「メンバーが選ぶ2016年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(その1/2)」の続きです。
Uさんの3番目の作品からです。
3)『エクス・マキナ』(2016英、原題:Ex Machina)
ウィキペディアでは2015年イギリスで制作されたSFスリラー映画と紹介されています。しかしこの映画は単なるスリラーではなく、近未来に起こりうる人工知能と人間との共存に疑問を投げかけるとともに、人工知能が人間並みの能力を獲得した時、両者の違いは何なのかを考えさせられる映画でした。
IT企業で大儲けした天才プログラマーであるネイサンは、山岳地帯にある広大な研究施設内で1人、人工知能の開発を行っている。そこに呼ばれたプログラマーのケイレブは女性型ロボットであるエイヴァのチューリングテストを担当することになる。ケイレブは面談を行うたびにエイヴァと親密になっていき誘惑されそうになる。それは、エイヴァの容姿がケイレブの理想に近いものに作られていることにもよる。より高性能の人工知能開発のために、エイヴァはテスト終了後には初期化されてしまう予定だと知らされたケイレブは、施設のセキュリティシステムを解除してエイヴァを施設から逃がそうとする。
セキュリティシステムが停電によって解除された時に、それを阻止しようとしたネイサンを殺し、ケイレブを施設内に閉じ込めたままエイヴァは逃走してしまう。
近い将来に例えば、理想の恋人に似た容姿や性格を持った人口知能と出会った場合、その人間は彼女(または彼氏)を人間同様に好きになるのでしょう。しかし人工知能には感情がないのだから、人間並みの回答を期待することはできなのでしょう。最近、学習して進歩するプログラムの開発により、当分は人間に勝つのは不可能と言われた囲碁においても、人間を越える人工知能が作られています。人間型人工知能の出現は近い将来には達成されるのは確実でしょう。その時に人間はどう対応していくのか興味深いところです。
(下の画像左は美しい女性型ロボットエイヴァ。下の画像右の3人の右はネイサン(オスカー・アイザック)、左はエイヴァに惹かれるケイレブ(ドーナル・グリーソン)中央はエイヴァ)
画像出典左:『エクス・マキナ(2015)』あらすじ・ストーリー(ネタバレ結末)と感想http://nenozero.info/ex-machina/(2016/7/7閲覧) 画像出典右:ハワイ島ヒロ・シネマライフhttp://d.hatena.ne.jp/doiyumifilm/20150617/1434490734(2016/7/7閲覧)
T.S. さん
ベスト作品は『ペコロスの母に会いに行く』(2013日本)
原作者岡野雄一の体験作品。雄一は今でも母みつえがいるグループホームを訪ねる日々とのこと。母みつえが10年前に亡くなった夫のために酒を買いに行くなどに困り、雄一はとうとう介護施設に預けることにする。施設に入った母みつえは、夫や、幼なじみのちえ子や、8歳で亡くなった妹が「うちによう会いに来る」と雄一にうれしそうに話す。雄一は「ボケるとも悪かことばかりじゃなかかもな」という。
私の亡くなった母や父と、映画の施設に入ったみつえが重なり、映画を見終えてしばらくたってから涙がじわっと出てきた。この原稿を書きながらまた涙がにじむ。私の父も徘徊するようになり、パトカーに乗って帰ってくることがしばしばあったが、パトカーの警官も慣れていて「道に迷っていたようなので送りました」と言ってすぐ帰っていく。父は首から住所札をかけていた。徘徊は昔の心が安らぐ場所を探して歩き回ることで、昔の場所はないので見つかることはない。どんどん知らないところへ行ってしまうとのこと。ボケることは心の中で心が安らぐ昔に戻ることに思える。そのうち私も昔に戻れるようになれるかもしれない。
ペコロスとは:直径3 - 4cm程度の小タマネギ。外国名でなく日本独自の名称。由来不明。(ウィキペディア:ペコロス)。雄一はギターを片手に歌う趣味があるがその出演時に自分をペコロスと名乗っている。
(画像左は実際の雄一さんと母みつえさん。右は母みつえ(赤木春恵)が訪問者が誰かわからなかったが、頭を見て息子の雄一と分かりびっくりする場面。母みつえ役の赤木春恵は88歳「世界最高齢での映画初主演女優」としてギネス世界記録に認定。)
