横浜映画サークル

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-8)北九州監禁殺人(2/6)虐待実態とサイコパス強弁他

2016-05-13 15:27:57 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

その(4-7)の続き。

以下7人の監禁殺人がどのように行われたか詳細に見ていく。

(B)第1の殺人:虎谷久美雄34

不動産業の虎谷久美雄は賃貸マンションの浴室に監禁され、通電と虐待が行われ、松永がいないときは内妻の純子が行うように命じた。【自分が直接虐待するのでなく他者に行わせる。健常者を、逆らえない空気を作り出して操るところに松永型サイコパスの重要な特徴がある】。浴室の窓は黒のごみ袋をガムテープで一面に貼り、光が遮断され、南京錠が掛っていた。玄関にも南京錠。純子が虐待に手加減をしていることが見つかれば、松永から制裁を受ける。純子は松永から喉を攻撃されて40代ながら老婆のような声になり、通電で右足の小指と薬指が癒着し親指の肉が欠けていた〔ウィキペディア〕。松永がマヨネーズの液を床に垂らし、なめろと言えば這いずってなめる。純子は何も逆らえない。

(a)通電以外に虎谷が受けていた虐待

サイコパスの虐待は人を心が存在しないロボット化することにある。ロボット化した後はロボットであることを、確認するかのように虐待を続け、あらゆる人間的なものは破壊される。衰弱死は、サイコパスにとって究極のロボット化に到達した姿で、人が完全に物体になる。虎谷の死体は首が切断され『いったいどうなっているんだ』と調べるようにバラバラに解体された。この全過程でサイコパス松永は「逆転快」報酬ドーパミンの快感を得ていると考えられる。虎谷自身は他者を虐待していないので疑似サイコパスにはなっていない。真白化状態で虐殺された。

食事制限〔17回公判〕(p27/42):1日1夜中の午前1~3時の間。松永指示のメニューが与えられた。肉・魚・野菜などの副菜は全くなく、どんぶり山盛りの白米にラード油をかけたものがほぼ毎回出された。時々うどんやインスタント棒ラーメン(九州のマルタイラーメン、具無し)が付いたり、麺類だけだったり、卵を付けることが松永の気分できまり純子が作った。白米の上に塩を山盛りにして食べさせた時があった〔論告書(p36・42)〕。こんなものを食べたらどうなるか観察するかのように食事を与える、毒殺と同じ心理(逆転認知欲求)。食事の時は台所の「領土」と称する狭いベニヤ板を敷いた場所へ出され、尻を付けて座ることが許されず、そんきょの姿勢で食事をした。「領土」以外の場所は素足で歩くことを禁じ。下駄状のものを履かせた。食事の時間は浴室を出たところから戻るまでをその都度16分、19分、23分と細かく制限し、純子にストップウォッチで測らせた。なぜこのような中途半端な時間設定なのかについて松永は「食べる時間をみはからってのこと」と答えた【犠牲者が言う通りにしないと通電される恐怖から、時間を気にしてオタオタしながら従っている姿に松永は引き付けられている。『あと1分だぞ』と言うと犠牲者があわてる。犠牲者の意思を破し、人間性を破壊する過程と言える。次のトイレ制限なども同様。純子は松永が指示したもの以外を与えることはなかった(p17/42)【もし犠牲者をかわいそうと思い指示されたもの以外を与えれば純子が虐待される。例14尼崎監禁殺人事件の角田美代子もまんじゅうの皮となった人が犠牲者に「情をかける」ことを許さない。情をかけて優しい言葉を犠牲者に発すればその人が虐待される(瑠衣や健太郎証言)】

トイレ制限:1日1回松永の許可。大便の時は全裸にしたうえ、浴室からトイレまでの床に新聞紙を敷き詰めて移動させ、全体を13分に制限した。ドアを開けたまま用便の様子を純子に監視させ、便座に腰掛けることを禁じて中腰で排便した。用便後は純子が尻や、尻を拭いたトイレットペーパーを確認し、浴室に戻した。純子が後を清掃した(p17/42)。【トイレに行かせず苦痛でどうなるか観察するように虐待(逆転認知欲求)】

