映画鑑賞大学ノートが6冊になり、その中から今回は9作品を掲載しました。題名左のAAA~Dは映画の良かったものをAにしてランク付けしていますが、観た時の雰囲気で記していて、厳密なものではありません。面白くなかったというのもあります。題名の次の年数は特記なければ日本公開年、国名は製作国。以下ノート抜粋。
AAA’『芙蓉鎮』フヨウチン(1988中国 監督シェ・チン。鎮は中国語で村や町の意味。)
中国映画独特のリアリズムと重さ、暗さが強く出ているが、いい映画。チンさん・クーさんが特に好ましい人物。チンと主がホウキで遊ぶシーン、雨の中で3人立たされるシーン、ヨウの夫が殺される前の表情など、どれも印象的。支配者の入れ替わりにより態度を変える住民ら。人の本質、貧富といった差別意識をリアリスティックかつソフトなまなざしで描いている。また、愛の形だけはどの国においても、変わりはないことを感じさせた。どんな時も飄々とし、態度、表情を変えず、ひたすら音楽と主人公を愛するチンさんは素敵だ。
(下画像左:くず米を臼で引いて米豆腐にして売る主人公。画像中:主人公は不当利益を得ているとして1960年代に中国に吹き荒れていた文化大革命でのブルジョア分子として販売禁止、家が没収となり、道の掃除が命じられた。向こうに掃除しているのは右派として同様に道路掃除を命じられたチンさん。チンさんは1,2,3とリズムをとって踊るように掃除をすれば楽しいよ、と言う。画像右:文化大革命の紅衛兵に雨の中で立たされている3人、右に主人公、中にチンさん、左に二人を貶めたが自分も紅衛兵に立たされている人)
画像出典左:中国映画界の巨匠・謝晋監督の映画のスターたちhttp://japanese.china.org.cn/geino/2008-10/21/content_16645806_6.htm 閲覧2024/5/27 画像出典中:「瘋癲」という生き方~映画『芙蓉鎮』に見る文革期中国知識人の保身術https://note.com/kanshikanbun/n/n3c038a0eeba3 閲覧2024/5/27 画像出典右:中国映画「芙蓉鎮」:動乱に翻弄される中国の庶民を描くhttps://movie.hix05.com/China/china46.huyo.html#google_vignette 閲覧2024/5/27
下記Youtubeで全編2時間43分を見ることができます。日本語字幕
https://www.youtube.com/watch?v=0WSJkVEWRgg
AAA”『嘆きの天使』(1930年独、監督ジョゼフ・フォン・スタンバーグ 原題DER BLAUE ENGEL、女優ディートリッヒ)
狡猾さ、おかしさと悲惨さ。教授の変わりよう目を見張る。教授の舞台上でコケコッコーと鳴くシーン、狂ってしまうシーン、ラストシーンなど、いい。ひたすらリアリティー、厳しい現実を描き出していく映画。ローラと座長は魅力的。チャップリン映画にも共通するモノを感じた。”芸の厳しさ”~自分自身の非劇をも笑い飛ばせる、笑いに変えられる強さが必要なのだと思う。とても素晴らしい映画だが、2度と見たくないシリアスドラマ。
(下画像左:踊り子ローラ(マルレーネ・ディートリッヒ) 画像中:講義をしている教授。踊り子ローラに惹きつけられて踊り子一座に付いていく 画像右:楽屋のローラ)
画像出典左:20世紀・シネマ・パラダ イス 嘆きの天使https://cinepara.iinaa.net/Der_Blaue_Engel.html 閲覧2024/5/28 画像出典右:ゆうべ見た映画 嘆きの天使 (1930) 独☆https://ameblo.jp/jasminemariko/entry-12561241837.html 閲覧2024/5/28 画像出典右:PONYの缶詰『嘆きの天使』(1930)-587https://ponycanstyle.com/entry/2019/03/16/113419 閲覧2024/5/28
AA『帰らざる河』(1954米 監督オットー・プレミンジャー 原題RIVER OF NO RETURN)
単純なストーリーながら、その大自然やキャストに感銘を受ける。ミッチャムとモンローが特に魅力的。
(下画像左:いかだで大自然のロッキーの急流を下る右からマリリン・モンロー、ロバート・ミッチャム、少年。画像右:酒場で「帰らざる河」を歌うモンロー)
画像出典左と右:燃えよ!映画論 帰らざる河http://blog.livedoor.jp/jikogisei212/archives/2029426.html 閲覧2024/5/28
AA『コレクター』(1965年英米 監督 ウィリアム・ワイラー 原題 The Collector)
全体的に暗い雰囲気ではあるが、人の欲望、孤独といった様々な感情を描き出している。多くの愛の形があり、主のそれは、蝶に対するモノと同じである。それゆえ異常と言われるが、彼の1つ1つの感情をよく見てみると、普通の男が女に対して持つ感情となんら変わりはない。
(下画像左:蝶を集める主人公。画像右:美術大学に通う憧れの女性をクロロホルムで昏倒させ拉致し、窓のない地下室に監禁)
