横浜映画サークル

サークルメンバーの交流ブログです。

メンバーの鑑賞感想や映画情報など気軽に記述しています。

メンバーが選ぶ2020年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(3/3)

2021-01-21 18:09:37 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

(2/3)の続き。

H.E さん 

朝が来る(2020日本 監督 河瀬直美)

直木賞、本屋大賞受賞の作家辻村深月原作の映画化。原作は未読。河瀬監督の作品を見るのは「あん」に続き2作目。

実の子に恵まれず、特別養子縁組で男児を迎えた夫婦と、中学生で妊娠し育てることができなかった幼い母親の葛藤と人生を描く。

不妊治療、望まない妊娠、特別養子縁組とテーマは重い。友人からの誘いで中味をあまり知らずに鑑賞。余韻の残る、心を揺さぶられる映画だった。

(下の画像左は居酒屋で子供がいる友人に、精子に問題があり体外受精の話をする夫(井浦新いうらあらた)。画像中は特別養子縁組で男児を迎えた夫婦、左に妻(永作博美)。画像右は望まない妊娠をする中学生(蒔田彩珠まきた あじゅ)

画像出典左:anemo『朝が来る』本編映像解禁&撮影秘話!リアルを追及!本物主義の河瀨監督×役を生きる井浦新の壮絶シーン ―公開中 https://www.anemo.co.jp/movienews/newmovie/asagakuru_16-20201029/ (閲覧2021/1/21)  画像出典中:映画の時間 朝が来る 作品情報 河瀬直美監督、初のミステリー作品https://movie.jorudan.co.jp/cinema/39190/  (閲覧2021/1/21)  画像出典右:映画『朝が来る』公式サイト | 絶賛公開中!http://asagakuru-movie.jp/ (閲覧2021/1/21)

 

おかえり ただいま(2020日本 監督 齊藤潤一)

さまざまな社会問題を取り上げたドキュメンタリー作品を世に送り出している東海テレビによる劇場公開ドキュメンタリー

帰宅途中の女性が拉致、殺害され山中に遺棄された 名古屋闇サイト殺人事件

事件発生直後から取材を始めた被害者の母のドキュメンタリーパート、事件前の母と娘のかけがえのない日々と加害者の生い立ち、境遇を描いたドラマパートの2部構成

ドラマパートがちょっと長かったかなぁ。

忘れたいけど、忘れて欲しくない」という言葉が印象に残った

(下の画像左は実際の母子家庭で育てられた被害女性、手錠を掛けられ、頭部全体をガムテープでぐるぐる巻きにされ、頭部をハンマーで数十回以上殴られ死亡、全裸で山中に放り投げられた。情報元ウイキペディア闇サイト殺人事件。画像中は犯人の3人。画像右はドラマパートでの母と娘のかけがえのない日々場面、母役は斉藤由貴)

画像出典左:ニコニコニュースORIGINAL「痙攣している頭に30回もハンマーを」…娘を殺された母が死刑廃止派弁護士に、あえてむごい娘の死を語った理由【闇サイト殺人事件】https://originalnews.nico/45811  (閲覧2021/1/21)  画像出典中:依存症の独り言 鬼畜に減刑!日本の刑事裁判を疑う!!!http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2011/04/2011-ff76.html  (閲覧2021/1/21)  画像出典右:東海テレビ開局60周年記念ドキュメンタリードラマ「Home ~闇サイト事件・娘の贈りもの~」https://www.youtube.com/watch?v=-13TbYEKeyI  (閲覧2021/1/21)

 

Mさん

フォレスト・ガンプ/一期一会(1995米 監督ロバート・ゼメキス 原題Forrest Gump)

主人公の夢が、コンセプトにしている店舗が職場近くにあり、再見しました。史実映像との合成は上手くハマっていました。ちょとオツムが足りないが真面目さで色んな人の出会いで困難を克服するストーリー。少し、調子が良すぎるが今の時期、勇気がでます

(下の画像は主人公フォレスト(トム・ハンクス)がいじめを受けて逃げるときにアメフトの練習中を横切る場面。その速さで、アメフト選手にスカウトされる。ガンプ(gump)は「うすのろ」「まぬけ」を意味もある。情報元画像出典)

画像出典:「映画「フォレスト・ガンプ」に学ぶ、運も味方も手に入れるまっすぐな生き方」https://next.rikunabi.com/journal/20160722/  (閲覧2021/1/21)

以上です。

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メンバーが選ぶ2020年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(2/3)

2021-01-12 16:32:53 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

(1/3)の続き

F.M さん

①『罪の声(2020日本 監督 土井裕泰)

