横浜映画サークル

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-63)警察の問題13桶川ストーカ―殺人事件3

2016-07-09 23:01:40 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-62)の続き。

*19:告訴状は、詩織が「犯人は小松和人しか考えられない」と言ったにもかかわらず、詩織らが知らないところで署員が「誰がこのようなことをしたのかわかりません」と述べたように改ざんした。告訴状を受理したので詩織と母は、これでやっと警察は捜査してくれるものと思い込み帰った。その後、警察が動いた形跡はない詩織は何度も上尾署に電話を入れて捜査の状況を訊いたが、署員たちの要領の得ない答えが返ってくるだけだった(ペディア。外部リンク。報告書)

*20中傷手紙の内容は「名門企業主任親子の呆れたハレンチぶり!」と題し、詩織が不倫や援助交際、父親はギャンブル好きでその上、借金地獄などとでたらめなもの(ペディア。外部リンク)。【サイコパスはあらゆる能力を使い相手が嫌がることをこれでもかと、とことん行う。快感があるために止められない

*21:担当二課長片桐と係員本多が不在を理由に帰された(ペディア。外部リンク)

*22:ニ課長片桐中傷手紙をみて「これはいい紙を使っていますね。封筒にひとつずつ切手が貼ってあり費用が掛かっていますね。たいしたもんだ。何人かでやったようです」などと述べた。父は「何言ってるんですか。早く和人に接触して捕まえてください」と和人の逮捕を急ぐよう求めたが、ニ課長片桐は「それはケースバイケースです。こういうのはじっくり捜査します。警察は忙しいんですよ」と取り合わなかった(ペディア。外部リンク。報告書)【ニ課長片桐の言葉には一課の仕事をなんで自分のところでやらなければいけないのかという思いが出ている】

*23:ニ課長片桐がなぜ告訴状を10日間止め、直ぐに警視茂木の決裁を仰がなかったのか不明。【この件は刑事一課の仕事だと言い続けていたかもしれない?】

*24:警視茂木書類を二課長の机に放り投げ、怒った口調で「犯人が特定されていないのだから、何も告訴状をとらなくても被害届で捜査すればよかったんじゃないのか」などと述べた。猪野家の人が犯人を和人と特定して再三訴えていたにもかかわらず二課長片桐は犯人の話を出さない。警視茂木未処理の告訴件数が増えて成績が下がってしまうことに腹を立てた(ペディア。外部リンク。報告書)。【告訴状には「誰がこのようなことをしたのかわかりません」と改ざんされていることも影響したと思われる。犯人が分かっていて直ぐ捕まえられる件を優先する。告訴は県警本部からフォローされるが、被害届はフォローがないので茂木の成績に影響が少ない。この警視茂木は後に本件に係った刑事一課巡査部長に自宅を放火される

調査報告書では警視茂木の言動が『その後の刑事二課長らによる告訴の不当な取扱いにつながったと認められ、不適切であった』と不適切を一応認めたが、後の警察の職務怠慢の裁判では問題にせず。またニ課長片桐の対応を『一連の対応は、事態の重大性を認識せず、告訴事件捜査の業務負担を回避しようという意識によるもので、被害者の訴えに対する真摯な姿勢が全く欠如しており、極めて不適切』と強く非難したが、後の警察の職務怠慢が問われる裁判ではこれも認めない姿勢に一変する。

*25:警視茂木の意を受けた二課長片桐は本多に対し「あれは告訴ではなく、被害届でよかった。被害届を取ってきてくれ」と指示、合わせて詩織から告訴を取り下げさせるよう指示。被害届であれば県警本部への報告義務がなく、事件を迅速に処理することを迫られることもない。「告訴」すると、警察は必ず送検しなければならないが、「被害届」は、当事者同士の話し合いで決着すればよく、必ずしも送検しなくてもいい(ペディア。外部リンク。報告書)

*26:これで告訴状被害届両方が受理されたことになる。

*27:本多が猪野宅を訪れ、母に告訴取り下げを要請。母がこれを断ると、刑事訴訟法の規定で一度告訴を取り下げると再告訴はできなくなるにも関わらず、それが可能であるように話し「告訴状は犯人が捕まってからでも間に合います。また簡単に出せます」と母に明らかな嘘を言った。母の意志は固く、逆に「告訴を出すまでにどれほど娘や家族が辛い目に遭ったか分かってください」「捜査はしてくれないんですか」などと強い調子で問われ、本多は引き下がった(ペディア。外部リンク。報告書)。上尾署は警察本部に10/26の詩織殺害まで告訴受理の報告をしていなかった(報告書)

