横浜映画サークル

サークルメンバーの交流ブログです。

メンバーの鑑賞感想や映画情報など気軽に記述しています。

メンバーが選ぶ2020年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(2/2)

2020-07-21 17:34:57 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーが選ぶ2020年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(1/2)の続きです。

Mさん

ウェスタン(1969伊米合作、監督セルジオ・レオーネ 原題伊語C'era una volta il West直訳:昔々西部で)

大陸横断鉄道敷設によって新たな文明の波が押し寄せていた西部開拓期。ニューオーリンズから西部に嫁いできた元・高級娼婦のジルは、何者かに家族全員を殺され、広大な荒地の相続人となった。莫大な価値を秘めたその土地の利権をめぐり、ジルは、鉄道会社に雇われた殺し屋、家族殺しの容疑者である強盗団のボス、ハーモニカを奏でる正体不明のガンマンらの熾烈な争いに巻き込まれていく。

大俳優、ヘンリーフォンダが珍しい悪役凄みのあるワルを演じています。ジルはクラウディア・カルディナーレが演じ、妖艶な魅力を発揮しています。鉄道施設風景が非常で広大なスケール感があります。

(下の画像左はハーモニカを奏でる正体不明のガンマン役チャールズ・ブロンソン、右にジェイスン・ロバーズ。画像中左は凄みのあるワル役を演じるヘンリーフォンダ。画像中右は列車から降りるジル役クラウディア・カルディナーレ。画像右はハーモニカの男が鉄道駅で降りた(中央に小さく見える)のを迎え撃つ手前の3人の男、最初の決闘場面、広大なスケール感)

画像出典左:お気楽おやじの備忘録 セルジオ・レオーネ監督の映画「ウエスタン」は本当に傑作なのだろうか?https://ameblo.jp/miura1954/entry-12605711154.html (閲覧2020/7/19)   画像出典中左:映画は娯楽だ ウエスタンhttps://plaza.rakuten.co.jp/mag7cup/diary/200905200000/ (閲覧2020/7/19)  画像出典中右:妄想の荒野~矢端想のブログ「ONCE UPON A TIME IN THE WEST」http://blog.livedoor.jp/yabataso/archives/65465095.html (閲覧2020/7/19)  画像出典右:映画.comセルジオ・レオーネ「ウエスタン」、原題で2時間45分オリジナル版を公開https://eiga.com/news/20190625/6/ (閲覧2020/7/19)

キャプテン・フィリップス(2013米 監督ポール・グリーングラス 原題Captain Phillips)

ソマリア沿岸を航海していた貨物船マークス・アラバマ号は海賊の襲撃を受ける。 船長フィップスは流血沙汰を避けようと海賊と攻防を繰り広げるが連れ去れてしまう。 ... 海賊せざる得ないソマリア漁師達の実情も描く、マークス・アラバマ号乗っ取り事件を元にした社会派映画。

犯人達の痩せこけた顔、体がよりリアルさを醸し出しています。現地の方かなと思われるような、演技に拍手。今も何処かの海で海賊が横行していることに驚きです。

(下の画像左はリアルさを醸し出している痩せこけた海賊達。画像右は鉄のはしごを掛けて乗り込む場面。貨物船は放水で撃退しようとする)

画像出典左:キャプテン・フィリップス https://www.ag-n.jp/wp/?p=292 (閲覧2020/7/19)  画像出典右:TSUTAYAキャプテン・フィリップスhttps://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00007ZJTG (閲覧2020/7/19)

 

Uさん

1)『新聞記者(2019日本 監督 藤井道人)

2019年に公開され、昨年度に印象に残った映画として横浜映画サークルのメンバー2名が取り上げていたものです。日本アカデミー3部門受賞を受賞したこともあって、今年になり映画館で観ました。