睡眠制限昼間3~4時間に制限し、昼と夜を逆にした。サイコパスには昼夜の感覚が正常に働かない者がいる。前項「6)(c)サイコパスの性欲以外の本能行動の問題()睡眠欲の問題」参照。

同じ姿勢で長時間:言ったことを守らなかったなどの制裁として浴室や台所で直立不動やつま先立ちのそんきょの姿勢を長時間強制した(p7/42)。姿勢を崩せば通電される(p17/42)ので崩せない。情報元に具体的時間の記述はないが一日中もあったと思われる。例14「尼崎監禁連続殺人事件」でも角田美代子が正座を長時間強制し、床と接触する部分にこぶができ膿んでくるほどである。【同じ姿勢を長時間強制するのは人をロボット化するサイコパスの虐待特徴の一つ。旧日本軍の新兵虐待にも見られる。】

厳冬期に水シャワー:浴室で寝起きしていた虎谷に水のシャワーを浴びせた(p27/42)。前の例11「女高生監禁殺人事件」や例14「尼崎監禁連続殺人事件」でも見られる虐待。映画『凶悪』原作でもカーテン屋にサイコパス三上静男が行っている。【水で息をさせなくするなど道具として水を使いうのはサイコパスの虐待特徴の一つ。太平洋戦争旧日本軍731部隊では反抗する地元住民の中国人に水拷問を行っている。】

大便などを食べさせる:浴室で排便したものや嘔吐物を食べさせ小便をペットボトルにさせて飲ませた。食べなければ通電されるので食べる。通電で神経が侵され垂れ流し状態になってくると紙おむつがはかされた。大便がトランクスに付いたときには付いた大便を口で吸い取らせたり、拭きとったトイレットペーパーを食べさせたりした(p17/42)。【例11「女高生監禁殺人事件」で女高生に尿を飲ませたり、ゴキブリを食べさせたりしたのと類似している。サイコパスは犠牲者が嫌がることをこれでもかと、手加減せずに行う。】

以上の虐待のすべてはサイコパスの特徴を示している。

 (b)虎谷を取り込んだ松永のアプローチ法

基本はサイコパスアプローチ3区分〔懐柔(仮面)期、豹変(悪魔化)期、満足(悪魔)期〕のアプローチが繰り返されて犠牲者は取り込まれ虐殺された。ここでは繰り返された3区分を6ステップに分解して松永のアプローチの仕方を分析した。豹変期に入ると、サイコパスは逆転欲求の満足を感じるようになっており満足期と重なるようになる。また松永型サイコパスは強弁が重要な位置を占めている。〔強弁については後の項「(d)サイコパス強弁」参照〕

・ステップ1懐柔(仮面)弱みを掴む:松永はコンピュータによる競馬予想会社の共同出資話(うその話)を虎谷に持ち掛け、連日酒を共にし、安心させて、弱みになる話を巧みに聞き出す。不動産屋の虎谷は昔「部屋の消毒をしないで、消毒代金を着服した」話を聞かれるまま得意げにした。松永はこの話を逃さなかった。

・ステップ2豹変(悪魔化)弱みの実体化(書類化):掴んだ弱みを使い、松永と同じアパートに住まわせるようにし監禁が始まる。「消毒代金着服の犯罪をした事実を証明します」と言う「事実関係証明書」を作り強弁で何度も繰り返し同じ弱点を突き長時間拘束し、明け方まで眠らせず、サインするまで続ける。サインをすることで、どうでもいい、ささいな弱み実体のある弱みとなった。サイコパスには、徹夜で興奮状態を維持するものがいるが松永がそれである。この強弁長時間拘束眠らさないは松永型サイコパスが健常者を屈服させる3大手法。その後、3大手法で虎谷の娘沙織を松永と一緒に住まわせるようにした。虎谷の弱点を書類化し警察に逃げ込んでも書類があるので無駄だぞと虎谷に思わせるとともに、娘沙織を残して逃げることができないように人質にした。

