横浜映画サークル

サークルメンバーの交流ブログです。

メンバーの鑑賞感想や映画情報など気軽に記述しています。

『密偵』これは面白い!

2017-11-27 23:16:12 | メンバーの投稿

密偵』(2017,韓国,監督キム・ジウン)は大変面白い作品でした。背景は日本が植民地支配をした時代の韓国。韓国独立運動組織の旧日本軍に入り込んだスパイと、独立運動組織に入り込んだ旧日本軍のスパイの攻防を描く。互いに自分のところに入り込んだスパイが誰か分らない。旧日本軍の独立運動組織に送り込んだスパイの情報により独立運動の幹部が殺されるところから『密偵』は始まる。緊張感が最後まで続き、展開が面白い。似た作品の香港映画『インファナル・アフェア』(2003)が警察に入り込んだマフィアのスパイとマフィアに入り込んだ警察のスパイの攻防を描いているが、これがとても面白かったので、同じようなスパイもので期待した。『密偵』は期待を裏切らない大変面白い作品でした

尚、香港映画『インファナル・アフェア』は2006年に米国で『ディパーテッド』と言う題名でリメイクされました。リメイクもオリジナル通りの展開ですが、これも面白い

密偵』のプログラムの佐藤結氏によると『密偵』に出てくるスパイは実在した人をモチーフにしているとのこと。また、韓国国内は旧日本軍が支配をしていたため、独立運動の主体は上海や満州にあった。『密偵』に出てくる独立運動組織が満州の安東(現丹東)から列車でソウルへ向かい、ソウル駅で捕まる場面は実際にあった事件とのこと。

下の画像左は骨董陶磁器の取引商人で独立運動のリーダ役のコン・ユ、画像中左は警務局部長で独立運動壊滅の責任者役の鶴見辰吾、画像中右は鶴見の部下で独立運動壊滅の先頭に立つ役のソン・ガンホ、独立運動の情報入手の功績で今の地位に就いた。画像右は同じく鶴見の部下役でソン・ガンホの補佐を命じられたオム・テグ。いずれも迫力のある好演をしている。

 画像出典左:Theageofshadows。http://mustis.eu/tag.php?tag=Theageofshadows(閲覧2017/11/27)画像出典中左:鶴見 辰吾https://twitter.com/shingotsurumi(閲覧2017/11/27)画像出典中右「密偵」オフィシャルサイトhttp://mittei.ayapro.ne.jp/(閲覧2017/11/27)画像出典左:TALKYPIC  http://www.talkypic.com/hashtag/%EC%97%84%ED%83%9C%EA%B5%AC (閲覧2017/11/27)

以上

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『火花』夢を追う若い人の姿は米国『ラ・ラ・ランド』の日本漫才師版と言うところでした

2017-11-26 22:06:21 | メンバーの投稿

火花』(2017,日本,監督板尾創路)のストーリーに入り込んでいるので、ストーリーを気にする人は映画を見てから以下を読んでください。ストーリーが分かっても味わい深い作品とは思います。火花』は全体に淡々として、刺激を求める人には物足りないかもしれません。

共感できる点が4つほどありますので箇条書きにしておきます

1、未来が見えない中で漫才師を目指す情熱的な若い人たちの姿や漫才コンテストの現実がよく描かれていて勉強になりました。

2、主人公徳永が漫才師をあきらめての最後のライブで、今日は最後だから言いたいことを言う、でも「思ったことと逆に言う」として一気に話す。徳永の目からあふれる涙がある。おそらく芥川賞が決まったのは原作のこの場面ではないかと思う。カット割りがないこの場面が素晴らしい。監督板尾創路はプログラムの中で「芸人を代表するつもりでやってくれ」と菅田将暉に話したとのことだが、内容は芸人だけでなく、すべての働く人を代表しているようにも思える。内容は映画を見てください。

3、漫才をあきらめて10年後に不動産の営業をしている徳永。こどもが二人の幸せそうな真樹の姿。挫折は全ての人が味わうことと思うが、挫折と言うより、次の出発と前向きにとらえればいいと私は思う。自分は挫折したことがないと言う人は、たぶん次々と新しい出発をしている人ではないかと思う。

4、笑いにしてはいけないことを徳永に話させる。神谷が豊胸手術をして、面白いだろうと言う場面で、少数者LGBTを笑いものにしてはいけないと諭す場面がいい。以前は老人や弱い人を笑いものにする吉本喜劇が目立つことがあり気分が悪かったが、『火花』でははっきりそう言う笑いは本物でないと主張している。

