『日々是好日』(2018日本 監督大森立嗣)。『道』(1954伊 監督フェデリコ・フェリーニ 原題La Strada直訳:道)
サークルメンバーに良かったという人が多かったので、また自宅のすぐ近くの市民館大ホールで上映されたので『日々是好日』を観てみました。ブログ記事で他のメンバーが触れていない、印象に残ったところを以下に記しています。多少ネタバレがあります。
映画は、主人公が小学生の頃に両親に連れられてフェリーニの『道』を観て帰り、家に入る場面で、父親が良かったねと言うのに対し、白黒で何がいいんだか分らなかった、というナレーションで始まる。
映画の中盤でもフェリーニの『道』のことがナレーションで入る。映画の終盤でも、茶道を13年続け主人公が茶道の先生を高齢になった武田先生(樹木希林)から引き継ぐことになった後の、海岸の砂浜を散歩している場面で「フェリーニの『道』が何で良いか分かったような気がする」とのナレーションで映画は終わる。『日々是好日』と『道』は内容が全く異なるが、人生とはどんなものかを表現しようとしている点は似ている。似てはいるが『道』は重厚で深みがあり『日々是好日』は深みの点では足元にも及ばないように思う。そのことを『日々是好日』の大森立嗣(たつし)監督は分かったうえで、茶道を通して現代人の人生を淡々と表現したように思う。きっと大森立嗣監督はフェリーニの『道』が大好きな作品なのだろうなと『日々是好日』を見て思った。フェリーニの『道』は私にとっても影響を受けている最高傑作の一つです。
下の画像左は奥の黄色い服が主人公で20歳の時の家族、小学生の時にフェリーニの『道』が良かったと話していた父親役鶴見慎吾が左手前にいる。画像右は砂浜の場面、手前の青い服が主人公役黒木華、向うに年上の従妹役多部未華子。終盤ではこの砂浜を、従妹が結婚し、茶道の先生を引き受けた後、1人で座り、「フェリーニの『道』が何で良いか分かったような気がする」とのナレーションが入る。フェリーニの『道』も砂浜で涙を流す主人公の場面で終わっている。
画像出典左:『日々是好日』予告編www.nichinichimovie.jp (閲覧2019/5/19) 画像出典中左:映画の時間日々是好日作品情報 ©2018「日日是好日」製作委員会 https://movie.jorudan.co.jp/cinema/35805/ (閲覧2019/5/19)
画像下の左はフェリーニの『道』の大道芸で鎖を切る力男の場面。力男は大道芸の「投げ銭」で生活している。力男はある街で身寄りのない知的障害のある女性と知り合い、場を盛り上げるのに使えると思い、女性に太鼓の叩き方を教える。画像中左は太鼓を教えている場面。女性は言われた通りに力男の芸を、太鼓をたたいて盛り上げる。力男はトランペットを女性に教えるが、女性はトランペットが気に入り一人でいる時には簡単な同じ曲を何回も奏でている、画像中右はその場面。画像右は荷台が付いたオートバイが次の街へ移動中に溝に車輪が落ち、出している場面、左のオートバイのところに力男、右の荷台を後ろから押しているのが女性。荷台は2人の寝床で生活の全財産が入っている。この二人の人生が、旅をする道と重なり描かれる。フェリーニの『道』は横浜映画サークルが1978年に市従会館で自主上映をしている。本ブログ記事『自主上映の記録 こんなことをやっていました。昔の人はパワーが有りましたね!』参照
画像出典左:Mizumizuのライフスタイル・ブログ2010.05.10フェデリコ・フェリーニの「道」https://plaza.rakuten.co.jp/mizumizu4329/diary/201005100000/ (閲覧2019/5/19) 画像出典中左:フェデリコフェリーニの回顧展<道>から<カサノバ>まで2010年 06月 09日https://kazem2.exblog.jp/12776176/ (閲覧2019/5/19) 画像出典中右:2015年 06月 15日フェデリコ・フェリーニ監督映画『道』https://tarusatoko.exblog.jp/23272360/ (閲覧2019/5/19) 画像出典右:MikSの浅横日記フェリーニの『道(La Strada)』について・・・その1 [探求]https://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2012-08-22 (閲覧2019/5/19)
以上S.Tでした。