横浜映画サークル

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メンバーが選ぶ2022年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(1/3)

2023-01-11 15:13:59 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーからメールで頂いた2022年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品です。作品西暦は特記がなければ日本公開年度、次に製作国です。メンバーが2022年後半に観たもので公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルBDなどを含めて選んでいます。これから見たい映画も取り上げていいとしています。今回は新型コロナのため映画館で観るのを控えた会員もいますので、2022年後半に観た映画でなくてもいいとしています。また、感想などでネタバレの要素がある場合がありますのでご了承ください。

H.Oさん

コーダあいのうた(2021米仏カナダ、日本公開2022年1月 監督シアン・ヘダー)

耳の聞こえない両親と兄のために、耳が聞こえる娘が、家族の通訳や家業の漁業を手伝いながら、名門音楽大学を目指すというコメディドラマ映画で、数々の賞も受賞しているのでご存の方も多いと思います。

 キャスティングに実際に聴覚障害の役者を使うなどチャレンジングな作品で、コミカルな場面や、しみじみと感動させられる場面も多い作品で、確実に泣けます

実は、この映画のロケ地であるマサチューセッツ州グロスターは、私が20代の頃、仕事で滞在していた町で、個人的には特別な思い入れもある作品です。グロースターは、日本で食べる高級魚クロマグロの多くが水揚げされる漁港街。

あれから30年以上経っても街は昔のままで、少し驚きましたが、懐かしかったです。美しい田舎町グロースターの雰囲気も見どころです!ぜひ楽しんでください。

この映画は、2014年のフランス映画『エール』という作品のリメイクで、この作品もアマゾンでも見れますので、合わせてお楽しみください。

 (下の画像は公式サイトから、画像左:美しい港町グロスターで漁師を営む家族4人。左端に主人公の娘さん、中央の両親と右端の兄は耳が聞こえない。画像右:漁船の上の娘さん)

画像出典左と右:『コーダあいのうた』公式サイト(閲覧2023/1/11)

 

O.Aさん

2022年後半で印象に残った作品にある共通点がありました

1本目『夜明けまでバス停で(2022年10月8日公開   監督 高橋伴明)

2020年11月16日に東京都渋谷区幡ヶ谷でホームレスの女性が殺害された事件から着想を得て製作された本作。

後半に出てくるホームレスの柄本明(74歳)は全共闘世代の生き残りで手製の爆弾を「腹腹時計」をもとに作成し都庁に仕掛けるという描写がある。

自身も全共闘世代の高橋伴明監督(73歳)の憤りが投影されているのであろう。

高橋監督は安保闘争から端を発する全共闘世代の敗北が現在の貧困、格差社会、政治腐敗の元凶になったと信じているのであろう。

(下の画像左:バス停で眠る主人公。画像右:柄本明扮するホームレス)

画像出典左:ks-cinema夜明けまでバス停で ©2022「夜が明けるまでバス停で」製作委員会https://www.ks-cinema.com/movie/yogaakerumade/ (閲覧2023/1/9)     画像出典右:映画ナタリー板谷由夏の主演作「夜明けまでバス停で」予告公開、出演者コメントも到着https://natalie.mu/eiga/gallery/news/492009/1891441 (閲覧2023/1/9)

2本目『母性(2022年11月23日公開 監督 廣木隆一)

本編のミステリー要素とは直接関係はないが、主人公の永野芽郁(23歳)の父親(三浦誠己)が若い頃に学生運動に身を投じていた設定。ところが、三浦誠己の年齢は47歳なので、どう考えても歳が合わない。若すぎるのだ。

原作者の湊かなえ(50歳)は、学生運動に参加していた全共闘世代を「あの人たちはヴェトナム戦争も日米安保もどうでもよくて、親に対する不満のはけ口を外に向けていただけ」と分析している。映画の中で上記のセリフが出て来る。これも世代のギャップなのか?

(下の画像左:主人公役永野芽郁。画像右:父親役三浦誠己)

画像出典左:FASHION PRESS湊かなえの小説『母性』実写映画化“母と娘”を巡るミステリー、戸田恵梨香&永野芽郁が親子役にhttps://www.fashion-press.net/news/80343 (閲覧2023/1/9)   画像出典右:MOVIE WALKER“母娘論争”が勃発?母娘限定試写の感想で読み解く、映画『母性』が叩きつけるメッセージhttps://moviewalker.jp/news/article/1111833/image11275042/ (閲覧2023/1/9)

3本目『仮面ライダーBLACK SUN(2022年10月28日配信 監督 白石和彌)

1987年10月4日から1988年10月9日までTBS系列で放送された『仮面ライダーBLACK』のリメイク。

現在(2022年)パート過去(1972年)パート2つの世代で描かれる全10話のシリーズ。現在パートは時代を反映してか、外国人排斥運動やヘイトスピーチのメタファーに溢れていた。一方、テレビシリーズにはなかった過去パートの描写がまんま全共闘の学生運動になっている。