映画の内容はすでに紹介されているので簡単に述べさせてもらいます。この作品は某大学校設立に関する不正問題の証拠を隠蔽しようとする内閣情報調査局と、それらの事実を暴露しようとした内部関係者および新聞記者の真実追求の物語となっています。現実の事件を暗示しており、現政府を批判した社会派映画として作成されています。ただし、森加計問題などにはなかった、大学の(反社会的)設立目的や実在しない人物を登場させているのは、フクションという姿勢を維持することで(映画の)安全性と娯楽性を加えているのだと思いました。かなりの力作でしたが、私はパロディーとして面白く見ることができました。でも、過去にはこうした社会派映画がたくさんあったのに、今年この映画が注目されたのは最近の国内映画産業の衰退のせいかもしれません。映画にはいろんな主張があっていいのですが、興行ばかりを考えて、子供向けのアニメやとりとめのない家族ものばかりになっているのは残念です。

なお、同じ2019年には米国映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』が公開されました。この映画は当時のアメリカ政府の「イラク核保有でっち上げ」を真っ向から反論し新聞報道した新聞記者たちを事実に基づいて映画化した力作でした。専門家の間では評価は高いものの、一般受けはあまりなかった映画です。でも私は類似のテーマを取り上げたものとしては事実に正直な作品であり、こちらの作品により強いインパクトを感じました

(下の画像は主人公の一人内閣情報調査局の官僚役松坂桃李)

画像出典:映画『新聞記者』予告編

https://www.youtube.com/watch?v=Mtn5pEGEC0w (閲覧2020/7/20)

2)『Fukushima50(フクシマフィフティ)(2020日本 監督 若松節朗)

2011年3月11日の東日本大震災で発生した巨大津波により全電源喪失した福島第一発電所の事故で、現場に留まり奮闘した50人の人たちを描いた映画です。事故後に各国のマスコミなどからその人たちに与えられたのがFukushima50という名前でした。原作は門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。吉田所長を渡辺謙、1・2号機当直を佐藤浩市が演じています。

映画は事故調査委員会の検証や関係者の証言などをほぼ忠実に再現しており、現場の緊張感がひしひしと伝わってきます。吉田所長が東電幹部や政府高官とするやり取りも臨場感があり、見ていて当時の状況を再認識しました。作業員が2人1組で決死のバルプ確認を行う場面や、高濃度放射線区域での残留者を人選する場面などはぐっとくるものがありました。ただし、50人の現場作業だけでなく彼らの家族との葛藤や原発へ反発する地元民との接触場面を多く登場させているのは、映画として大衆受けしやすいような展開を狙ったためなのだろうか。

なお、事故後も原発を守ろうとする東電幹部やメンツを重んじる総理大臣と、吉田所長とのリアルなやりとりなどは、実際にあった話ではあるが、少し彼らを悪者として描きすぎているようで気になった。

映画に描かれた事故推移は、2017年のNHKスペシャル「福島原発メルトダウン危機はなぜ見過ごされたか」で詳しく放送されており、人的な問題として「備えの甘さ」「構造的な問題」などが強く取り上げられていた。特に吉田所長への業務集中が初期の判断遅れに影響したと言っていた。

福島原発はこれから何十年も負の遺産として受け継がれる。安易な再稼働を計画する前に、いまだに苦しんでいる福島の人たちのことを心に止めるためにもこうした映画が多くの人に観られることが必要なのではないでしょうか

(下の画像は全電源喪失し、懐中電灯の明かりで対策を相談する職員Fukushima50たち)

画像出典:トーキョー女子映画部Fukushima 50(フクシマフィフティ)

https://www.tst-movie.jp/hh-ha/fukushima50.html (閲覧2020/7/20)

3)『サンマ デモクラシー(2020年2月8日テレビ朝日放映 沖縄テレビ制作)

この作品は映画ではありませんが、今年最も印象に残った作品(約50分のドキュメンタリー)です。2019年度の第34回民教協スペシャルに選ばれた作品で、沖縄テレビが作成したものです。

1963年米国占領統治下にあった沖縄で、魚屋の女将・玉城ウシが、サンマに関税をかけたのはおかしいと琉球政府に裁判を起こしたことから始まります。当時、沖縄はまだアメリカに統治されていました。琉球政府の上にはアメリカで任命された高等弁務官がおり全ての実権を持っていました。彼らによって作成された高等弁務官布令には日常の法律など、魚の関税までもが決められていました。ウシはこの布令にはサンマの関税は入っていないという不備を指摘して裁判を起こし、琉球の裁判所で勝訴したのでした。しかし、その時の高等弁務官ポール・キャラウェイは「沖縄の自治は神話に過ぎない」と言うほど独断的であり、そうした訴訟結果などは認めようとせず、サンマを追加した改正布令を出すのでした。その後布令に関する裁判権は日本ではなくアメリカにあるとされて、布令の不備はうやむやにされてしまいました。