警察から告訴取り下げ依頼があったことを知った詩織:友人に「私、本当に殺される。やっぱり和人が手を回したんだ。警察はもう頼りにならない結局なにもしてくれなかったもうおしまいだ」などと話し、以後急速に落ち込んでいったという(ペディア。外部リンク)。調査報告書に詩織の気持ちを表現した部分はない。

偽(にせ)刑事事件:告訴取下げについてマスコミから問い合わせを受けた県警幹部は「『告訴取り下げを要請』を調べてみたが、そんな刑事はうちにはいない記録も報告もない。そんなことを言うはずもない」と事実を否定し、別の捜査関係者は「偽者だ。(犯人らが)おそらく芝居を打って告訴を取り下げさせようとしたのだろう」などと述べていた。このため、この件が報道された当初は、犯行グループが用意した「偽刑事による芝居だとされていた。実際は上尾署員だった。詩織の父は「告訴を取り下げてもらえませんか」というはっきりとした要請があったと文書にした(ペディア。外部リンク)

調査報告書は本多の『このような言動は、告訴事件の取扱いに関する基本的な理解を欠き、告訴の適正な処理と相容れない極めて不当なもの』『ニ課長は係員(本多)に捜査を指示することもなく、放置し、捜査指揮の在り方として極めて不適切』『必要な報告を怠ったことも不適切』と強く非難した。だが、警察怠慢の裁判になると警察の非を認めない態度に一変した。後に県警刑事部長が「『告訴取り下げを要請しているかのような誤解を生む発言があった」として遺憾の意を示し、取下げの事実はないと言う姿勢に変わる

調査報告書には、偽刑事事件については触れられていない。偽刑事と話したのは刑事二課でない。刑事二課を非難する以外のことは調査しない姿勢

*28詩織の供述調書中「告訴」を「届出」に改ざんした。ニ課長片桐は実況見分の作成日を遡らせたり、重要な証拠(中傷ビラなど)を破棄させていたにもかかわらず、猪野家が勝手に破棄した如くの領置調書や捜査報告書、実況見分調書、さらには母の供述調書まで書き変えたり、虚偽内容で創作したことが後に判明した(ペディア。外部リンク。報告書)

刑事二課の問題点を追及する調査報告書が出ると直ちに刑事二課長片桐、同係長古田、同課員本多の3人は懲戒免職処分。後に虚偽有印公文書作成・同行使の罪で有罪となった。さいたま地裁裁判長は量刑事情の中で「姑息にも捜査書類の捏造改ざんを行い、自己保身をしようとした。見苦しい限り」と述べた。

*29殺される直前の詩織さん詩織「なんで私はこんなになってしまったの?お母さん、死にたくないよ」「警察は動いてないんだ私死んじゃうのかな‥」と母に話した。「告訴を出せば犯人を捕まえてくれると警察は約束したのに、何もしてくれなかった」と詩織の母(ペディア。外部リンク)。【健常者はなぜ殺されるかわからないままサイコパスに殺される。また、サイコパス自身もなぜ殺すのか分からない

*30:殺害少し前に詩織の拉致計画を立てた。【サイコパスのストーカーはチャンスがあれば拉致監禁をする。例14尼崎監禁殺人事件のは4年4ヵ月逃げていた初代を追い(ストーカー)続けた後に拉致監禁し、最後は虐殺した】

*31詩織殺害の様子、以下の通り(ペディア。外部リンク)

午前8ごろ、池袋で久保田、伊藤、川上の3人が集まり、川上の運転する助手席に久保田が乗り桶川駅に向かった。伊藤は別の車で猪野宅に向かい猪野宅から少し離れた路上に車を停めて詩織が出てくるのを見張った。

午後040、伊藤から久保田の携帯に詩織が自宅を出たと連絡。川上は桶川駅の近くで久保田を降ろした。

午後053頃、久保田は詩織が自転車を降りたところに背後から近づき右脇腹を突き刺し、詩織が振り返ったところで、さらに左胸部を刺して殺害、逃げた。その後、伊藤は武史に電話して「久保田がやった」と報告した。