監督が若松プロ出身の白石和彌(48歳)なのも納得。湊かなえと白石和彌は、ほぼ同世代でありながら全共闘世代に対する捉え方がここまで違うのかと驚いた。

(下の画像の左は西島秀俊、変身して仮面ライダーBLACK SUNに、右は中村倫也、変身して仮面ライダーSHADOW MOONになる)

画像出典:Virtualgorilla+『仮面ライダーBLACK SUN』10月28日よりAmazonで配信開始 全10話で「怪人たちの群像劇」描く 主題歌は超学生©️石森プロ・ADK EM・東映https://virtualgorillaplus.com/drama/kamen-rider-black-sun/ (閲覧2023/1/9)

 

Aさん

ザリガニの鳴くところ(原題/Where the Crawdads Sing直訳ザリガニが歌う場所 2022年アメリカ 監督/オリビア・ニューマン 原作/ディーリア・オーエンズ)

今回はダントツに良い映画が一本あったので、それについてだけ書きたいと思う。

先ず原作について。女性動物学者であるディーリア・オーエンズは60代でこの初めてのミステリー小説を書き始め、69歳で発表すると瞬く間に全世界で1500万部のベストセラーとなった。

あらすじ ノースカロライナ州の湿地帯で、6歳から一人きりで暮らすカイアという少女がいた。父親のDVにより一家は離散したのだ。交通手段はボートだけ教育も受けず湿地の自然の中で生きる術を学ぶ。そんな彼女の暮らしの中に入り込んできた二人の男性。読み書きを教えてくれた初恋の少年テイトとは将来を夢見るが大学に行くと音沙汰がなくなり、街の名士の放蕩息子であるチェイスとは結婚の約束までしておきながら裏切られる。失意のなか、彼女は湿地で一人きり生きることを決め、かつてテイトに勧められた本の出版を目指し、動植物を描くことに没頭する。そんな時、湿地でチェイスの死体が発見される。果たして事故か他殺か。先ず疑いをかけられたのは、カイアだったのだが……。

原作は単にミステリーにとどまらず、DV問題、差別問題、貧困問題、自然破壊・環境問題など訴えている点は多岐に及ぶ。それらを、ロマンスを交えながら柔らかな筆致で包んでいる。しかも動物学の視点が根底にあり、哲学的で詩的なニュアンスを漂わせている。こんなに多くの要素を持ちながら破綻が無い。久々に満足できる傑作だと思った。

映画『ザリガニの鳴くところ』は原作の大筋はもとより、湿地帯の雰囲気、カイアの家の雰囲気なども概ね原作通りで、その静謐な画面作りは素晴らしかった。ただ、原作にあったミステリー要素、カイア以外の犯人の可能性などがあまり描かれておらず、そのため法廷シーンも少し単調で物足りないところもあった。分厚い原作に比して二時間半の映画なので、仕方のないところか。またカイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)が綺麗すぎるため、野性味やしたたかさがもっとあればなお良いと思った。

だが、この原作を映画化するのは至難の業だろうと思っていたので、特に湿地やそこに生きる動植物の映像表現は素晴らしいの一言だった。「ザリガニの鳴くところ」とは、湿地そのもので、カイアの原点とも呼ぶべきところ。淡々とした映像の中にも、彼女の凛とした生き方が静かな感動を呼ぶ。声高に叫ばなくても、思いや意図は伝わる。最後に流れるテイラー・スウィフトのオリジナルソングは、詩も曲もミステリアスな雰囲気が映画に良く合っていて余韻を残した。久々に映画らしい映画を堪能できた

(下の画像左:主人公の少女カイア。画像中:唯一の交通手段のボートのカイア。画像右:湿地でチェイスの死体が発見される。湿地の美しい景色や動植物の画像を探しましたがふさわしいものが見つかりませんでした)

画像出典左と右:一日の王 映画『ザリガニの鳴くところ』……湿地帯、孤独、初恋、裏切り、後悔、衝撃……https://blog.goo.ne.jp/taku6100/e/bb02cf6215e8cac6e3f6635393d94279 (閲覧2023/1/11)   画像出典中:otocoto“湿地の少女”は本当に殺人事件の犯人なのか?警察vs孤独なヒロインの逃走劇 映画『ザリガニの鳴くところ』https://otocoto.jp/news/zarigani-movie1103/ (閲覧2023/1/11) 

 

以上だが、他に印象に残ったのは、コロナ禍でホームレスになった女性が殺害されたという実際の事件を基にした、高橋伴明監督の『夜明けまでバス停で』。

これから観たい映画としてはある男』『宮松と山下』『母性』など、すべて邦画となった。

 

以下(2/3)へ続く。

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