塩田武士さん(2016年の小説)の映画化で、35年前に日本中を震撼させた[グリコ・森永事件]をモチーフにした、未だ未解決事件のフィクション作品です。特に事件で声を使われた子供達3人に纏わる物語に圧倒され(コロナ禍の今で有っても)我々の自由な生活に感謝しなければと改めて思わせてくれ、多くの人に見てもらいたいと思いました。主演の小栗旬・星野源両氏もさる事ながら、成長した子供の1人を(過酷なダイエットをしたそうで)なりきって演じた宇野祥平氏(横浜映画祭で助演男優賞を獲得)に今後も着目しようと思いました。

☆35年前、あるショッピングモールのSHOPで働いていて、帰りの出入口の所に安くなったパンやお惣菜に混じって、森永のお菓子詰合せが売られていて、協力しようと買って帰ったのを思い出しました。皆さんの35年前は❓

☆主題歌振子を歌っているUruさんにもハマり、それ以来YouTubeでよく聞いていて、その点でもよい出会いになりました。

(下の画像左の左に、犯人は株価操作で儲ける仕手戦が係るかもしれないなど調査を進める新聞記者(小栗旬)、右に自分が当時犯人に声を利用された子供で、父が係っているかもしれない、と調べる役の星野源。犯人は声でばれないよう、あらかじめ子供に金の受け渡し場所などの指示内容を話させて録音し、電話で流してきた。画像右は同じように子供の時に声を利用された役の宇野祥平)

画像出典左:映画.com小栗旬×星野源「罪の声」場面写真16点 野木亜紀子作品常連メンバーの姿も活写https://eiga.com/news/20200909/8/ (閲覧2021/1/11)  画像出典右:シネマトゥデイ『罪の声』宇野祥平、10キロ減量の熱演に反響!小市民からサイコパスまで、熟練の名バイプレーヤーhttps://www.cinematoday.jp/news/N0119614 (閲覧2021/1/11)

 

②『そらのレストラン(2019 日本 監督 深川栄洋)

大泉洋主演の『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』に続く北海道シリーズの3部作目の作品との事で、海の見える牧場で酪農とチーズ作りに励む主人公家族とその仲間達を、自然の豊かさと共に描いた物語です。

北海道久遠(くどう)郡せなた町で循環農業に取り組む自然派農民ユニット・やまの会をモデルに描かれたそうで、生きる上で不可欠な食を通して、人生の幸せとは何かを問います。

☆北海道生まれで、今まさに食にも目覚めて・・・なので、単純に楽しめました

(下の画像左は牧場での出演者たち。海が見える広い牧場の真ん中にテーブルを置き、地元食材を使った1日だけのレストランが計画される。画像右はロケ地)

画像出典左:シネマトゥデイ 大泉洋が主演『そらのレストラン』ビジュアル&新キャスト!https://www.cinematoday.jp/news/N0102358 (閲覧2021/1/11) 画像出典右:本当は教えたくない?30代男子がおすすめする特選映画。映画そらのレストランロケ地・撮影場所(大泉洋目撃情報アリ)https://setuyakun.com/archives/3529 (閲覧2021/1/11)

 

③『プラダを着た悪魔(2006米 監督デビット・フランケル 原題The Devil Wears Prada)

ゴージャスなファッション業界の舞台裏をコミカルに見せた作品です。

おしゃれに無関心なジャーナリスト志望の主人公(アン・ハサウェイ)は、ニューヨークの一流ファッション誌編集部でカリスマ編集長(メリル・ストリープ)のアシスタントとして、生活費を稼ぐ為と割り切って働く事になる。一見誰もが憧れる夢のような仕事だが、それは編集長の理不尽な要求に振り回される過酷なものだった。様々なエピソードの中、編集長の様に周りの人を犠牲にしてまでファッションの世界に全てを賭ける気持ちが自分には無い事に気付く。(成長して充分認められた上で)最終的に主人公は、自分らしい道を選び伸びやかに生きて行く事に。ハッピーなラストに、やはり元気をもらいました

☆私も7年間程(やはり生活の為と思い)面白くも過酷なファッション関係のお仕事をさせて頂き、そんな中で幼い時から好きだった雑貨や手作り関連の仕事をする方向に目覚め・・・ライフワークとして、現在も当たり前の様にそれらは自然に周りに有り、日々幸せです

(下の画像左は悪魔と言われる厳しいファッション雑誌編集長(メリル・ストリープ)。画像右は新入社員の主人公(アン・ハサウェイ)。プラダはイタリアの高級ファッションブランド)