午後5頃、武史は久保田、伊藤、川上の3人に対し赤羽にあるカラオケ店に来るように携帯で連絡。

午後6頃、3人がカラオケ店の個室に到着。武史は7/5に和人が沖縄に出発する前に渡された2000万円のうち、久保田に1000万円、伊藤と川上にそれぞれ400万円を手渡し、逃亡するよう指示した。残りの200万円は7/13中傷ビラ、7/20頃中傷カード、8/22中傷手紙の印刷費用などに消えていた。武史は遅れて到着した中古車販売会社経営のYに犯行に使用した2台の車の処分を指示した。

この日に和人と武史の間では13回携帯でのやり取りが行われていた(ペディア。外部リンク)【この携帯回数は和人が操っていることの証拠になるが、内容は公表されていない】

(b-2詩織が殺害された後の警察のマスコミ操作と対応

(ⅰ)記者会見

下画像左は詩織が殺害された後に記者会見をする上尾署刑事二課長警部片桐敏男(48)。7月以降猪野家の対応責任者をしていたが、殺人事件になったため自分の二課(詐欺などの担当)でなく刑事一課:捜査一課(殺人等の担当)の仕事だとして自分は「捜査一課長代理ですから」と責任回避の話から始めている場面。だが、これはニ課長片桐の本心で、この件は始め刑事一課が担当しており途中から二課に移され、移された時から自分の二課の仕事ではないという思いがあったと考えられる。このことは前の項「(b-1)詩織が殺害されるまでの警察の対応」の表の注*16*17参照。ニ課長片桐詩織が後ろから刺され、振り返ったところをさらに前から刺されたと殺害場面を笑いながら話す。告訴状改ざんなどの公文書虚偽で有罪判決を受けていることと、この会見は詩織の名誉を貶める卑劣なもので、警察官としてあるまじき会見なので顔が分かる画像を掲載する。この会見は今でもYou-tubeで見ることができる。左にわずかに腕が見えるのは並んでいた刑事二課係長警部補古田裕一(54)で下画像右の人物。この二人は後に懲戒免職された。この会見では詩織が「バッグはプラダ」「靴は厚底ブーツ」「黒いミニスカート」「グッチの腕時計」「プラダのリュックサック」を身に付けていたとブランド名を言う異例の発表、しかも嘘だった。「自らの怠慢捜査に注目が向かないよう放蕩した女性が事件に巻き込まれた』という印象を与えようとした(報道番組「ザ・スクープ」)」。「警察がでっち上げた虚偽の情報(ジャーナリスト佐野真一)」。【栃木事件の警察が、虐殺された正和を暴走族だと嘘の発表をしたのと同様、詩織は「殺されても仕方がないダメな人」と言う印象になるようマスコミ操作の情報を流した。この会見と警察が流す嘘情報にマスコミは集中して、本質的な問題が潜んでいた刑事一課の方に注意が向くことはなかった

画像出典左:Youtube【桶川ストーカー殺人事件】 上尾警察署・記者会見(閲覧2017/11/14)画像出典右:Youtubeストーカー殺人桶川署の事実(閲覧2017/11/14)

(ⅱ)マスコミは警察の偽情報を受けて、誤った報道を大々的に展開:殺害2週間後のワイドショーには「男友達に現金をねだり、ブランドものをせびる」「ブランド依存症の女子大生」「キャバクラ嬢」「性風俗嬢」とデマ報道を流すものが出てきた。実際の詩織とは全く異なり、殺害された詩織名誉はズタズタにされた(ペディア。外部リンク)。警察が虚偽の情報を出していたことは後の「調査報告書」で認めている。【ワイドショーのほとんどのコメンテータは、サイコパスが理由なく嫌がらせをし、恐れさせ、恨(うら)み、虐殺することを理解できていない。逆に「こんな酷(ひど)い殺され方をする人には何か殺される原因があるはず」と犠牲者に原因を探す誤った見解を示すことさえある。コメンテータにはサイコパスの理解を深め、サイコパス対応の普及に貢献していただきたいと思う】。鳥越俊太郎は「詩織さんは2回殺された。1回目は小松和人に、2回目はマスコミに殺された」と表現した。この事件は、マスコミに情報源の真偽を、たとえ警察の情報でも十分に吟味して報道しなければならないという教訓を与えた。

