっともだ。僕もそうは思う。しかし実際にやるのは僕ではなくて義母なのだ。一般論として化学療法が効果もあって良いというのはそうなのだろうけども、果たして義母にとってそれは幸せなことなのかどうなのか。

暗くなってもまだ続く家族の議論。こんなに深い話になるなんて思ってもいなかったけれども、考えてみればこのために僕らは集まって来た訳で、この日この時に語り合えたのはほんと良かったと思う。

そしてみんなで出した結論は今朝仙台に向かっているときには夢想にもしていなかったもの。「化学治療はやめる」というものでありました。

体力があって戦う気がある人はできると義母は申しておりましたが、僕から見れば医師の勧めを断る。自分の人生に決断を下すというのはとても真似のできない勇気のある判断だったと思う。僕は自分の事でそんな勇気を出せるとは思えない。

ほんとにこれでよかったのか、どうなのか、それはわからない。化学療法をやったら、やらなかった場合の結果を知ることはできないし、その逆もそう。前もってもう少しちゃんと説明して欲しかったとか、言い出せばそれはいろいろあるけれども、それでも僕らは最善の判断をしたのだと思う。

そして振り返らず前を向いて歩いていきましょう。

義父に昔義父母と四人で行った沖縄に孫と、なんて言ったら温泉とかなって返されました。温泉っすか。温泉もみんなで何度も行ったけど、お義父さんいつも飲んで寝ちゃって外風呂に入ったことなんかないですやんか。

送信者 ドロップボックス2014


帰りの新幹線の途上で今度は実父が夕飯の嚥下がうまくいかず救急車で搬送されたとの連絡が入りました。施設のスタッフと弟の連携対応で無事事なきを得ましたが、ほんとこの三日間は翻弄されっぱなしでもうへとへとであります。

2014年9月の読書メーター

2014-10-04 00:14:00 | 読書
期末の割りには健闘した感じですね

2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1799ページ
ナイス数:118ナイス

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