画像出典左:エンタマトメ『プラダを着た悪魔』のファンには絶対観てほしい!オススメ映画6選https://pickup.cinemacafe.net/articles/2516?page=1 (閲覧2021/1/11) 画像出典右:Ameba プラダを見た事ない悪魔②https://ameblo.jp/dora0069/entry-12209145742.html (閲覧2021/1/11)

今回の3本もとても迷いましたが、あくまで自分にとっての印象的な作品を選びました。

*テレビで[こんな夜更けにバナナかよ]を見て、途中のたくさんのCMに気持ちを削がれる事と、感動したカラオケの場面がほとんどカットされてた事にガッカリして(改めてCMの入らないNHKBSでも無い限り)やはりテレビと映画館は別物と実感させて頂きました。

*NHKの[ソーイング・ビー2]と言う(英BBC制作)イギリス全土から集められた様々な年代の10人の男女(男4:女6)が色々な裁縫の課題の作品を制作し、全国裁縫1番を選ぶコンテストを勝ち抜いて行くストーリーで、とても興味深く見ました。1も有る様で、もちろんそちらも見たくなりました。  

 

S.T さん

1、『光の旅人 K-PAX(2001米、監督イアン・ソフトリー 原題: K-PAX)

以下のストーリーはネタバレがありますが、ストーリーを分かっているほうがじっくりと味わえる秀作に思えます。全体に軽いタッチで流れるように展開し、刺激的な映像はありません。

ストーリー:駅構内の不審な男を警察官が連行する。男は遥か遠くのK-PAX星からやって来たと言い精神病院に送られてしまう。精神科の医師は初めのうちは単なる妄想か虚言と判断していたが、男の落ち着いた振る舞いや宇宙についての理路整然とした説明に、なんなんだろうと思う。男は他の患者たちにK-PAX星は地球とは違った習慣があることや宇宙の旅について話し、患者たちは興味を示す。それまで回復が見込まれていない患者たちが、回復していく。患者の中には、男と一緒に宇宙の旅に行くと言いだすものも出てくる。精神科医は天文学者たちを集めて男に質問する機会を作るが、天文学者たちは男の知識の深さに唖然とする。精神科医は睡眠療法で男の深層心理を探ると、家族に問題があるらしいことが浮かび上がる。ある日、男は患者たちに今から一緒に宇宙の旅に出ないかと誘う。さあ結末はどうなるでしょう?ここは観てのお楽しみにしておきます。

感想:SFとも言えない、奇妙な作品です。主人公は本当に宇宙の旅人なのか?さわやかな不思議さが残ります

(下の画像は男(ケヴィン・スペイシー)がプラネタリウムで天文学者たちのK-PAX星はどこにあるのかなどの質問に答えている場面)

画像出典:ふくの映画ブログ「光の旅人 K-PAX」https://blog.goo.ne.jp/gonfuku923/e/4cc98307907386a24f596659f319e41a (閲覧2021/1/7)

2、『母 小林多喜二の母の物語(2017日本、監督山田火砂子)

この映画を見て、小説家小林多喜二が小説を通して「貧困にあえぐ人を何とかしたい」と思ったきっかけは、貧しい家で育ち、学校にいけないために文字も十分に書けない母の姿を見ていたからではないかと思う。そういう境遇の母が実は愛情豊かな人である、という現実だったと思った。

ストーリー:秋田県の貧しい家の娘として育った母が15歳で同じく貧しい小作農の小林家へ嫁いだ。2男2女を育てた母の人生が、次男の多喜二の人生と重ねて描かれていく。(筆者推測:多喜二は喜びの多いことを願って付けられた名前。二は次男)

感想:リアリズムというより演劇調の抽象性で本質を浮かび上がらせるように作られているように感じる。当時の特高の残虐性などをリアルに描くというのはこの映画の目的ではないように思うので、そうしたリアリズムを期待すると、物足りないと感じる人がいるかもしれない。多喜二は貧困にあえぐ人を何とかしたかった、それが共産主義につながったと思う。多喜二の母は多喜二が貧しい人のことを思う心を、多喜二は優しい」と話す。多喜二が生きたのは90年も前のことだが、今の新型コロナで貧困にあえぐ人が増え、格差が激しくなる様子は今と当時が似ているように思う。原作はクリスチャン(プロテスタント)三浦綾子の『母』で、キリストが何も悪い事をしていないのにローマ軍に磔(はりつけ)の拷問を受け殺されたことと、多喜二が拷問で殺されたことが重ね合わされて、映画の終盤になる。宗教の中には共産主義思想と共通基盤を持つものがあるように思う。ソ連や中国の「自由の問題」と合わせて別の機会に考えたい。