(ⅲ)警察は先にジャーナリストに犯人を見つけられ、でたらめな弁解

清水潔(週刊誌『フォーカス』記者)は警察より先に独自調査で実行犯久保田と川上を特定し、撮影に成功。99/12/6に写真を警察に提供した。詩織両親が捜査本部の刑事に「なぜ週刊誌の方が先に犯人に辿り着けたのか警察はちゃんと捜査をしていたのですか」と詰問した時の、刑事の回答あいつらはやり方が汚いんです。金ですよ金。金をじゃんじゃんばら撒いて情報を集めるんです。我々は公務員だからそれはできないんですよ」(ペディア。外部リンク)【刑事の回答は事実でないでたらめ。捜査本部のこの刑事は虚を平気で言う。ニ課長片桐と同類と言える】

刑事の回答を聞いた清水潔彼らの捜査がなぜダメなのか分かった気がした。金で何とかなると考えているのなら小松和人と同レベルではないか。我々は自分の足で歩き廻り、調べ、情報提供者を大切にしてきただけだ。それは、一昔前の警察の手法と同じだ。逆に言えば、それだけ今の刑事達は変わってしまったということなのだろうか」と述べた。【清水は詩織両親や友人から時間をかけて信頼を獲得し、わずかな情報から犯人にたどり着く。鳥越俊太郎も同様の手法で警察の嘘を暴く

新任埼玉県警本部長(事件後に赴任)も、詩織の両親が警察の怠慢がなければ詩織は殺されなかったとして警察の職務怠慢を糾弾する国家賠償訴訟を起こした時、警察署協議会代表者会議で「原告(詩織の両親)の方もあまりお金が取れないとですね、ちゃんと多額の賠償金が取れると思って訴訟をしたのに」と訴訟が職務怠慢糾弾でなく金目的とすり替えるとんでもない発言をした。後にこの本部長はこの発言を謝罪し、軽い処分を受けた。

警察内部にはニ課長片桐、調査本部刑事、県警本部長のような低いレベルの刑事や幹部がいることを市民は知っておかなければならない

警察を監視する政府から独立の第3者機関の必要性:本事件に関わり刑事の自殺者二人を出した上尾署刑事一課とその上司はマスコミの追及をうまく逃れたため、警察内部の問題点が明るみに出ないで温存された。日弁連の小池振一郎が警察を監視する政府から独立の第3者機関警察官の不正や怠慢を調査し、勧告・公表する)の必要性を説いているが、既にニュージーランドなどにあるとのこと。低いレベルの刑事や幹部がいることも含めて、桶川事件はその第3者機関の必要性を示している

(ⅳ)武史の話『和人は死に癖がある』を理解できない警察:居場所も分かっていたが捕まえず

和人の兄小松武史の弁護士によれば、武史は捜査員に和人は北海道にいると供述し、和人には『死に癖がある』ことや異常な人間性であることを繰り返し伝えていた。捜査員は「死ぬ、死ぬといって死んだためしはない。お前が弟を狂人にしている(狂人に思わせている)だけ」と取り合わなかったとされる(ペディア)。【武史は、和人のサイコパス特性に気が付いていたことを示す。この捜査員はサイコパスが簡単に死ぬことを理解していない。警察はサイコパスに自殺させないように特別な配慮が必要である。健常者は、サイコパスのような人は自殺すればいいと思うかもしれないが、サイコパスの実態を把握するために自殺させてはいけない。武史は和人と連絡を取っており行き先を埼玉県警の捜査員に再三話しているので、殺害から和人自殺まで3か月あり、身柄を確保する時間は十分あった。元警察官のジャーナリスト黒木昭雄「埼玉県警は事実上、職務放棄をしていた疑いが極めて濃厚」(ブログ「なぜ主犯を確保できなかったのか」https://blogs.yahoo.co.jp/kuroki_aki/9596024.html】(閲覧2017/11/5)。県警の調査報告書には『同人は当時、偽名を用い、沖縄、札幌、東京を転々としていたものであり、当時は所在の把握に至らなかったことはやむを得ないと認められる』と言い訳をし、武史の話を手掛かりに和人を捕まえようとすることはせず実質的に無視したことを隠ぺい。自殺を知って狼狽して繰り返し言い訳をしている調査報告書になっている。

