横浜映画サークル

サークルメンバーの交流ブログです。

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「自主上映『喜劇・いじわる大障害』と講演(立川談四桜)」へ行ってきました。

2021-11-07 17:09:21 | メンバーの投稿

『喜劇・いじわる大障害』(1971年日本、監督: 藤浦敦、立川談志当時35歳が監修)

今から50年前の作品でしたので、当時の東京の通勤ラッシュや車で渋滞する道、ファッションなど現在との違いが面白い。またトルコ風呂やホストクラブの売春が当然のように明るく描かれていて、歴史を感じさせる。女性が軽視されている当時の様子も分かるように思えた。庶民の夢と現実のギャップを面白おかしく描いた落語の世界といった映画でした。立川談四楼の講演が興味深かったので、後で記述しています。

ストーリー:田舎の富豪老舗醤油造り屋の息子主人公が、偽の壺を古物商に高く売ることに成功し、それを資金に憧れの東京に向う。東京のいとこ(立川談志)を訪ねようとするが、その途中満員電車の中で痴漢に間違われ、大事な資金の入った財布もすられてしまう。ひどい目に次々あって、やっと、いとこのアパートにたどり着くが、金がなく、ホストクラブで働くことになる。ある日道でパチンコ玉を拾い、自分と同じ見捨てられたのだとパチンコ玉に同情する。だが、そのパチンコ玉でパチンコをすると打ち止めになるまで出てしまう。競馬の馬券を偶然手に入れるがそれも当たり大儲け、偶然手に入れた宝くじも当たり、安い株券を売りつけられると急上昇、あぶく銭で大富豪の仲間になる。大富豪になり傲慢な人柄になってしまった主人公は、恋人に「昔の素朴なあなたが好きだった、今のあなたは大嫌い」と振られてしまう。小豆相場に手を出すなどで失敗し再び貧乏な生活に戻ると、恋人も戻ってくる。恋人と田舎に帰るハッピーエンド。

感想:喜劇によくみられるデフォルメした、誇張による面白さで、ストーリーが展開する。リアリズムとは全く無縁で、間抜けな与太郎ものや人情ものが混在した落語を楽しむように見させていただきました。

下の画像左は不運に憑りつかれている主人公役岡崎次郎、渋滞中のタクシー(運転手毒蝮三太夫)から、動かないのに料金だけ上がっていくので降りる場面。画像中は主人公右が、いとこ (立川談志)左の部屋にたどり着いた場面。画像右は左に手相の占い師(林家三平)、中央は主人公が占い師の手相を見ている場面、右に恋人(夏純子)。映画はカラーです。

画像出典左:シネマNAVI「中西隆三」作品検索https://www.cinemanavi.com/film_list/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E6%A4%9C%E7%B4%A2.html?search_keywords=%E4%B8%AD%E8%A5%BF%E9%9A%86%E4%B8%89 (閲覧2021/11/6)       画像出典中:チケットぴあ 喜劇・いじわる大障害 のチケット情報 https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2122503 (閲覧2021/11/6)  画像出典右:映画「喜劇いじわる大障害」JOEは来ず…https://blog.goo.ne.jp/imapon1960/e/5c169188ae53057d367bd3bf437d56b0 (閲覧2021/11/6)

 

講演(立川談四桜)の話:興味深かったところを項目に分けて箇条書。

1、立川談志参議院議員になる。

(1)「喜劇いじわる大障害」が1971年1月公開し、その年の夏の参議院選に立川談志は無所属で立候補、映画に出演したほとんどの落語家(三遊亭円楽、林家三平、三遊亭小円遊、林家木久蔵、三遊亭円歌、毒蝮三太夫、ケイシー高峰、三遊亭笑遊、三遊亭夢八など)が応援した。参議院選立候補を見据えてこの映画で人脈を作ったかもしれない。この2年前1969年に衆議院に出て落選しているので用意周到に準備したか?