(下の画像左は右に母(寺島しのぶ)、左に父(渡辺いっけい)。伯父が小樽で工場に成功し、その誘いで秋田から希望をもって小樽へ移り人力車に乗っている場面だったと思う。画像中左は実際の多喜二、映画では塩谷瞬が演じた。画像中右は2000年に発見された多喜二が特高の目を逃れて小説を書いていた神奈川県厚木市の七沢温泉の福元館。「神奈川多喜二の会」が、多喜二が七沢温泉から手紙を出しているという情報を得て、七沢温泉の全旅館に電話をすると福元館の館主(当時89歳)が「それはうちです」と応えて発見された。画像右は福元館の多喜二が使っていた部屋で、中央の机や火鉢や左に掛っている丹前(たんぜん:綿を入れた上着)2着は多喜二が使っていたもの。大切に保管されていた。情報元:プログラム福元館は現存温泉宿、多喜二が使った離れを今でも見ることができます。福元館公式サイト http://fukumotokan.jp/ )

画像出典左:高崎映画祭http://takasakifilmfes.jp/2018/cinema/211/ (閲覧2021/1/8)  画像出典中左:港区ゆかりの人物データベース 小林多喜二https://www.lib.city.minato.tokyo.jp/yukari/j/man-detail.cgi?id=117 (閲覧2021/1/8)  画像出典中右と右:プログラムの北海道新聞2016年11月5日(夕刊)を筆者がコピー

リアリズム:特高警察の残虐性の現実を知りたい人用映画の表現とは少し離れるかもしれません。残虐が苦手な人はパスしてください興味がある人はどうぞ

下の画像は殺された時の多喜二の写真。多喜二は東京赤坂の街頭で人と会うために待っていたところを特高に検挙され、7時間後に築地署で殺された。拷問は3時間程度続き、29歳の多喜二は絶命した。画像と同じ情報元に安田徳太郎医学博士とともに遺体を検査した作家江口渙が『作家小林多喜二の死』の遺体検査記録を記している。以下は情報元の抜粋と筆者の推察。『左のこめかみに6か所の打撃痕』(筆者推察:特高は右利き)『…首には一まき、ぐるりと深い細引の痕がある。よほどの力で締められたらしく、くっきり深い溝になっている。そこにも、無残な皮下出血が赤黒く細い線を引いている。左右の手首にもやはり縄の跡が円くくいこんで血がにじんでいる。だが、こんなものは、からだの他の部分とくらべるとたいしたものではなかった。さらに、帯をとき、着物をひろげ、ズボンの下をぬがせたとき、多喜二の最大最悪の死因を発見した私たちは、思わず『わっ』と声をだして、いっせいに顔をそむけた…』詳細は情報元参照。(筆者推察:多喜二は当時作家同盟の中心的な役割をしており、特高が、多喜二が会おうとしていた相手などを聞き出そうと拷問し、それでも何も話さなかったので、最後に殺したと推察する。首の溝の深さから鉄線のようなものを首に巻き、両端を二人で持ち、引っ張って殺した可能性がある。一人の力では若い多喜二は死ななかったのではないかと思う。太もも付近に集中しているのは、頭部などを殴った後、後ろに縛った両手を天井に吊るし上げ、太もも付近はちょうど殴ったり刺したりしやすい高さだったのだろう。太もも付近を集中的に鉄棒のような固い棒で殴り、アイスピックのようなものを刺した。刺した後が15,6個所あったが、さらに殴ったため刺した穴から肉が出ているところがある。情報元では釘を打ち込んだのだろうとなっている。たぶん性器も潰されていたと思う)。遺体のモノクロ写真で黒く見える太ももは、実際は皮下出血で赤色を帯びパンパンに腫れ上がっていた。背中も全面的な皮下出血。文字を書く右人さし指は手の甲の側へ曲げられて骨折、指はふにゃりと手の甲にぴったりと付く。歯もぐらぐらになって僅かについていた。医者は「腸も破れ、腹の中は出血でいっぱいでしょう」と言った。遺体が、見せしめであろう、遺族へ返されたとき、多喜二の母は遺体に向かい涙を流しながら「もう一度立たねか、みんなのためもう一度立たねか!」と言ったという。

画像出典元情報『特高は、東大・慶応、慈恵医大に圧力をかけ、遺体解剖を拒絶させた。真相が広がるのを恐れて葬儀に来た人を次々に検束した。時事新報記者笹本寅が、検事局へ電話をかけて、「検事局は、たんなる病死か、それとも怪死か」と問い合わせると、「検事局は、あくまでも心臓マヒによる病死と認める。これ以上、文句をいうなら、共産党を支持するものと認めて、即時、刑務所へぶちこむぞ」と、検事の一人が大喝して電話を切ったという事実も書き残されています』。当時も拷問は禁止されていたので検事局は徹底的に隠蔽した。この事件について『どの作家も、自分に火の粉が降りかかることを恐れ。文学界は沈黙を守った』詳細は画像出典元にあるので、興味のある方は参照ください。多喜二は激しい拷問にもかかわらず特高が必要としていた多喜二の交友関係については一切話さなかったと思われる。