(ⅴ)和人の遺書:係わったすべての人を恨む

和人は北海道屈斜路湖に大量の睡眠薬を飲み投身自殺。遺書には詩織と家族、マスコミへの怨嗟(えんさ:うらみ嘆くこと)の言葉が並べ立てられ、自身の冤罪を主張している(ペディア他)【和人最後まで理由なく人を恨(うら)み、死んでいった。警察は名誉棄損で指名手配したが和人をまだ詩織殺害の犯人としていないにもかかわらず、冤罪(無実)を主張している奇妙な遺書だが、「俺を殺したのはお前たちだ」と恨むことが、「冤罪の主張」になっていると考えられる。サイコパスらしい遺書と言える】。両親あて遺書めいたメモもあり「4000万円の生命保険があるので安田生命から受け取って」といった内容の文面。【一般の感覚では両親思いの息子と見えるであろうが、筆者には「サイコパスの虐待代償感覚」と見える。和人詩織に「俺は親に捨てられたんだ」と泣きわめいたことがある(ペディア)。情報はないが和人は両親へ激しい憎しみを持ち肉体的精神的虐待を行っていたのではないか、そのため見捨てられた。保険金4000万円は大金ではあるが和人が負担するものではなく、両親への虐待の代償感覚と捉えることができるのではないかと推察する。例5神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗と名乗った少年Aが弟を散々殴った後に、弟の机に100円を置く感覚である。なぜ置くか少年A本人にも分からない。筆者は、和人詩織あるいは猪野家にも保険金の一部を渡すように遺書に記述があったはずと推察するが、情報はない。サイコパスの代償感覚は本シリーズ(その4-4)「9)サイコパス自身は自分をどう感じているか(c)虐待犠牲者に代償感覚を持つ」参照】

(ⅵ)詩織殺害後から刑事二課3人の告訴状改ざん、警視宅放火までの時系列

以下の通り状況を時系列にまとめた。マスコミ報道や国会で問題になり埼玉県警がやむを得ず本事件の調査チームを作ったことが分かる。調査チームの報告書内容の基本的な問題点は次項(ⅶ)でまとめている。情報元は前の項「(b-1)詩織が殺害されるまでの警察の対応」の①,②,③と同様でペディア、外部リンク、調査報告書(報告書)である。

時期鍵

できごと

99/10/26

詩織殺害される。埼玉県警に捜査本部設置

11/21虚偽

捜査本部がニ課長片桐に中傷ビラの実況見分調書提出指示。虚偽の実況見分調書を作成提出*1

12/6犯人

清水潔(『フォーカス』記者)は独自調査で実行犯久保田と川上を特定、撮影に成功。写真を警察に提供*2

12/19逮捕

久保田を殺人容疑で逮捕

12/20逮捕

首謀者とされた武史、輸送役川上、見張り役伊藤を殺人容疑で逮捕

00/1/9起訴

武史、久保田、川上、伊藤の4人を殺人罪で起訴

1/10ねつ造

証拠が問題になるとしてニ課長係長係員が話し合い領置調書実況見分調書詩織の母の供述調書ねつ造*3

ニ課長片桐は「名誉毀損事案に使用されたチラシの枚数について」と題する虚偽内容捜査報告書を作成*4

1/12発売

「フォーカス」第3号「桶川女子大生刺殺『主犯』を捕まえない埼玉県警の「無気力捜査」 事件前の対応から問題』

1/16手配

中傷ビラ配布名誉毀損容疑で殺害犯4人を含む12人逮捕。和人を名誉棄損で指名手配。

1/27自殺

和人が北海道屈斜路湖で水死体として発見、自殺と断定。両親あての遺書めいたメモ

2/28質問

APF通信山路徹が起草の10項目の質問書を埼玉県警に送付。警察の回答は虚偽だらけ。後に鳥越俊太郎が真実を暴く*5

3/4放映

テレビ朝日報道『ザ・スクープ』特集第1弾MC鳥越俊太郎は警察組織の問題を直感、告訴状改ざんなどを暴露していく

3/7国会

国会参議院予算委員会において本件の「警察の怠慢」について初めて質問が行われる。

3/10踏査

県警が調査チームを設置*6。1カ月弱で調査報告書をまとめた。

4/6謝罪

調査報告書発表*7。公文書改ざんで二課長片桐、係長古田、係員本多が書類送検、懲戒免職。県警本部長が猪野家宅を訪れ謝罪

5/18法律

本事件などストーカー行為が国会で問題になり、ストーカー規制法が成立

9/7有罪

刑事二課長片桐ら3人に公文書虚偽の罪で有罪判決*8

10/7放火。刑事自殺

警視生活安全担当次長茂木邦英(告訴取り下げや告訴状改ざんを指示したとされる)の自宅が部下の刑事に放火される。この刑事は服役中に自殺した。またこの放火事件への対処に不信感を表明した別の刑事ものちに自殺*9(ペディア)