【おそらく虎谷は、松永がなぜこのような行為をするのかわからず、あれよあれよと思う間にがんじがらめの監禁状態になった。この段階は逃げることができない真白化前期に当たる】

・ステップ3(懐柔、豹変の繰り返し)弱みの拡充期:ステップ2で作った書類を使い、どんな些細なことでもでっち上げて、ステップ1、2を繰り返したながら弱みを拡充し、さらにがんじがらめにする次期。ステップ1、2と同様3大手法が威力を発揮する。「私は娘の沙織(仮称当時10歳)に頻繁に性的な嫌がらせをした」旨の、また「私は緒方純子に対し強姦未遂を犯しました」旨の「事実確認証明書」を作りサインさせた。いずれも虎谷の身に覚えのないことだが、3大手法で折れてしまう。折れるまで続ける。また、顔写真を撮り、逃走したら「事実関係証明書」と「写真を警察に出す」「ヤクザを呼んで追い掛け回す」(pp17-18/42)と脅した。虎谷は完全に自分の心を失い、言いなりになるロボット化へと向かった。

・ステップ4(懐柔、豹変の繰り返し)金銭の要求と虐待:口止め料や慰謝料の名目で多額の金銭を要求されるままに渡した。犯罪の証明書があり、松永の強弁があるので、警察沙汰にはできない。また、娘の沙織の監視があるのでさらに逃げられない。沙織は虎谷に不審な言動があれば直ちに松永へ報告しなければ食事制限や通電を受ける。実家からは63回に分け1500万円以上を送金させた。実家から金が出せなくなると、多額の借金を負わせた(p17/42)。要求に応じなければ通電などの虐待が強化される。【この段階で完全な真白化後期になっている。松永に言われれば何でもする】

・ステップ5(満足期)虐待の本格化:借金もできなくなると衰弱死するまで虐待する。〔虐待内容は前項「(a)通電以外に虎谷が受けていた虐待」参照〕。精神に異常をきたし、死亡3か月前には「えんま大王様がやってくる」「手首から糸が出てくる」「壁に引き出しがある」などと話すようになり、純子が通電をしたとき「娘沙織がいつもお世話になっています。自分も沙織もここまでこれたのは松永様のおかげです。」と話し純子に土下座している。死亡1か月前には完全に神経がやられ、ろれつが回らなくなり、発語が出来ず、死亡直前には常に無表情になり死亡(p18/42)。

・ステップ6(満足期)死体処理:松永のサイコパス特性がよく表れているので次項「(c)死体処理(ステップ6の詳細)」で述べる。ステップ5と6は、松永は指示するだけ実行は純子と沙が行った。【松永は『空気』で純子と沙織を操り、虐待を実行させて、親子関係の破壊や人の意思の破壊や人体解体の逆転欲求満足を得る】