多喜二が死亡した1933年以後日本軍などによる中国大陸侵攻がさらに進み1937年には北京近くの盧溝橋で軍事衝突(盧溝橋事件)があり、日中戦争、アジア太平洋戦争へと突き進むことになる

画像出典と情報元:Luna's “Tomorrow is another dayhttps://blog.goo.ne.jp/psyche-box/e/a3a4df901d7824d921ca553392e8c4eb (閲覧2021/1/8)

余談:私が米国のボストンへ行ったとき、駅近くの車が行きかう道路の端の安全地帯(少し高くなっている場所)で胸に解雇されたと書いたものを下げ、空き缶を持っている人がいた。悪く言えば物乞い(ものごい)。道路でお金をくれる人がいるのだろうかと少し遠くの影からしばらく見ていると、高級車は決して止まらないが、小型車や安そうな古いと思われる車が何台も止まり窓を開けて小銭をチャリンと入れていた。この経験を一般的にすることはできないが、お金に余裕のある人のほうが冷たく、貧しい人のほうが生活苦を理解して同情するのではないかと思う。多喜二は母や小樽の工場などで働く人を見て貧しい人の生活苦を理解し、同情する心を持ったのではないかと思う。 

3、『アリ地獄天国(2019製作2020公開日本 ドキュメンタリー 監督 土屋トカチ)

昨年11月から12月にかけて横浜シネマリンで上映していたのですが、新型コロナ感染が気になり見送った映画です。機会があれば見たい作品として挙げました。

映画内容の事前情報大手引越会社の正社員が、長時間労働や事故で生じた費用は自腹などで「アリ地獄」と揶揄される状況を問題にし、個人加盟労働組合(ユニオン)に加入したら配置転換、給料半額、ついに解雇に追い込まれるなどを追った3年間のドキュメンタリー。情報元:公式サイト他。

見ようと思う動機:私が横浜へ引っ越してくるとき3社の引越会社から見積もりを取って決めたのですが、その時の状況がこの映画の背景に関係すると思い見てみたいと思った。見積もりは他社にも頼んでいると言っていないときには3社とも40万円前後だったが、他社にも見積もりを頼んでいると話すと急に30万円程度に各社とも下げてきて、何社に見積もりを頼んでいるか、他社はどこか、を聞いてきた。話すと業者間で談合されると困るので話さないでいると、競って下げてくる。引越市場は年間500万件程度でその限られた市場の取り合いが激しいことが分かってくる。結局一番安いところは20万円強だったが、安すぎて問題が生じると困ると思い、1割ぐらい高い、2番目に安いところに決めた。それでも横浜についた時の荷下ろしは問題なかったが、エアコンのダクトのセッティングがしてもらえなかった。作業員は外注の人らしく顧客そっちのけで手間賃が安すぎると盛んに携帯で、大声でもめていた。また、次の仕事が入っているのでダクトセッティングの時間が取れない様子でもあった。ダクトセッティングはいいよと言って帰ってもらった。新たに別費用でエアコンメーカにダクトのセッティングを依頼した。引越全体は最初の40万円程度よりはずいぶん安く済んだが、合い見積もりで競争をさせるという手法や、安いところが生き残るという原理が単純にいいことか?考えさせられる経験だった。引越会社の激しい競争と働いている人の厳しい状況を見た思いがする。『アリ地獄天国』はこの引越会社の状況を会社の内側から捉えていると思い、見てみたいと思う。

画像は省略。

(3/3)へ続く。

コメント (2)
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メンバーが選ぶ2020年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(1/3)

2021-01-11 21:34:54 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーからメールで頂いた2020年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品は次の通りです。作品西暦は特記がなければ日本公開年度、次に製作国です。メンバーが2020年後半に観たもので公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルBDなどを含めて選んでいます。これから見たい映画も取り上げていいとしています。今回は新型コロナのため映画館自粛があり、観る機会が限られていますので、2020年後半に観た映画でなくてもいいとしています。

O.A さん

サイレント・トーキョー』と『ジョゼと虎と魚たち』の2作品です。両作品とも映画と原作との違いついて書きました。

サイレント・トーキョー〔(99分)2020年12月4日公開〕

(ストーリー)