画像出典左:KENT FILM OFFICE The Collector(1965)https://kentfilmoffice.co.uk/filmed-in-kent/1965/10/the-collector-1965/ 閲覧2024/5/30 画像出典右:Great Movies The Collector(1965)https://madeinatlantis.com/greatmovies/the-collector/ 閲覧2024/5/30
B『疵』(キズ)(1988日本 監督 梶間俊一、主演 陣内孝則)
出だし、と音響good。ジョニー大倉、芦川よしみは、はまり役。藤谷は少々間が抜けている感じ。花形敬のイメージとしては、もっと冷たく、狂った様な雰囲気がある。
(下画像左:右に1955年頃渋谷を縄張りにした安藤組の実在した大幹部「死神」と恐れられた花形敬(はながた たかし,前科7犯,逮捕22回)役の陣内孝則。左に花形を安藤組に誘った幹部役ジョニー大倉。画像右:クラブでピアノを弾いていて花形の妻となる役藤谷美和子)
画像出典左:MIRAIL 疵https://mirail.video/title/0720456 閲覧2024/5/29 画像出典右:Xやーさん@ya_san8931#同じキャラで違う俳優を晒せ 花形敬https://x.com/ya_san8931/status/1402580380130021376 閲覧2024/5/29
C『新ゾンゲリア』(1990製作伊 監督:ロバート・マーティン 原題:THE MURDER SECRET NON AVER PAURA DELLA ZIA MARTA グーグル訳「殺人の秘密 マルタおばさんを怖がらないでください」
ストーリー設定は面白いが、坊やが殺される所は不自然。主人公の表情がいい。
(下画像左:30年ぶりにおばさんの別荘に来た主人公一家。次々殺される。画像右:殺され切断された頭部、残虐注意)
画像出典左:あーぁホラー喰っちまったダ!THE MURDER SECRET / ルチオ・フルチの新ゾンゲリアhttps://ameblo.jp/ah-a0926/entry-12676795035.html 閲覧2024/5/29 画像出典右:あびしにあん@bloodymommy 生きろ!「新ゾンゲリア」観た。https://x.com/bloodymommy/status/1268198287955247104 閲覧2024/5/29
C『女優ナナ』(1955仏伊 監督 クリスチャン=ジャック 原題 Nana)
主人公魅力に欠ける。一生懸命さ、苦労人といった大女優に必要な要素が感じられなかった。裏づけのない強がりは、スクリーンの中で、ただのキレイナ、ツンケン女が動き回っているにしかすぎない。ただお金が欲しい為に女優になるという点しか見えなかったのが残念。原作『ナナ』を上手くまとめてはいるが、少々物足りない。
(下画像:右に女優ナナ、伯爵や銀行家などの富豪が女優ナナに惹きつけられる)
画像出典不明
下記アドレスで全編を見ることができます。1時間57分、ただし仏語で字幕なし。
C’『ピアノ・レッスン』(1994仏ニュージーランド豪 監督ジェーン・カンピオン 原題 The Piano)
退屈させない画面、ストーリー展開だが、『エンジェル』と同じく、センチメンタルで、ロマンチック過ぎるところは少々辟易(へきえき)する。この映画も、やはり、表現においてでしか、人の愛情を確認できない内気で繊細な人の姿を描いている。
(下画像左:英国からニュージーランドの入植者に嫁ぐために来た主人公母娘。19世紀半ば、産業革命での貧困な多くの英国人はオーストラリアやニュージーランドに入植した。母は声が出せずに娘が代わりに話す。画像右:声の出ない母にとってピアノはかけがえのないものとして英国から持ってきたが、夫が重たいピアノを家に入れられないとして、砂浜に残され、わずかな土地と交換されてしまう。母は浜辺にピアノを弾きに通う)
画像出典左:映画.com 仏映画サイトが推薦する、カンヌ映画祭パルムドール受賞作12本https://eiga.com/news/20200607/6/ 閲覧2024/5/30 画像出典右:NewOrder 思想・美術・音楽のための覚醒器 ピアノレッスンhttp://erishiho.blog.fc2.com/blog-entry-583.html 閲覧2024/5/30
下記アドレス 映画『ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター』本予告3分18秒
D『殺したい程アイ・ラブ・ユー』(1990米 監督 ローレンス・カスダン 原題 I Love You to Death)
割と笑えるコメディー。主人公と刑事の義母がいい。しかし、フェリーニ映画の雰囲気、伊男の女たらしぶり、音楽の猿真似は、いただけない。
(下画像左:左に浮気が激しい主人公、右にその妻。画像右:浮気を発見した妻と義母は主人公を殺そうと、睡眠薬を多量に入れて料理を出すが、主人公はただ寝るだけで死なない。殺し屋を雇う)
画像出典左:【殺したいほどアイ・ラブ・ユー】映画の2021年3月おすすめ無料動画配信サービス情報どれで見れる?|テレビ放送予定で見逃した洋画をフル視聴するVOD方法https://iotmafia.com/koroshitaihodoiloveyou/ 閲覧2024/5/29 画像出典右:SONY PICTURES殺したいほどアイ・ラブ・ユーI LOVE YOU TO DEATHhttps://www.sonypictures.jp/he/2696 閲覧2024/5/29
以上です。