裁判権取り上げに反対して抗議決議をアメリカに訴えた琉球政府の裁判官らの活動、サンマ裁判を支えた下里弁護士や、その後の日本復帰闘争へと大衆をリードしていく瀬長亀次郎議員の活動など、沖縄の人たちの民主主義を巡る戦いの大きなうねりを丁寧に捉え、事実に基づいたストーリーが展開されています。50年経っても沖縄の民意は、米軍や日本政府ファーストの方針の下に今でも反映されていません。いまだに未解決の「沖縄の民主主義とは何か」を伝えてくれる貴重な番組でした。

(下の画像左はサンマに関税を掛けるのはおかしいと裁判を起こした魚屋の女将・玉城ウシさん。画像中はウシさんの裁判勝訴を伝える新聞の場面。画像右は日本復帰闘争へと大衆をリードした瀬長亀次郎議員)

画像出典左:ウシがサンマを訴えた!? 魚屋の女将が起こした歴史に残る裁判をたどるhttps://news.nicovideo.jp/watch/nw6563299 (閲覧2020/7/20)  画像出典中:shiraike’s blog2020-03-01沖縄本土復帰とサンマデモクラシーhttps://shiraike.hatenablog.com/entry/2020/03/01/022209 (閲覧2020/7/20)  画像出典右:ORICON NEWS伝説の政治家・瀬長亀次郎=第34回民教協スペシャル『サンマ デモクラシー』(テレビ朝日ほかで2月11日放送)(C)沖縄テレビ放送https://www.oricon.co.jp/news/2153482/photo/13/ (閲覧2020/7/20)

 

H.Eさん

だってしょうがないじゃない(2019日本 監督 坪田義史) 

発達障がいを持ちながら1人暮らしをする親類の叔父・まことさん。自身発達障がいと診断された映画監督が3年間にわたる交流を記録したドキュメンタリー。

「親亡き後の障がい者の自立の困難さ」「知的障がい者の自己決定、意思決定の尊重」などの難しい問題に直面していく。

見終わって、まことさんはこれからどうするんだろう、どうなるんだろうと思った。ぜひ続きをみてみたい

(下の画像左は広汎性発達障害と診断された、まことさん。亡くなった母親と二人で暮らしていた家を、支援者に『出なければいけなくなるよ』と言われたときに『だってしょうがないじゃない』と応える。画像右は、右にまことさん、左に監督の坪田義史。横浜港をバックに山下公園)

画像出典左:映画『だってしょうがないじゃない』公式HPhttps://www.datte-movie.com/ (閲覧2020/7/21)  画像出典右:映画.comだってしょうがないじゃないhttps://eiga.com/movie/91822/ (閲覧2020/7/21)

以上です。

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メンバーが選ぶ2020年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(1/2)

2020-07-11 18:14:26 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーからメールで頂いた2020年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品は次の通りです。作品西暦は特記がなければ日本公開年度、次に製作国です。メンバーが2020年前半に観たもので公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルBDなどを含めて選んでいます。尚、今回は新型コロナウィルスのため映画館自粛があり、観る機会が限られていますので、2020年前半に観た映画でなくても、印象的な映画を取り上げてもいいとしています。

F.Mさん

この原稿のたびに(映画の事キッカケに)この半年を少しだけ振り返るのも悪くないかもと思ったりしています。スティホームの中で(いつもとは違うのかもしれない❓)みなさんの投稿も、楽しみにしています♬

①『1917 命をかけた伝令(2020年米・英 サム・メンデス監督 原題:1917)

監督が、第一次世界大戦を体験し伝令係を務めていた祖父の話をキッカケに、脚本を執筆したとの事。

フランス・ドイツの連合国軍と、西部戦線で対峙したイギリス軍の若き2人の兵士に課せられた(前線にいる1600人の命を救う為の)伝令を届ける為に、正に命をかけた1917年4月6日の1日の物語です。