クリスマスイブの東京。恵比寿に爆弾を仕掛けたという一本の電話がテレビ局にかかって来た。半信半疑で中継に向かったテレビ局契約社員と、たまたま買い物に来ていた主婦は、騒動の中で爆破事件の犯人に仕立て上げられてしまう。

(スタッフ・キャスト)

監督:波多野貴文、原作:秦建日子、脚本:山浦雅大

出演:佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、勝地涼、財前直見、鶴見辰吾

(感想)

テロリストと警察との攻防戦を描いた娯楽エンターテインメント映画ですが、上映時間を99分に納めるために原作をかなり省略しているせいか、メインキャストの佐藤浩市と石田ゆり子の関係性が全く分かりませんでした。映画を観た知人にも確認しましたが、やはりよくわからなかったとの返事。ならば、原作を読んでみようと原作本を購入して年末年始で読破しました。原作を読んでやっと謎が解けました原作では佐藤浩市と石田ゆり子をつなぐキーパーソンが存在するのですが、映画ではこの人物が登場しません。名前すら出てきません。これでは、映画だけ観てもわかる訳がない。この変更の原因は脚本にあるのでは?と思いました。他にも原作からの変更箇所で気になる部分が多々ありました。この映画の脚本を担当した山浦雅大(やまうら・まさひろ)の過去の作品を調べてみると『亜人』(2017年)と『ハルチカ』(2017年)の脚本を担当していました。両方とも鑑賞した映画ですが、原作からの改変が酷い映画だったことを思い出しました。『亜人』は原作では、平凡な高校生の主人公を映画では26歳の研修医に変更していました。非力な高校生が不死身の身体になるのが面白いのに…。『ハルチカ』では、推理小説の原作から推理の要素を完全に排除していました。推理の部分が面白いのに…。でも、今年『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』『ブレイブ -群青戦記-』の2作品が公開予定とのこと売れっ子脚本家なのですね。

〔下の画像左は爆発予告現場にいる群衆の一人(佐藤浩市)。画像右は爆発予告の混乱に巻き込まれる主婦(石田ゆり子)〕

画像出典左:FASHION-PRESS映画『サイレント・トーキョー』佐藤浩市×西島秀俊共演、クリスマス前に起きた連続爆破テロ事件を描く https://www.fashion-press.net/news/55272 (閲覧2021/1/8)画像出典右:CINRA.NET恵比寿がパニック、佐藤浩市主演『サイレント・トーキョー』本編映像公開https://www.cinra.net/news/20201130-silenttokyo (閲覧2021/1/8)

 

ジョゼと虎と魚たち〔(98分)2020年12月25日公開〕

(ストーリー)

大学で海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコに生息する幻の魚を見るという夢を追いながら、バイトに勤しむ日々を送っていた。そんなある日、坂道を転げ落ちそうになっていた車椅子の女性ジョゼを助ける。

(スタッフ・キャスト)

監督:タムラコータロー、原作:田辺聖子、脚本:桑村さや香

声の出演:中川大志、清原果耶、宮本侑芽、興津和幸、Lynn、松寺千恵美

(感想)

2003年に妻夫木聡と池脇千鶴で実写映画化された『ジョゼと虎と魚たち』のアニメ版です。実写版も観ていますが、なんだか印象が全く違う映画になってました。実写版はすごく切ない映画だったような気がしたのだが…。今回のアニメはすごく前向きな映画になってました。こちらも原作が気になって原作本を購入しました。原作本は、短編集で『ジョゼと虎と魚たち』はたったの26ページしかありませんでした。なので、上記ストーリーにある"幻の魚を見るという夢"とか"バイトに勤しむ"といった描写は原作には微塵もありません。完全にアニメ用のオリジナル設定です。原作の短さを補うため、映画用に登場人物やエピソード、設定を大幅に創作して増やしています。結末も原作にないアニメオリジナルの結末が用意されていました。原作ではジョゼと恒夫の関係性に明確なオチをつけないまま終わります。なので、実写版もアニメ版も結末は映画独自のオリジナルとなっていて、実写とアニメで鑑賞後の印象が異なるもの合点がいきました。ここまで映画独自の要素が多いと原作というよりも原案に近い気がしました。

(下の画像は、左に海洋生物学を専攻する恒夫、右に車椅子の女性ジョゼがいる)

画像出典:映画.com ジョゼと虎と魚たち https://eiga.com/movie/92249/ (閲覧2021/1/8)

 

Y.Tさん

2020年に見た印象的だった映画です。色々と悩んで、この量の文しか書けませんでした。文を書いたり、発信することの凄さを知りました。

チョコレートドーナツ(2012アメリカ、監督トラビス・ファイン、原題 Any day now)