(c)死体処理(ステップ6の詳細)〔11回、12回、20回公判(p24,25,26,27/42)〕

松永が純子と沙織に指示して行わせる形式をとる。二人にノコギリと包丁をそれぞれ数本と大鍋、消臭剤などの準備をさせる。浴室で解体した。「松永は『殺人マニュアル』など死んだ人の写真や絵が付いた本を数冊持っていた」〔沙織証言〕。まず、首と手首の血管を切り血液を抜いた後、首を切断。下あご部分を切り、頭部を逆さにしてお椀を持つように持ち、脳を取り出す。純子は「ずいぶん用心して取り出したから、形をなしていた」「そばに立っていた松永に、見た脳の状態をきちんと報告」し、ポリバケツに入れた。頭皮を剥いだ。剥いだ頭皮についていた髪の毛は、後でカミソリで剃った。次に内臓を取り出しポリバケツに入れた。包丁で骨と肉を分離し、肉は細かく切り刻み、内臓とともに大鍋で煮てドロドロにした後ジョウゴでペットボトルに入れて運び海や公衆便所などへ捨てた。骨や頭骨は鍋で「煮込」んだ後、粉々に砕いて海に捨てった。すべての処理に1ヶ月近くかかった。沙織は、純子の助手のように包丁で血管を切り、血抜きをすることや頭皮の髪の毛をカミソリで剃ることや骨を砕くことを手伝わされている。【松永は首の切断、内臓摘出、身体解体などの逆転快とともに娘沙織に父親の死体処理をさせることによる「心の交流破壊」の逆転欲求の快感を得る】と同時に沙織を父親殺しに加担したとして警察へ行く事が出来ないようにした。他の殺害の死体処理もほぼ同様に行われたが、段取りに慣れ、肉片処理にミキサーを使うなどで時間はかからなくなった(純子証言)。松永は頭髪を保存させたが6人を殺害した後6人分をまとめて排水管の洗浄液を使って溶かして下水へ流した。【松永は死体の一部、頭髪を記念品のように大事に残した。この行動はサイコパスの特徴行動。例5の少年Aは20匹近くのネコの首を切断するなどしたとき、必ず舌を切断してビンに集めて大事にしていた。サイコパスにとって残虐行為の遺品は、再び興奮を呼び覚ましてくれる大事な「宝物」になる】。

(d)サイコパス強弁

内向的単独サイコパスの「カラ理由」はサイコパス自身の脳内矛盾の合理化という内的なものが主体となるが、松永の様な外交的まんじゅうサイコパスの「カラ理由」は外部の人を従属させる理由という形をとる。この外的な「カラ理由」をサイコパス強弁(カラ論理)と名付ける。下記のように定義する。

(ⅰ)サイコパス強弁(カラ論理)とは:暴力装置を使った虐待や威圧の強制力を背景に持強弁のこと。「一般的な強弁=道理の通らないことを、無理に通そうとすること(Goo辞典)」とは強制力を持つところが異なる。サイコパス強弁とは「カラ理由」を強制力で押し付けることでもある。健常者は強弁により従属させられ、まんじゅうの皮となる。サイコパスが作り出す、意思決定の『空気』はサイコパス弁を基礎にしている。まんじゅうサイコパスは強弁を使い、逆転欲求を追及する。本シリーズでの強弁とはすべてサイコパス強弁のこと。〔「カラ理由」は前の項「9)(d)虐待行為にどうでもいい理由を必要とする」参照。〕

(ⅱ)強弁の時にサイコパスが「頭の回転がいい」ように見える理由:偏桃体機能不全による短絡回路のため

健常者の頭の回転がいいとは異なる。強弁の時にサイコパスが次々と機関銃のように言葉が出てきて「頭の回転がいい」と見えるのは、脳神経回路での偏桃体情動/記憶回路や相手のことを思いやるミラーニューロン回路や他者と協調する脳辺縁系の回路を経由しないので、言葉を瞬時に発することができるためである。健常者は言葉の一つ一つが偏桃体情動/記憶回路内部で情報交換をしており、また言葉を発した時に相手がどう思うかのミラーニューロンや脳辺縁系の回路と交互作用をしているため会話に常に「一定の時間」を必要とする。また、それらの神経回路で矛盾している場合には会話に躊躇(ちゅうちょ)が生じる。サイコパスはこの「一定の時間」や「躊躇」が存在しない。サイコパスは、論理を作る大脳新皮質は健康なので言葉だけが上滑りの状態で次々出ている。機関銃のように言葉が出るが、弱者を思いやる感情や他者の立場を尊重した部分は存在しない。逆転欲求追及に必要な場合にのみ仮面期として形式的に思いやりの言葉を発したりすることはある。サイコパスの上滑りの論理は健常者を納得させることはできないのでサイコパスは大声で威嚇したり、長時間拘束したり、暴力装置を使用せざるを得ない。【健常者はサイコパスが何を言いたいかを論理的に理解することが不可能で、理解しようとする努力は徒労に終わる。健常者はなぜ自分が虐待されなければならないのかわからないまま、大声で怒鳴られ、殴られ、長時間拘束される。サイコパス自身もなぜ強弁を行うかわかっていない。】