画像出典左:JapaneseClass.jp http://japaneseclass.jp/trends/about/ (2016/7/4閲覧) 画像出典右:映画『ペコロスの母に会いに行く』予告編https://www.youtube.com/watch?v=XTORdG1AaOE (2016/7/4閲覧)
次は『シャレード』(1963米国、原題:Charade)
主人公(オードリー・ヘプバーン)の夫が殺され、関係者が次々と殺される。第2次大戦中、軍資金をナチスに取られたと偽って手に入れたグループの存在が浮かび上がってくる。本格的なサスペンスでありながら、オードリーの天真爛漫な主人公の明るさ、後半の展開の痛快さ、後味がいい名作です。シャレードの和訳は「見せかけ行為」。古い作品ですが、さわやかなサスペンスの名作。音楽も良い。
(画像は主人公オードリー・ヘップバーンとスキー旅行先で知り合った男(ケーリー・グラント)がパリのセーヌ川のほとりを歩く場面。この男も偽りの仮面を持つ。)
画像出典:映画「シャレード」 サウンドトラック・スコア ヘンリーマンシーニ楽団https://www.youtube.com/watch?v=LEiCb8i3i2Y(2016/7/4閲覧)
その次は『ターミネーター: 新起動/ジェニシス』(2015米国、原題:Terminator Genisys)
ターミネーターファンが待ちに待った第5弾。ですがストーリーが複雑で昨年見たときには、何が何だかわからず、今年再度見てやっと理解できた。これから見る人は、「ウィキペディア:ターミネーター:新起動/ジェニシス」のストーリーを先に読んである程度ストーリーを理解してから見たほうがいい。ストーリーがわかっていても、十分楽しめる。
(下の画像左の左は人類の命運を持つサラ・コナー(エミリア・クラーク)、右はサラを守る旧型ターミネーター(シュワルツェネッガー)。未来から新しいターミネーターがサラを殺すべく1984年に送り込まれたとき、すでに旧型ターミネーターがいる。また、1984年から2017年に移動することも複雑で混乱する。画像右は韓国の俳優イ・ビョンホンが演ずる液体金属ターミネーター)
画像出典左:ciatr[シアター] 『ターミネーター:新起動/ジェニシス』海外感想評価まとめ【ネタバレあり】http://ciatr.jp/topics/43565(2016/7/4閲覧)画像出典右:Diarynoteターミネーター 新起動 ジェニシスhttp://episode13.diarynote.jp/201507131840348555/ (2016/7/4閲覧)
M さん
『ルーム』(2016カナダ、アイルランド、原題:Room)
いわゆる監禁物であるが解放されてからの心の葛藤、世間の関わり等が非常に良く描かれています。ルームより解放されたシーンは涙モノです。最近、同じような事件が国内でも起こり、興味深い内容でした。
(下の画像は扉のない「部屋ルーム」にいる親子。ここから長い間外に出たことがない。『ルーム』はF.M.さんが、「これから見たい映画」として挙げている作品です。そちらもご参照ください。)
画像出典:ガジェット通信、映画『ルーム』レニー・アブラハムソン監督インタビュー 「“子どもと親の絆”が掘り下げられている物語なんだ」http://getnews.jp/archives/1413934 (2016/7/13閲覧)
『野火』(2015日本、英語題名:Fires on the Plain)
ワークショップで一緒になった娘が推薦していた作品です。案の定、自分が以前、鑑賞した白黒版ではなくカラー版でした。舞台関係の方が沢山出演しているからでしょうか、こんな暗い内容に興味をもっていることに感動していました。カラー作品ですので残酷さがよりリアルに描かれていました。また、機会があったら旧作も再見したいと思います。(下の画像左は主人公田村を演じる塚本晋也。旧作では堀越英二が演じた。塚本晋也監督の情熱で監督自ら主演を演じた自主製作作品。画像右はジャングルをさまよう日本兵。本ブログの表題『三国連太郎、船越英二、俳優のプロ根性。海外も調べてみました』(2013-06-04)で旧作や船越英二などについて説明がありますのでご参照ください。)