(2)選挙運動:車は3まで使える。

・弟子の立川ダンプは、顔は談志に似ていないが、そっくりの声色が使えるので、談志に成りすまして呼びかけた。信号が赤になり止まると、見に来るのでばれないようにしていた。

・「団地の窓から手を振っている奥さん」「トヨペット000の運転手さん」など具体的な人に話しかけるように選挙運動をした初めての人。講演者の談四楼さんは車の趣味があり車種の型番までわかるので、談志に「あの車は日産000」ですと伝えるとその車の型番で呼びかけていた。談志は、車種は全くわからない。

・最下位でギリギリ当選した時談志は「真打は最後に上がるもんだ」と言った。

(3)参議院議員になった後:談志は無料で使える参議院会館の自室に毎日入った。

・警備が頑丈で参議院会館の入館手続きで入館目的の欄がある。入門したての談四楼さんは目的欄に正直に「けいこ」と書いたが拒否された。無難なのは「陳情」と書くのだそうだ。

・自民党に入党:談志が料亭に呼ばれると師匠の柳家小さんと佐藤栄作総理大臣がいた。師匠の小さんが折れていて、談志も従わざるを得ない状態で入党。その後師匠の小さんと対立して落語協会を脱会し、落語立川流を創設して家元となった。

(4) 沖縄開発政務次官短命:沖縄に行ったとき泡盛がおいしいので深酒をして目を真っ赤にして記者会見し、記者から「あなたは公務と酒とどちらが大切なんだ」と聞かれると「酒に決まってんだろ」と返し、わずかな期間で辞任。

2、笑点の創設

(1)大喜利の「笑点」を創設。台本も談志が書き、司会を務め、円楽や歌丸がいた。座布団運びは毒蝮三太夫が行った。

(2)毒蝮三太夫の名前は談志が付けた。山坂転んだ、湯けむりごへい太の名が考えられたが、本人は本名に近い石井よしおの名前でこれまでやってきたのでこのままがいいと言っていたが毒蝮三太夫と談志に付けられてしまった。その後この名前で親しまれるようになり本人も気に入った。

3、談四楼の入門時

(1)高校中退して落語をやりたいと談志のところに行ったが、高校卒業してから来いと返された。1.5年たって高校卒業していくと、1.5年あるからその間に考えを変えてあきらめると思っていた節がある。自動車の免許を持っています、と言うと、おそらく選挙で運転手に使えると思ったのであろう入門OKとなった。選挙では運転手を務めたが、談志は「これは修行だよ」と言っていた。

(2)談志は無責任という人がいるが違う、責任を負う、そうでなければ20人も弟子を持てるはずがない

筆者の感想:立川談志は中卒とのことだが、参議院議員にもなり、自分の落語立川流家元にもなっている。将棋の藤井聡太3冠が高校を中退したが、これらは稀なこととは思うが職業を決め、頑張れば中卒でも全く問題ないことがわかる例になるのではないかと思う。

下の画像左は高座での立川談志、画像中は談志の師匠柳家小さんの高座姿。画像右は講演者の立川談四楼の高座姿、講演ではラフなジャケット姿で、1時間舞台上で立ちながら客席に語り掛けるように話をした。

画像出典左:立川談志bot https://mobile.twitter.com/danshi_tatekawa (閲覧2021/11/7)   画像出典中:プロフィール五代目 柳家小さんhttps://columbia.jp/artist-info/kosan/prof.html (閲覧2021/11/7)  画像出典右:毎日新聞 東京オリンピック開会式の日に落語会を開いた立川談四楼さん=東京都内で2021年7月23日午後7時44分、渡部直樹撮影https://mainichi.jp/articles/20210805/k00/00m/050/179000c (閲覧2021/11/7)

 

独演会情報

・立川談四楼独演会:毎回偶数月15日開催、場所下北沢北澤八幡神社参集殿18時開演17:30会場一般2500円会員2000円。終演後軽い打ち上げ無料。

・談四楼・貞花二人会:2021/12/6(月)、お江戸上野広小路亭18時開演17:30会場当日2500円前売2000円。

以上S.Tでした。

コメント (1)
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