(ⅲ)松永の強弁(カラ論理)の例:検事「虎谷さんに大便を食べさせ、厳冬期に水のシャワーを浴びせたのはなぜか」。松永「愛情だと思います。水シャワーは風邪をひかんようにするためです」(17回公判p27/42)。弁護士「純子は言うことを聞いていたか?」。松永「聞かないときにはげんこつで殴るか、通電をする。通電しつけの意味があり教師のげんこつと同じ」(8回公判)と述べた。【「しつけ」という「カラ論理」で虐待するのは、サイコパスの親が子供を虐待するときと似ている】

(e)娘沙織(父死亡時11歳)を取り込んだ松永のアプローチ法

松永は「父親の悪いところを10個書いて報告しろ。そうしないと電気を通す」と言って、「ちくりノート」を携帯させ、父親虎谷を見張らせた。サボると通電し、些細なことでも報告があれば適度なご褒美を与えた。報告した内容を使って、父親を虐待する理由にした。【親子関係の心の交流は完全に破壊された】。全裸の写真を撮り逃亡したら雑誌やネット上にばらまくと脅し、ばらまくことに同意する「書類」にサインさせた。父親が死亡する直前に、沙織に歯形が付くほどきつく噛ませ、その跡の写真を撮った。沙織に「私は、殺意を持って実父を殺したことを証明します」という「事実関係証明書」にサインさせた。松永は沙織に「歯形があるから、お父さんを病院へ連れていけなかった。」「沙織が掃除している時にお父さんの頭を叩いたから死んだんだ」「病院へ行けば沙織が殺したことが直ぐにわかって、警察に捕まってしまう」と言い聞かせた。(p19/42)。少女沙織は長い間この「事実関係証明書」に縛られ、マンションの外に出る機会はたくさんあったが誰にも松永などのことは話さなかった。沙織は生きのび、経過全体を知る貴重な証言者になっている。

 (C)第2の殺人:緒方誉(たかしげ)61

第1の殺人から1年10月後に純子の父の緒方誉(おがたたかしげ)が殺害された。松永と緒方誉が知り合って約10か月後である。誉(たかしげ)は2haの田畑を持ち農協関係団体の副理事で次期理事長と目されていた。地域集落の2/3を緒方家が占め、その本家が誉の家族。誉の父は村会議員を務めた名門家族である(p11/42)。

 (a) 緒方誉(たかしげ)が受けていた虐待

「(B) (a)通電以外に虎谷が受けていた虐待」と類似の内容に以下が加わる。

物使用制限:物の使用は松永の許可。「ファンヒーター」「布団乾燥機」など。殺害するときの絞殺用のケーブルや、死体処理のノコギリでも使っていいかの許可が必要。許可を取らないと食事制限や通電される。

外出制限:運転免許証と車のキーが取り上げられた。玄関ドアに南京錠。外出に許可。外出時には携帯電話で頻繁に連絡を入れて、何処で何をしているのか報告しなければならない。松永は大体の地理が頭に入っていて、所定の場所に到着する時間制限。ガソリン代や駐車料金は代金を貰い、借用書を書かされる。必要最低限のお金。

監禁部屋化:部屋の全ての窓に遮光カーテン。玄関ドアのチェーンは殆どドアが開かないくらい短くした。玄関のドアスコープや新聞受けは物で遮るなどして、外部から室内を覗けない。あらゆる窓やドアに多数の南京錠。鍵を開けないと出入りができない。