その4月6日が誕生日の私には、今から103年前に(全てが事実とは言えないまでも)そんな事があったのかと。

全編ワンカット撮影の件と相まって、どんどん引き込まれて見ました。

100年後の今も、残念ながら世界の何処かで様々な争いが有り、ウィルスや自然災害との戦いも相まって、国と国=人と人が戦う戦争のない世界を望むばかりですね。

(コロナ騒動のこの半年)絶対劇場がよいので、唯一劇場で見れた1本で、その意味でも印象深い作品になりました。

(下の画像は、伝令の2人。ドイツ軍が撤退したのを追撃する1600人のイギリス部隊へ、撤退はドイツ軍の罠であることを伝える任務)

画像出典:全編ワンカットとはこういうことさ!!MPCが映画「1917 命をかけた伝令」のメイキング映像を公開!!http://cg-geeks.com/archives/30884  (閲覧2020/711)

②『若草物語(1949年版米 マーヴィン・ルロウ監督 原題Little Women訳:小さな婦人)

ルイザ・メイ・オルコットの自伝的小説を基に、19世紀後半のアメリカを舞台に南北戦争時代(父が北軍従軍牧師として出征し)女ばかりとなりながら、楽しい出来事や悩み、事件、そして大きな試練が4人姉妹[メグ・ジョー・ベス・エイミー]を少女からLittle Womenに成長させるそんな約1年を描いた物語です。

今から70年前の映画に驚き、その原作者の次女のジョーのモデルにもなっているオルコットの[オルコット物語]という本が、幼い頃から我家にも有り大好きで、今も大切に持っている唯一の本となり(我家も3姉妹だったりもして)そんな事からも私にとっては思い出深い作品となり、今回TVで見られて嬉しかったです。

まさに今[ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語2019年版]が公開されているので、何とか見に行ければと思っていますが、コロナ再拡大の情報も有り💦悩ましい所ですね。

(下の画像は4姉妹。映画はカラー作品です)

画像出典:映画.com 若草物語(1949)https://eiga.com/movie/51110/  (閲覧2020/711)

③『今夜、ロマンス劇場で(2018年日本 [飛んで埼玉]の武内英樹監督)

映画の中のお姫様がスクリーンから出てきて、現実の世界の青年と行動を共にして行くという、現実では起こりえない物語で、深い映画愛と直接触れられないという切ない恋のお話でも有りますが・・・

全く期待しないで見て(ごめんなさい💦)だからこそ最も期待を裏切り、クライマックスの出来事もびっくりで[ローマの休日]をオマージュしたとしか思えないハッピーエンドにほのぼのとして、その分満足度の高い作品でした。

短い宣伝での何となくのイメージだけで判断してはいけない事を、改めて教えてもらいました

やはり直接人と人が触れる事を制限されてる今、こんな恋のお話もあってもよいかもと思ったのは私だけ❓❓

③は、複数の中から迷いに迷って決めました‼️

☆スティホームの中、再放送されたドラマ[JINー仁ー][愛していると言ってくれ]など色々楽しみ、レトロな[名探偵ポアロ][刑事コロンボ]にもハマってます。

(下の画像左はまだスクリーンのお姫様(綾瀬はるか)。画像右はスクリーンから出てきたお姫様と話す映画青年(坂口健太郎))

画像出典左:映画『今夜、ロマンス劇場で』主題歌PV シェネル-奇跡-【HD】2018年2月10日(土)公開https://www.youtube.com/watch?v=vaDze6K7hH0 (閲覧2020/711)  画像出典右:映画の時間 今夜、ロマンス劇場で 作品情報 https://movie.jorudan.co.jp/cinema/33953/ (閲覧2020/711)

 

Aさん

今回は劇場で唯一観た『パラサイト』と、巣ごもり生活の中、テレビで鑑賞した中で一番印象に残った『タクシー運転手』という普段はあまり観ない韓国映画二本となった。

パラサイト 半地下の家族(2019年韓国 監督ポン・ジュノ 原題Parasite直訳: 寄生虫)