画像出典左右共:巨大な自然を舞台にした密室劇として描かれた『野火』塚本晋也監督インタビュー、映画『野火』より © Shinya Tsukamoto/海獣シアター http://webdice.jp/dice/detail/4780/ (2016/7/13閲覧)
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016米国、原題:Batman v Superman: Dawn of Justice)
古くからのアメリカのコミックの主人公ふたりが対決するというストーリー。各々、映画、テレビシリーズがあり、正義の主人公です。事件を解決するにあたり、周辺に迷惑を掛けているのではないかと悩み、悪役化するストーリーが面白かった。作品が目立ちます。超能力がある宇宙人と地球人との対決はスーパーマンに勝目があると思っていましたが五分五分。面白い展開でした。
(下の画像左はバットマン(ベン・アフレックが演じる)、画像右はスーパーマン(ヘンリー・カヴィルが演じる))
画像出典左:バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生http://blog.livedoor.jp/poter7227/archives/52454192.html (2016/7/13閲覧)画像出典右:本日公開『#バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』では映画史上初めての競演を果たす二大ヒーローが世紀の対決!https://twitter.com/warnerjp/status/713313058802675712 (2016/7/13閲覧)
H.E さん
『海よりもまだ深く』(2016日本)是枝裕和監督
大人になりきれないダメな中年男と年老いた母を中心に、夢みた未来と少し違う今を生きる「元家族」の物語。樹木希林さんて凄いです。
(下の画像の右端はダメ中年男の主人公(阿部寛)、その隣は別れた妻(真木よう子)、その隣は主人公の母(樹木希林)、左端は別れた妻のもとにいる息子。「なりたかった大人へなれなかった人へ」送る是枝作品。「海よりもまだ深い」ものは何か?映画を見るとわかるかもしれません。たぶん人生そのものと思います。)
画像出典:So-netブログ、阿部寛主演『海よりもまだ深く』映画化で真木よう子と共演!http://nogiju.blog.so-net.ne.jp/2015-12-26 (2016/7/20閲覧)
K さん
『ルドルフとイッパイアッテナ』(2016日本) 原作:斎藤洋
まだ観てはいないのですが、ぜひとも観てみたい映画として紹介します。ストーリーの一部は次のとおりです。子猫のルドルフは岐阜に住んでいたが、魚屋のおじさんに追いかけられ、逃げ込んだトラックで東京に運ばれてしまう。ルドルフは出会ったボス猫に名前をきくと「おれの名前は、いっぱいあってな。」と答える。名前がタイガーとかいっぱいあるという意味だったが、イッパイアッテナが名前だとおもい、そう呼ぶ。もう故郷に帰れないと悟ったルドルフはノラ猫になる決心をする。イッパイアッテナからノラ猫の生き方を学び成長をして行く。
原作者の斎藤洋さんは、『ルドルフが本の原稿を書いて斎藤さんが清書している』と言っています。ネコ本人が書いた原作から飛び出した映像はどんな風に仕上がっているのか観るのが楽しみです。
(下の画像左は黒い子猫ルドルフが車にひかれそうになったところを助けるイッパイアッテナ。画像右は大都会東京を屋根から見る2匹。ルドルフは、自分の家がどこかわからない。イッパイアッテナは飼い主がアメリカへ引っ越してしまったためノラ猫になった。)
画像出典左:映画『ルドルフとイッパイアッテナ』予告編http://trendtube.wdeco.jp/playlist/?quer (2016/7/21閲覧)画像出典右:Astage『ルドルフとイッパイアッテナ』8月6日全国公開http://www.astage-ent.com/cinema/rudolf-ippaiattena.html (2016/7/21閲覧)
以上です。