家族間の会話の禁止と憎しみ合い:家族間の心の交流破壊。松永は悪口を言わせ、言わないと通電する。それを理由に言われた人が通電される。なぜ悪口を言ったと相手を憎む。悪口を言わない人が最下位になりいつも通電される。通電されないようにするため互いに悪口を言い合うようになる。まんじゅう構造の告げ口支配システム。

衣服制限:上半身裸で下半身はパンティーのみ、両乳首に小さく切ったガムテープを貼られた姿にさせられた。1着だけで、ごくたまにしか洗濯が許されない。

睡眠制限:寝具は使えず、週刊誌を敷いて新聞紙を被せるだけになった。台所で雑魚寝。いびきがうるさいと浴室に常時閉じ込められた。昼間3~4時間の睡眠で昼夜逆転。(松永は昼夜感覚に問題を持つと思われる)

各制限の違反者:違反者は松永による制裁‣通電、浴室監禁。制限を守っていれば松永の気分で時々外食をさせたり、マンション内の食事に1品つけたりした。沙織も3週間浴室に閉じ込められたことがある。

サイコパスの監禁は人の尊厳を失うあらゆる行為を伴うこの段階では緒方家の静美、恵理子、主也がこの虐待に巻き込まれている。

(b)緒方誉(たかしげ)を取り込んだ松永のアプローチ法

虎谷と類似なので簡略する。

・ステップ1懐柔期弱みを掴む:松永は緒方家が名門であることを利用した。松永は1年前の虎谷殺害を誉の娘純子がやったと誉にささやき、「緒方家から殺人犯を出したくない」と話し、松永の「時効まで辛抱」する案に乗る。松永は弱みを握った。

・ステップ2~6懐柔、豹変、満足期:この弱みを繰り返し突いて3大手法(強弁、長時間拘束、眠らさない)で攻めステップ2,3を進み監禁と通電を行いステップ4の金銭を奪うに至る。貯金1千万円と農協から土地を担保に3千万円を借り、松永へ渡したと誉と親しかった市議会議員は聞いた。市議は緒方宅へ駆けつけ「やめろ」と語気を強めたが誉は「松永はいずれ自分たちを幸せにしてくれる」と、あとは何を言っても話をそらすだけで松永に運命を託したかのようだったと述べている。通電などを続けて金銭を奪いつくすとステップ5の虐待が本格化する。ある日、言いがかりをつけて緒方一家の純子を含め大人5人が並べて正座させられ、その場で純子に命じて父誉の頭に通電させ殺害した。ステップ6の死体処理は、緒方家の人が、第1の殺人虎谷と同様に首を切断し、解体処理をした。これ以後緒方一家全員が松永のマンションに監禁状態

(D)第3の殺人:緒方静美58

松永がいる「隣在の『空気』」により子供たちが母親殺しを決定した。純子の母親静美は度重なる通電によって精神が侵され奇声を発するようになった。どうしたらいいかを、松永は、純子とその妹の理恵子と理恵子の夫の主也の3人に考えさせた。松永は弁がたち、「頭の回転が良く」、他者を操るサイコパスである。「入院させる」や「別居する」などの案をすべて却下し、「回復するかもしれない」と言う意見には「暴れるようになったら、殺害が困難になる」とまくし立て、殺害案が出てくるとそれに決めさせ「一家の決断」とした。自分たちで決めたと言う形式をとらせる。「一番いい方法が殺害」という結論が松永の作り出す『空気』に誘導されて確定した。松永の意思はその場の空気になっている。空気に逆らう意見が出ると、松永の無意味な議論や蒸し返しや大声のまくしたてで、『空気通りの結論に至る。【松永は静美を殺せと命令すればいいことだが、なぜ回りくどく「家族の決断」で殺すという形式を取らせるのか。このことが松永型サイコパスを理解する重要なカギになる。松永の逆転欲求満足は静美の虐殺だけでなく、家族間の心の交流を破壊し、一人ひとりの意思を破壊して、サイコパス化することで得られると考えられる。〔サイコパス化衝動は本シリーズ(その4-5)「10)(e)ロボット化とサイコパス化の関係」参照】松永は「どうやって殺すんだ」と先へ進めた。電気コードの使用を松永から許可を取り、純子と恵理子が母親静美の体を押さえ、松永に「お前が絞めろ」と言われて主也が絞殺した(p36/42純子証言)。【3人は通電や食事制限などの恐怖と逃げ場がない絶望と従わないときの制裁虐待で疑似サイコパス前期になり、母親殺しを実行した】。死体解体をしたとき恵理子は母親静美が「便秘していたため腸内に多量の便が詰まっていたことと、皮下脂肪が多くて切りにくかった」とこぼしていたと純子証言(p36/42)。