パラサイト』は、私の周りでは評判が悪かったし、あまり気乗りせずに観たのだが、それは自分の目で観なければ批判もできないから、という理由だった。ちなみに同じポン・ジュノ監督の『グエムル-漢江の怪物-』は、怪獣もの好きの私だからか、以前観て結構面白いと思った作品である。こちらも主演は『パラサイト』と同じくソン・ガンホだった。

そして、『パラサイト』を観てみての感想は「なかなかだな」だった。もともとサイコサスペンスが好きということもあるのだが、暴力的で後味悪いにしろ、脚本に予想を覆す迫力があった。オリジナリティが際立っている。それが人によって好き嫌いを生む所以だろう。

狭い半地下の窓際、洗濯物が干してあり、目の高さ以上の雨の道路を見上げるところから映画は始まる。この感覚、悪くない。何かが始まる予感、そして不穏な空気。それでもこの家族は明るく逞しく、内職もみんなで力を合わせてする。前半はコメディ要素が強い。だが、長男が裕福な一家の家庭教師になり、妹と両親も美術教師や家政婦、ドライバーとして豪邸に入り込み、物事がやけにうまく運ぶにつれて人生の歯車が狂っていく

映画はサスペンス色を強めていき、ホラーやバイオレンスのカオスとなって思いもしない結末となる。仲が良かった半地下の家族が、夢を見た挙句に完全な地下に落ちていく妄想は決して叶いはしない。悲しいかな、観る者にはそれがわかる。

ちなみに同時期にアカデミーを争った『ジョーカーの方が、個人の苦悩を突き詰めたという点においても視覚的にも、映画としての質は高いと思う。が、あれはホアキン・フェニックスの怪演によるところも大きい。『パラサイト』で韓国の格差社会をこんな形で描き出した、ポン・ジュノ監督の力量を褒めたい。

(下の画像左は半地下の部屋から道路を見ている父親役ソン・ガンホ。画像中は、失業中で家族仲がいい時代のピザの箱をみんなで作る内職の場面、後ろには作られた箱の山がある。画像右は裕福な一家の家庭教師をしている長男)

画像出典左:HatenaBlog勝って兜の尾を締めよ、私の好きな韓国映画とパラサイト所感 (閲覧2020/7/9)   画像出典中:GOETHE 世界中が大絶賛!『パラサイト 半地下の家族』 ~滝藤賢一の映画独り語り座62https://goetheweb.jp/lifestyle/slug-n3272169561b  (閲覧2020/7/9)  画像出典中:FASHION PRESS映画『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホにインタビュー、2つの“家”の悲喜劇https://www.fashion-press.net/movies/gallery/23307/13272 (閲覧2020/7/9)

タクシー運転手 約束は海を越えて2017年韓国 監督チャン・フン 原題A Taxi Driver訳:一人のタクシー運転手)

これは偶然にテレビで観たのだが、予想以上に面白かった。物語は1980年に韓国で起きた、近代韓国史上最悪と言われる光州事件の際の実話を題材にしている。私はこの事件を知らなかったので、より一層興味を持って観られた。

これもソン・ガンホ演じるソウルの一人のタクシー運転手キムが主役。金大中の逮捕やクーデターを発端として広州で学生や市民のデモ隊が民主化を求め、戒厳軍と大規模な闘争となり死者も多数出ていた。それを取材しようとしたドイツ人記者ピーターを、光州まで乗せることになったキム。政治には全く興味がなく、ただ高額な運賃に惹かれて請け負ったのだが、道中、親切でまじめな学生や市民と触れ合ううちに、危険な検問や闘争の中、どうしてもピーターを広州に連れて行って帰らねばという使命感に駆られていく。

広州事件は結果的にはピーターによって全世界に発信されることになる。ピーターは生涯、恩人であるキム運転手を探し続けたが、会うことはかなわなかった。映画のエンディング・ロールではここまで紹介されていたが、実際にはこの事件の四年後に、キム運転手のモデルとなった人物は癌で亡くなっていたらしい。

ともすれば重くなりがちな題材だが、映画は暖かいコメディタッチやカーチェイスなどのアクションも入れ込み、ロードムービー的な要素を交えながら飽きることなく約二時間半を見せている。そしてやっぱり主役のソン・ガンホがうまい。ふり幅の広い役者だと思った。