*1:ニ課長片桐は本多に指示し、証拠のチラシは猪野家の人が勝手にゴミとして処分したように虚偽の記述した実況見分を作成させ、捜査本部に提出。1/10にさらに手を加える(報告書)

*2:前の項「(ⅲ)警察は先にジャーナリストに犯人を見つけられ、でたらめな弁解」参照

*3:捜査本部の99/7/13の中傷ビラの調査指示を受けて、写真にある中傷ビラが証拠として存在しないことが問題になるとしてニ課長片桐、係長古田、係員本多の3名が話し合った。その結果領置調書をねつ造して『糊でくっつきあって一塊になった8枚のチラシを現場で領置し、後に警察でこれを分離しようとしたら細かく破れ証拠として価値を失ってしまったため廃棄処分にした』とした、実際は詩織の母に写真に撮ったから処分していいと話しゴミに出して捨てた。7/13日付け実況見分調書は「証拠資料なし」のページを「証拠資料チラシ八枚」と虚偽を記載した用紙と差し替え、旧ページはシュレーダーで隠滅(報告書)。また詩織の母の供述調書にも辻褄合わせのため『「8枚のチラシは一塊にして警察の方に渡しました」と虚偽内容を付加記載した』(報告書)

*4:ニ課長片桐は「名誉毀損事案に使用されたチラシの枚数について」と題する1999/11/29日付け虚偽内容の捜査報告書を作成した(報告書)。これらのねつ造は、捜査本部から「最初からやる気がなかった」と思われることを避けるだけでなく、このことがマスコミに漏れて捜査のずさんさが取り上げられることに対する対策として行った(報告書)【マスコミに叩かれることに敏感であることが分かる。マスコミの重要性の逆証明でもある

*5:質問書に対する埼玉県警の回答:「告訴取り下げ要請の事実はない」「警察がそうした要請をすることはない」、「99/6/13に(和人ら)3人が被害者宅を訪れた事案は、弁護士から解決済みとの連絡があった。ビラ散布の名誉毀損事案については捜査を進めている最中だった」。報道『ザ・スクープ』鳥越俊太郎らが、これらの回答は全てうそであることを明らかにしていく。事実は告訴の取り下げを要請し、弁護士が解決済みと連絡したことはなく捜査を行った形跡がない。県警は直接番組『ザ・スクープ』のスタッフルームに電話で弁解をし、回答書を訂正した。訂正文面はあいまいな表現になり、「弁護士から…」は削除されていた(ペディア)。

*6:県警は、マスコミが追及の手を緩めず、国会でも問題が指摘されて、初めて調査チームを設置した。の事件の香川県警と兵庫県警、栃木事件の栃木県警、この桶川事件の埼玉県警の姿勢は共通し、マスコミが騒がなければ警察は内部の問題を自ら進んで調査することはない

*7:「埼玉県桶川市における女子大生殺人事件をめぐる調査報告書」本項では調査報告書、または報告書と略している。報告書の内容については後の項「(ⅶ)県警調査報告書の基本的な問題点」参照

*8:刑事二課長片桐ら3人に公文書虚偽の罪で懲役1年6月などと執行猶予3年の有罪判決。さいたま地裁は量刑事情の中で、「住民が警察を訪ねるのは警察に行けば何とかしてくれるという藁をも掴む思いがあるからである。その訴えに真摯に耳を傾け、事態に誠実迅速的確に対応してこそ警察」とした(ペディア。外部リンク)

*9警視生活安全担当次長茂木邦英(告訴取り下げや告訴状改ざんを指示したとされる)の自宅が部下の刑事に放火される。玄関扉外側で灯油入りワインボトル2本、ペットボトル1本から炎が上がり玄関付近が燃え、消火時に茂木が両足に軽いやけど。放火で上尾署刑事が逮捕。刑事から交番勤務に左遷されていたことからの恨みによる犯行とされた。元刑事は詩織の相談内容の深刻さに同情して当初は熱心に話を聞いてくれていたという。この元刑事は服役中に自殺した。またこの放火事件への対処に不信感を表明した別の刑事ものちに自殺(ペディア)。警視茂木は定年まで勤め退職。

(その4-64)へ続く。

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