(E)第4の殺人:緒方恵理子33

松永がいない「遠在の『空気』」により夫が妻を殺した。【サイコパス不在の空気』で殺人計画と実行を行う極めて重要な意味のある場面である。サイコパスはその場にいなくてもまんじゅうの皮を使い殺人を行うことができる】。度重なる通電によって耳が遠くなっていた恵理子(33歳)について、松永は純子ら3人に「母親の静美みたいになったらどうするんだ」と問いかけ、「今から寝るから、一家で結論を出し、起きるまでに終わらしておけ」と指示。殺害命令と受け取った純子、主也(かずや)、恵理子の娘の彩10歳の3人が話し合った。「殺害を拒否しても、恵理子はもっとひどい虐待を受けて辛い思いをした末に殺されるのではないか?」などと悩んだ。松永の意図を確認しようということになったが、松永の部屋に向かうドアは開かなかった。「お母さんは生きていても、もっとひどい虐待を受けて辛いだけ」「起きるまでに終わっていないと自分たちがひどい目にあう」などと話され、主也が「それなら自分がやる」と殺害を決意。3の殺人では松永がいる「隣在の空気で殺害が決まったが、4の殺人では、もはや松永はその場にいない「遠在の空気で殺害が決まった。サイコパスが他者を操る場合に直接と間接とある。第3の殺人直接の空気』、第4の殺人間接の空気』で操ったと言える。第4の殺人のようにサイコパスは意思を貫徹するのにその場にいなければならないということはない。『空気』で意思を貫徹する。サイコパスは自分が虐待するだけでなく、他者に他の人を虐待させることに強くひき付けられる。仲が良かった同士が殺しあう場面にたまらなくひき付けられ、その場面を作り出す。その場面は人の心の交流の完全な破壊の場面である。この場面に松永は逆転愛情欲求などの逆転快報酬系ドーパミンの陶酔を味わっていると考えられる〔前の項「3)(d)a)サイコパスの心の交流破壊と人間関係のロボット化衝動」参照〕。

主也(かずや)は娘彩に「お父さん(主也)がお母さんの首を絞めるから、おまえは足を押さえてお母さんと最後の別れのあいさつをしなさい」と話す。お母さんがいる浴室に主也と彩が入り、主也が首にコードをかけようとした瞬間、主也を凝視して「主也、私、死ぬと?」とつぶやく。主也が「すまんな」と答え、彩に足を押えつけさせた上で絞殺。以上は傍で見ていた純子の公判での証言。遺体は第1の殺人虎谷と同様に解体。

この第4殺人は『空気』で健常者を操り、ターゲットを虐殺する典型的なまんじゅうサイコパスの特徴である。松永は直接には立案も実行も手を下していない。このため公判では無罪を主張した。【第3母親殺人では、主也は疑似サイコパス前期に、4殺人では疑似サイコパス後期になっている】【旧日本軍の一部の部隊は、第4の殺人での緒方家の人々のように、サイコパスが一人もいないにもかかわらず指導部のサイコパスの『空気』を反映して疑似サイコパス後期となって残虐行為を平然と行なった場合があったと考えられる】

その(4-9)へ続く。

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