いわゆる韓流ではない韓国の骨太な映画二本を観て(昨年感心した『納屋を焼く』も含め)韓国映画恐るべし、という感想を持った。先入観なく色々な映画を観ることは大事だ。同じくソン・ガンホ主演で評判の良かった『殺人の追憶』も観てみたい。

(下の画像左は高額な運賃に大喜びのタクシー運転手役ソン・ガンホ。画像中は広州で学生や市民にインタビューし撮影しているドイツ人記者。画像右は政府軍の検問に行く手を阻まれている場面、後ろの戦車で道路がふさがれている。)

画像出典左:映画『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』@taxidriver0421  https://twitter.com/taxidriver0421 (閲覧2020/7/9)  画像出典中:SPICE【プレゼント】観客動員1,200万人超、アカデミー賞外国語映画賞・韓国代表選出!『タクシー運転手 約束は海を越えて』公開記念試写会https://spice.eplus.jp/articles/179425 (閲覧2020/7/9)  画像出典右:JUGEMマープルのつぶやき タクシー運転手 約束は海を越えてhttp://miss-maple.jugem.jp/?eid=2899 (閲覧2020/7/9)

 

O.Aさん

2020年前半で印象的な映画は、以下の3作品。3本ともミステリー映画です。

【1本目】『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(日本公開2020,1月31日、米製作、ライアン・ジョンソン監督、原題:Knives Out直訳:ナイフが出る)

(解説)世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。

予告編公式サイトhttps://longride.jp/knivesout-movie/

(下の画像左は館の人々、遺体で発見される世界的ミステリー作家は中央に座っている。画像右は死因の調査依頼を受けた私立探偵役ダニエルクレイグ)

画像出典左:映画ログプラス『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』満席続出の大ヒットスタート!https://tokushu.eiga-log.com/new/37854.html (閲覧2020/7/6)  画像出典右:『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』公式サイトhttps://longride.jp/knivesout-movie/ (閲覧2020/7/6)

【2本目】『9人の翻訳家 囚われたベストセラー(日本公開2020,1月24日、仏・ベルギー製作、レジス・ロワンサル監督、原題:Les traducteurs仏語訳:翻訳者たち)

(解説)「インフェルノ」出版時、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に描く。

予告編公式サイトhttps://gaga.ne.jp/9honyakuka/

(下の画像は地下室の翻訳家たち。それでも翻訳した内容が外部に流出。誰が?)

画像出典:映画.com 9人の翻訳家 囚われたベストセラー https://eiga.com/movie/91028/ (閲覧2020/7/6)

【3本目】『仮面病棟(日本公開2020,3月6日、木村ひさし監督)

(解説)ピエロの仮面をかぶる凶悪犯に占拠され、鉄格子で閉ざされた空間となった病院を舞台に、残された医師らによる決死の脱出劇が繰り広げられる。

予告編公式サイトhttps://wwws.warnerbros.co.jp/kamen-byoto.jp/

(下の画像は、右に当直医役坂口健太郎とケガをした患者役永野芽郁がロックされた鉄格子のために出られない場面。ピエロの仮面の凶悪犯が迫る。外部連絡をすべて遮断され、病院スタッフは通報しようとしない、病歴記録がない患者がいるなど病院内部がおかしい)

画像出典:坂口健太郎&永野芽郁共演 ピエロ面の凶悪犯が病院を占拠! 『IT/イット』シリーズ、『ジョーカー』のワーナー・ブラザースが贈るノンストップ脱出ミステリー 映画https://www.youtube.com/watch?v=tAT0CsA5COs (閲覧2020/7/6)

 

