横浜映画サークル

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横浜キネマ倶楽部自主上映『孤獨の人』観てきました、現天皇(上皇)学生時代の様子が分かる青春映画

2018-12-27 08:20:00 | メンバーの投稿

2018年12月24日に横浜キネマ倶楽部自主上映『孤獨の人』(1957日本、監督西河克己)を観てきました。舞台は戦後約10年の皇太子(現天皇)が学んだ学習院高等科3年のクラス。敬称は略しています。皇太子の通学はオートバイの先導車付きの黒塗り高級車で、常に隣に侍従が乗っている。侍従は皇太子の行くところすべてを把握し、アドバイスをする。皇太子の取巻き学友として学習院中等科からのいわば貴族系(旧伯爵など)学友と高等科から入いったいわば新興企業成金系の学友が、いがみ合っている。学習院の内部は他の大学と同様にいじめや喫煙などが横行していた。下の画像は右から3人目に貴族系学友の京極がいる。その左に成金系役津川雅彦、右から2人目に成金系役小林旭当時17歳がいる。小林旭は皇太子に自由がなく、思いを寄せる女子学生と会うこともできないことをかわいそうと思い、何とかしようと、女子学生と会う機会を作ろうとするが情報が洩れ、宮内庁からの圧力で失敗。侍従から離れ、自由に街中を歩くことを計画し実行、これは成功する。学友3人と皇太子が山手線の電車に乗り、銀座を自由に歩き、喫茶店にも入る。この場面は日本版ローマの休日』とも言われた。

画像出典:映画のすべてを記録する白鳥あかねスクリプター人生http://www.laputa-jp.com/laputa/program/shiratoriakane/sakuhin1.html (閲覧2018/12/26)

映画の後に映画評論家高橋俊夫の講演があり、来場者との質疑を含め、撮影背景などが分かり味わい深い作品になりましたので、その話も交えて以下感想を述べます。

原作は当時学友だった藤島泰輔、事実に基づく。撮影協力は学習院高等科4年演劇部だった三谷礼二が行った。三谷は芸名を秋津礼二として学友の舟山役で出演している。撮影中に三谷礼二の自宅が右翼に取り囲まれ、監督河西の自宅にピストルの弾が送られてくるなどで、学習院学長は三谷に撮影協力を止めるように言い、止めなければ退学と迫った。三谷は撮影を続け、退学。三谷は退学後日活に入り『幕末太陽伝』などに出演後宣伝部に移り『キューポラのある街』の宣伝を担当し、その後海外演劇を経てオペラ演出家になり「お蝶夫人」を手掛けた。京極役の青山恭二はこの後日活アクション映画に出演したが直ぐに映画界を去り、奄美大島の漁師の生活に入った。小林旭は2年後に渡り鳥シリーズで日活アクションスターになる。小林旭は現在も健在で80歳になり、今年の12月にも横浜で講演をして、『孤獨の人』の銀座撮影では、自然に振舞っていたせいか周囲の人は撮影に気がつかない人が多かったと話したそうです。津川雅彦はご存知の通り、今年亡くなった。皇太子役は公募で、この作品だけ。皇太子はほとんど白い手袋を映すだけで、顔が出るのは終盤のわずか。

撮影場所は、学習院正門とグラウンドは使ったが内部は使えず、内部は武蔵大学とのこと。

感想:現天皇が来年退位された後、銀座を自由に歩かれた時の思い出をお聞きしたいと思いました。 

横浜シネマ倶楽部自主上映次回作喜劇大風呂敷』2019,3月2日(土)13:00~。講演:娯楽映画研究家.佐藤利明。15:00~16:00。場所:横浜市南公会堂(南区総合庁舎内)。「桂歌丸さん追悼上映」作品とのこと。桂歌丸は上映会場がある南区で育ったハマッコ。前売り1000円、当日1300円。南公会堂は定員500人と大きいので当日でも入場可。皆さん、宜しければ足を運んではいかがでしょう。

以上、S.Tでした。

コメント (2)
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