残念なことがあります神谷の演技の失敗桐谷健太の配役自体の失敗ともいえる。笑いを奇抜さの中に追求する神谷の姿が全く演じられていない。下の画像左の左に神谷役の桐谷健太がいる。この画像のような健康ではつらつとした姿がどの場面でも出てくる。だが、配役の神谷はこのようなはつらつとした人ではない。奇抜さを追求する異常さを持った人。俳優桐谷健太は飛ぶ鳥を落とすほどの勢いで人気が上がっているので、観客を集めるには適任と思うが『火花』と言う作品を深みのあるものにするには健康的すぎる。下の画像中は映画の始めに出てくる砂浜に首を出している神谷の場面。画像は桐谷健太が演じているものがないので別の人の同じような画像を引用している。この場面では神谷は普通の顔で近寄ってくる子供たちが不思議そうに見るだけで終わっているが、私は、神谷はサルバドール・ダリのように眼を見開いて、子供たちに向かって「どうだ、面白いだろ」と言わせるべきだった。そうすれば、その後の展開の重要な基礎ができたと思う。下の画像右はダリが砂ではないが水から顔を出している。神谷は奇抜さを追求するダリの顔を写し取るべきだった。『火花』の中の神谷はダリのような人

画像出典左:火花 作品情報 https://movie.jorudan.co.jp/cinema/33997/ (閲覧2017/11/26)画像出典中:【映画『火花』でボケて】菅田将暉さん、桐谷健太さん演じる登場人物の場面写真でボケて!https://bokete.jp/odai/959625 (閲覧2017/11/26)画像出典右:名言・格言『サルバドール・ダリさんの気になる言葉+英語』http://iso-labo.com/labo/words_of_Dali.html (閲覧2017/11/26)

下の画像左は神谷(桐谷健太)に愛想をつかして他の男と生活を始める真樹(木村文乃)であるが、かっこよくはつらつとしている神谷になぜ愛想をつかすのか全く映画からは伝わってこない。真樹に変顔の寄り目をさせ唇を尖がらせることを日常的にさせているが、はつらつとした神谷が真樹にそんなことをさせていることが唐突で不自然になっている。奇抜さの追求にすべてを注ぎ込む作品中の神谷に桐谷健太がなり切っていないからこのような不自然さになる。

神谷役は桐谷の漫才の相手をしていた三浦誠己が良かったのではないかと思う。元お笑い芸人の三浦は、客を集めることの貢献は難しいと思うが、少し暗さがあり、演技力が気になるが、ダリのような表情を出せるのではないかと思う。三浦が神谷を演じれば『火花』をより深みのある作品にできたかもしれない。下の画像中は映画『アリーキャット』での三浦誠己。

下の画像右は主人公の漫才チーム「スパーク」、この名前が映画の題名『火花』。一瞬輝くだけの『火花』、花火ほど長くは輝かない。「スパーク」の菅田将輝の相棒はプロの漫才師「二丁拳銃」の川谷修二である。監督板尾はプログラムの中で二人の漫才を役者菅田は「芸人になった」と述べた。実際漫才は息が合い面白い。これは菅田の才能だけでなくベテラン漫才師の川谷が菅田を引き立てることに徹したことの成果と思う。

画像出典左:木村文乃が衝撃の金髪!映画『火花』ビジュアル解禁https://matome.naver.jp/odai/2149674802039315801 (閲覧2017/11/26)画像出典中:© 2017「アリーキャット」製作委員会公式HPhttp://alleycat-movie.com/cast.html(閲覧2017/11/26)画像出典右:映画『火花』試写会で、菅田将暉、桐谷健太、二丁拳銃・修士らが火花散るコンビ愛対決https://news.goo.ne.jp/article/yoshimoto/entertainment/yoshimoto-gn077323.html (閲覧2017/11/26)

この際に笑いの本質を考えてみます矛盾の中に笑いがある。奇抜さの中には笑いはないが、芸術はある。笑いと芸術は人の注目を求める点で表裏一体の面がある。

矛盾を笑いとした外国の小話の例:神様が、耳が遠いい。願い事を一つだけ叶えてあげると言うので言うとたくさんのアヒルが出てくる。「俺はアヒルなんかほしくない」と言うが神は出て行ってしまう。神は金GoldとアヒルGooseを聞き間違えたらしい。神は完全なはずが間違える矛盾のおかしさがある。この話はもう少し長い話で『脳のなかの幽霊』(1999、ラマチャンドラ、角川書店)の「第十章笑い死にをした女性pp259-261」にある。ラマチャンドラは脳科学の分野で世界をリードする一人。以上

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