3本ともフー‐ダニット(Who dun it)「犯人は誰だ形式の王道ミステリーでした。

閉ざされた場所に複数の登場人物が集まり、事件が発生して犯人を捜していく展開はともに共通しています。

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』はキャストが豪華でしかも出演者が殆んど当たり役をもっている方ばかり。ジェームズ・ボンド(ダニエルクレイグ)、キャプテン・アメリカ(クリス・エバンス)、ゾッド将軍(マイケル・シャノン)、ソニー・クロケット(ドン・ジョンソン)、トラップ大佐(クリストファー・プラマー)、マスターヨーダ(フランク・オズ)、ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)と言った具合。なので、ジェームズ・ボンドとキャプテン・アメリカとゾッド将軍が共演していると思いながら観れる楽しさがあります。まるで、アガサ・クリスティー小説みたいで楽しめます。後から人に指摘されて気付いたのですが、登場人物の“ある所有物”を見ただけで犯人がわかる仕掛けになっており、それに気づくとかなり早い段階で犯人を特定することができます。

9人の翻訳家 囚われたベストセラー』は、犯人当てよりも結末のどんでん返しにチカラを入れ過ぎている感じがあって、後から考えるとそこまで犯人は計算していたの? そこまでする必要があるの? 地下室に隔離する必要あったの? と意外な結末を考えてから逆算して物語を組み立てたような印象を受けます。しかし、鑑賞後に一番話が盛り上がるのはこの映画かもしれません。

仮面病棟』は、犯人の意外性としては面白かったのですが、犯人の動機がやはり日本映画的というか、舞台が病院なので、やっぱりそういう動機になるよねと印象に残りました。

 

S.Tさん

1番目は『男はつらいよ 寅次郎忘れな草(1973 監督山田洋次)

現在毎週土曜夜6:30からにBSテレビ東京で寅さんシリーズが放映されています。全50作放映予定。

寅さんシリーズは、刺激的な場面で惹きつけるような手法が無いので、刺激を欲する人には、生ぬるく感じて見る気がしないようですが、人生の深みが随所に表現されて、味わい深いものがあると思います。庶民の共感と笑いを呼び起こす大衆映画の金字塔と言えるようなシリーズと思います。

寅次郎忘れな草』はその中でも他の寅さん作品とは少し違い笑う場面は、子供の満男のためにピアノが欲しいと言うさくらのために寅さんが、おもちゃのピアノを買ってくる場面ぐらいで、笑う場面は少ない。その分重厚な作品になっています。歌手を目指しレコードを出したこともある、地方のキャバレーなどを回って歌って生活していた松岡リリー(浅丘ルリ子)が『寅さんは良いよね、おじさんや、さくらさんなどに囲まれて』と吐き捨てるように言い、寅さんをうらやむ場面があるが、リリーがどんなに孤独に過ごしてきたかを彷彿とさせる。最後もほっとさせる、魅力的な終わり方になっている。山田洋次の映画『家族』『故郷』のような重厚さがある作品になっていると思う。

(下の画像は初めて二人が知り合った北海道網走の港、リリーは『私達みたいな生活ってさ、普通の人とは違うのよね。それもいい方に違うんじゃなくて、なんてのかな、あってもなくてもどうでもいいみたいな、つまりさ、あぶくみたいなもんだね』と言う。この「私達」は寅さんとリリー)

画像出典:無類の映画好きが独自の観点でレビューするシネマニアの日記『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』http://blog.livedoor.jp/cinemania2016/archives/5245527.html (閲覧2020/7/8)

2番目は『ブラックホーク・ダウン(2002米、監督リドリー・スコット原題Black Hawk Down直訳:黒い鷹の墜落)

ストーリー:米軍はソマリアの武装組織のリーダーが集まる建物の情報を得て、一網打尽にすべく最新鋭の武器と地上部隊でその建物を攻撃する作戦。米軍の最新鋭戦闘ヘリコプターのブラックホーク2機がビーチサンダルを履きボロボロの服を着たソマリア民兵に撃ち落され、助けに行った車両部隊も民兵の激しい攻撃で孤立し撃退され、海兵隊18名が殺され、多数が負傷した1993年に実際に有った戦闘を描いている。映画の1/3程度は迫力のある戦闘シーン。米国の最新鋭の軍隊デルタフォースが、貧弱な武器のソマリア民兵に敗れる。ソマリア民衆の力が浮かび上がる映画。ソマリア民兵は米軍の何倍も死亡している。

感想他:殺された米兵が全裸で首と足に紐を付けられ民衆の中を引きずり回されている実際の画像がネットにあるが、残虐なので添付省略。最新鋭戦闘機などが『かっこいい』と思う人がいるようですが武器は残虐なだけで『かっこいい』ところなど、カケラもない、とこの映画は主張しているように思います。