「1970年代のニューヨークのブルックリンでゲイの男性が育児放棄された障害児を育てた」という実話に着想を得て製作された映画

(ストーリー)1979年のカルフォルニア。薬物中毒の母親から育児放棄されているダウン症の少年マルコ、その隣に住むゲイのパフォーマールディルディと検事局に勤めるポールは恋に落ちる

それと同時に、マルコの養育環境の酷さに見兼ねたルディはマルコを強引に引き取り、マルコ・ルディ・ポールの3人は“家族”になる。そして、一瞬の幸せは引き裂かれていく

(感想)バッドエンドです。フィクションだと分かっていても、涙が止まりませんでした

原題のAny day now、今の時代が、今日が、過去が望んだいつの日かになっているのだろうか…と思います。

(下の画像の中央に育児放棄されたダウン症の少年マルコ、両側にマルコを育てるゲイの二人。英語のゲイgayには「陽気な人」という意味があります)

画像出典:MOVIE-CFH【実話感想・考察】映画『チョコレート・ドーナツ』ラスト結末が切なすぎる※ネタバレあり https://movie-c-f-h.com/anydaynowkanso  (閲覧2021/1/10)

 

A さん

今回はコロナ禍の中、厳選して観た劇場公開作品3本について書きます。

劇場(2020年日本 監督/行定勲 原作/又吉直樹)

 又吉直樹原作、行定勲監督、山崎賢人主演というだけで、観る価値ありの映画だ。しかし、これは日本では「映画」というカテゴリーに入れないらしい。ミニシアターでの劇場公開より一足早くネット配信したからだ。各映画賞への参加も難しかったらしく残念に思う。

 いつになく長髪で汚れ役の山崎賢人が良い。傲慢で嫌な男、でも演劇という自分の世界には信念があり、女にとって放っておけない男、永田を好演している。そんな永田に紗希(松岡茉優)は献身的な愛を捧げるが、耐え忍ぶ日々からいつしか精神を病んでしまう。

私が好きなのは、浮気をした沙希を後ろに乗せた永田が桜のトンネルの中を自転車で走るシーン。永田は沙希を責めない。自分にも非があるのはわかりきっていて、後ろめたさと照れと不器用な愛がないまぜになる。ずっと長く独り言のようにおちゃらけた言葉を後ろの彼女に語り続ける。彼女はいつしか彼の服をそっとつかみ嗚咽する。

 ラストの仕掛けには賛否両論があるが、概ね好評のようだ。私もこのラストには驚いたが、見せるインパクトという意味でとても映画的だと思った。別れた後で、永田が沙希のことを演劇化したということは彼女に未練ありと思う。が、それを観終わった紗希のちょっと暗さとあきらめと前を見据えた表情から、彼女はきっと新しい生活に向かうのだろうと感じた。

(下の画像左の左に長髪の永田(山崎賢人)、右に献身的な愛を捧げる紗希(松岡茉優)。画像右は沙希を後ろに乗せた永田が桜のトンネルの中を自転車で走るシーン)

画像出典左:映画.com 劇場 https://eiga.com/movie/91527/  (閲覧2021/1/9)   画像出典右:夢を追う主人公と支える彼女…すれ違っていく山﨑賢人&松岡茉優の姿が切ない 又吉直樹原作『劇場』本予告映像 https://times.abema.tv/news-article/7042106   (閲覧2021/1/9)

スパイの妻(2020年日本 監督/黒沢清)

ベネチア国際映画祭の監督賞を受賞したことで話題になった作品。黒沢監督の作品を観るのは『トウキョウソナタ』『岸辺の旅』に続いて三作目。

太平洋戦争前夜の神戸が舞台となる、ある貿易会社社長夫婦の物語。もともとはNHKの8Kドラマだったということで、高精細のためかやや綺麗すぎる感はあるにしても服装やインテリアも含めその時代の雰囲気が良く出ている。高橋一生演じる社長と蒼井優演じるその妻の心理劇がサスペンス・タッチで進む。話は関東軍の人体実験にまで及び、その実態を映したフィルムの存在を巡って、夫がスパイなのではないかと疑う妻は、夫と共に生きることを誓いある行動を起こす。その先に待ち受けていたのは、離れ離れになる運命だった。

映画後半、どんでん返しが続くので、ラストはいかようにも解釈できる。光と闇の映像は美しく高橋一生や東出昌大の安定した演技もさることながら、夫を愛し信じぬき、狂気をはらむ演技を見せた蒼井優の存在感はさすが。いつかもう一回、じっくりと観てみたい映画だ。

〔下の画像左は奥に貿易商の夫(高橋一生)、手前に妻(蒼井優)。画像右は夫をアメリカのスパイではないかと取り調べる憲兵(東出昌大)。ウイキペディア「憲兵 (日本軍):軍警察、治安維持、防諜を主要任務」〕

画像出典左:映画.com スパイの妻 劇場版 https://eiga.com/movie/93378/  (閲覧2021/1/10) 画像出典右:映画「 スパイの妻 」ネタバレあり解説、今作は和製マリアンヌとでも言いましょうか https://chicosia.com/spynotsuma-review/  (閲覧2021/1/10)

●『マーティン・エデン(2019年伊仏 監督/ピエトロ・マルチェッロ 原題Martin Eden。原作/『MARTIN EDEN』ジャック・ロンドン)

原作者のアメリカの作家ジャック・ロンドンは工場労働者や漁船乗組員などの仕事を経て、冒険小説で名を馳せ世界的な作家となって成功するが、1916年に40歳で自らの命を閉じている。

映画『マーティン・エデン』はそんな破天荒な人生を送ったジャックの自伝的作品である。特筆すべきは、舞台をイタリアのナポリに移し、主役のマーティンを「イタリアのアラン・ドロン」と言われベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞した注目の俳優ルカ・マリネッリが演じていること。(個人的にはアラン・ドロンとは似て非なるものと思ったが。)

舞台をナポリに移したことで味わいは深まっている。貧しく無学な青年がブルジョワの美しい女性に恋をして、その位置まで上り詰めたくて、文字を教わることから始めて作家になることを夢見ていく。そのサクセス・ストーリーはいかにもアメリカ的だが、すべてがうまく進むわけではない。インテリになった彼は、あらゆる職種の人々と知り合い、政治思想にものめり込んでいく。若い日の情熱は移ろいやすく、人生は時にほろ苦い

観る前には『風と共に去りぬ』のような大河ドラマかと思っていたのだが、イタリアのエッセンスのあるドキュメンタリー的な作品だった。観た後で大きな感動が押し寄せるわけではなかったが、ジャック・ロンドンの人生とその著作に興味を持ったのは確かである。

(下の画像はマーティン・エデン役を演じた俳優ルカ・マリネッリ)

画像出典:Ameba ルカ・マリネッリ(Luca Marinelli)イタリア俳優https://ameblo.jp/lingtositetk1223/  (閲覧2021/1/10)

 

N さん

ミッドナイトスワン(2020日本 監督内田英治)

あらすじ:新宿のニューハーフショークラブで四羽の白鳥を踊っていたトランスジェンダーの凪沙(なぎさ)が、母親から育児放棄されている姪で中学生の一果(いちか)を預かることになった。一果のバレエの才能を見出されたことによって、凪沙は彼女の母親になる決心をするが…さまざまな葛藤が描かれる。

感想凪沙と一果の内に秘めた苦悩・痛み・悲しみ・叫び、がひしひしと伝わってきました

ラストシーンは、一果役の若干13歳の服部樹咲(みさき)さんが“白鳥の湖の主役のソロパート"を見事に踊りきり、暗く重いこの作品自体と凪沙役の草彅さんに光を当ててくれるようで、胸が熱くなりました

(下の画像左はニューハーフショークラブの楽屋で白鳥の衣装の凪沙(草彅剛)。画像中は左に凪沙、右に一果(服部樹咲)。画像右はバレエ教室での一果)

画像出典いずれも:Mirtomo『ミッドナイトスワン』あらすじ・ネタバレ感想!草彅剛がトランスジェンダーを熱演!とことん切ない愛の物語https://mirtomo.com/midnightswan-review/ 

 

劇場(2020年日本 監督 行定勲 原作 又吉直樹)

あらすじ:解散状態になってしまった劇団主催者の永田と彼の才能を信じた女優志願の大学生沙希。その二人の7年間の物語。

感想:切ない恋愛映画でした。山崎賢人さんのやさぐれ感が秀逸でした。テレビでキングダムを見た後だったので、出演者の名前を確認してしまいました。

(下の画像左はやさぐれ感が秀逸の永田役の山崎賢人。画像右は「キングダム」で信(しん)役の山崎賢人)

画像出典左:シネマトゥデイ 山崎賢人が主演!又吉直樹「劇場」映画化!ヒロインは松岡茉優https://www.cinematoday.jp/news/N0109968 (閲覧2021/1/11)  画像出典右:ORICON NEWS映画『キングダム』写真集の一部カット公開 山崎賢人&吉沢亮&橋本環奈ら熱演の姿。トリミング。https://www.oricon.co.jp/news/2132901/full/ (閲覧2021/1/11)

その2/3へ続く

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