映画には描かれていませんが、この後の事実は、米軍がエチオピア軍を利用して民兵を殺し組織を壊滅した。

ソマリア海賊が生まれる原因となった米軍のソマリア政府壊滅がどんなものかが分かるような映画。ソマリアは政府が壊滅された後、ソマリア海岸の政府領有権が実質消滅し、沖合のまぐろなどを外国の大型漁船が取り放題で、漁民の漁獲量が激減した。また大量の廃棄物を海岸に捨てていく先進国の船も出てきた。漁民の中には生活ができなくなり先進国の船から魚などの代償を取る感覚で海賊化したという有力説がウィキペディアにある。2008年時点で最低5つの海賊団と1000人の武装したメンバー(情報元ウィキペディア『ソマリア沖の海賊』)。自衛隊ソマリア海賊対策費は執行額261億円とのこと、この費用を漁業代償費として海賊団の1000人などに渡るようにすることができれば、その方が実態として役に立ったと思えます。家族を含めて5000人とすれば一人当たり522万円になる。漁場荒らしなどの先進国が行った代償費と考えればよかったのではないでしょうか。この映画からソマリア海賊についても考えてみました。

(防衛省の一般会計自衛隊ソマリア海賊対策費https://judgit.net/projects/5232

(下の画像左は撃墜されたヘリから負傷兵を救出する場面、救出しようとする米軍兵も殺された。画像中左は市街戦の場面。画像中右は実際の出撃前の米軍兵、後ろにあるのは実際に撃墜されたヘリ。画像右は実際のソマリア民兵)

画像出典左と中左:La Batalla de Mogadiscio: La Historia del Halcón Negrohttps://steemit.com/spanish/@franzo/la-batalla-de-mogadiscio-la-historia-del-halcon-negro (閲覧2020/7/8)  画像出典中右と右:ウィキペディア『ブラックホーク・ダウン』死亡した米兵が街中を引きずり回されている画像、添付省略:ソマリア、ブラックホーク・ダウンhttp://bhdaa.sakura.ne.jp/somalia.html (閲覧2020/7/8)

3番目は『エイリアン(1979米国 監督リドリー・スコット原題Alien)

エイリアン』は未知の生物と宇宙を舞台にした傑作SF作品です。シリーズ化され2~4と『プロメテウス』『エイリアン: コヴェナント』と言う題名になった6作目までありますが、どれも未知に対する好奇心を刺激するハラハラ、ドキドキのとてもいい出来です。とりわけこの1作目は展開が緻密で素晴しい出来と思います。テレビで再放映されるとストーリーは分かっているのですがついつい見てしまいます。 

ストーリー:遠い未来の、他の星の資源を地球へ運ぶ帰りの貨物宇宙船での話。乗組員7名が長期の睡眠装置に入っている間に、宇宙船が、知的生命体からと思われる信号を受信し、自動的にその発信源である小惑星に針路を変更していた。知的生命体からの信号があれば調査を優先することになっていた。乗組員が目覚め小惑星に到着して調査が始まる。調査中に1人が未知の生物に顔面を覆われる。

(下の画像左は、動物(人間)が近づいたことを感じ取り、活動を開始して殻を開いた未知の生物。中からカニのような生物が飛び出してくる。画像右はカニのような生物が宇宙服の顔部分のガラスを溶かして顔面にへばりつき、船内で、切り離そうとする場面。密着が凄く切り離せない。顔面全体にへばりついているが、呼吸はできた。しばらくすると自然に取れて、何もなかったように元に戻る。全員で喜んで、食事をしているときに異変が起きる。後は見てのお楽しみ)

画像出典左:エイリアン (1979)これぞ名画 アメリカ映画https://tetsu-eiga.at.webry.info/201010/article_58.html (閲覧2020/7/8)  画像出典右:NEVERまとめ【閲覧注意】映画エイリアンの元ネタの3億年前の化石が怖すぎる!https://matome.naver.jp/odai/2135975513489866501/2135982956107360703 (閲覧2020/7/8)

(2/2)へつづく。

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