横浜映画サークル

サークルメンバーの交流ブログです。

メンバーの鑑賞感想や映画情報など気軽に記述しています。

メンバーが選ぶ2024年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品

2024-07-12 14:37:59 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーからメールで頂いた2024年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品です。作品西暦は特記がなければ日本公開年度、次に製作国です。公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルBDなどを含めて選んでいます。これから見たい映画も取り上げていいとしています。また、半年間を振り返って多くの作品について書いている人もいます。尚、ネタバレの要素がある場合がありますのでご了承ください。原則敬称略。映画題名は赤文字、記事でポイントと思うところは青文字、さらにポイントと思うところは赤文字にして、電車の中など短時間に読む人などが読みやすくなるよう工夫しています。

F.Mさん

①[PERFECT DAYS] (2023年 日本とドイツの合作 監督 ヴィム・ベンダース)

東京渋谷を舞台に、トイレの清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いた作品です。

主演の役所広司氏をはじめ、映像・音楽など全てが素晴らしかったです。

私は、毎朝植木達に水やりをするシーン(私も毎朝観葉植物達にそうしてるので)と、若い姪のニコとの何気ない場面が、最も気に入りました

下画像左:主人公が育てている、毎朝水をやる植木達。画像右:主人公(役所広司)と若い姪のニコ右

画像出典左:PERFECT DAYS Room146 渋谷区のトイレを清掃する男が暮らすスカイツリーが見える下町のアパート 美術 桑島十和子https://www.athome.co.jp/cinemadori/12955/  閲覧2024/7/11   画像出典右:ニッポンドットコムおすすめ映画 映画『PERFECT DAYS』:ヴィム・ヴェンダースと役所広司、トイレから生まれた奇跡の出会い https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c030250/  閲覧2024/7/11

本予告編1分4秒 https://youtu.be/WipSjUsBwcg 

 

②[PLAN75] (2022年 カタール・フィリピン・フランス・日本の合作 監督 早川千絵)

オムニバス「十年Ten Years Japan」の一編「PLAN75」を監督早川千絵さんが、新たに構成した作品です。

75歳以上の高齢者に、自らの生死を選択する権利を保障・支援する制度「プラン75」の施行された架空の社会が描かれています。

自分自身も75歳がかなり身近に感じられる年代になり、何とも言えないおもいで見ました…

下画像左:ホテルの客室清掃の仕事をしている主人公役倍賞千恵子、78歳で高齢を理由に解雇される。安楽死を選ぼうかと思う。画像中:安楽死申請窓口役の磯村優斗。画像右:死亡するまでサポートをするコールセンタースタッフ役の河合優実

画像出典左:週刊NY生活「プラン75」NYで上映 https://www.nyseikatsu.com/entertainment/04/2023/38017/  閲覧2024/7/11   画像出典中:磯村優斗オフィシャルサイト 映画「PLAN75」出演情報 https://hayato-isomura.com/contents/493282   閲覧2024/7/11  画像出典右:女の転職 映画『PLAN 75』舞台挨拶付き凱旋プレミア試写会に5組10名さまをご招待 https://woman-type.jp/wt/feature/25079/  閲覧2024/7/11

予告編1分32秒https://www.youtube.com/watch?v=NzECEkX0fAM 

その他

映画は残念ながら見てないのですがBSNHKのドキュメンタリーで[オッペンハイマー]を見ました。どこかの機会で、やはり見ておかなければと思っています。

 

Mさん

(2023日本 監督 北野武)

アウトレイジ』シリーズなどの北野武監督が自身の小説を原作に、本能寺の変を描く時代劇。北野監督が脚本などのほか羽柴秀吉役も務め、天下取りを狙う織田信長、徳川家康、さらに明智光秀ら戦国武将たちの野望を映し出す

大河ドラマにない解釈、リアル感、残酷さがありました。タイトル通り、至る所で斬首。当時は本当に行われていたのでしょうね。

しかし、たけしを含む、お笑い芸人たちのアドリブぽっいシーンは正直、違和感がありました。好みが分かれる作品ですね。

下画像左:左から黒田官兵衛(浅野忠信)、羽柴秀吉(ビートたけし)、羽柴秀長(大森南朋)。画像中:戦場で首を持つ兵士。画像右:本能寺の織田信長(加瀬亮)

画像出典左:シネマカフェ「秀吉たちはコミカルに見えるよう」北野武監督『首』を支える衣装デザイン・黒澤和子のこだわり https://www.cinemacafe.net/article/2023/11/19/88616.html  閲覧2024/7/11  画像出典中:映画『首』レビュー。「アウトレイジ」を乗り越えて、北野武が到達したのはキッチュでクィアな武士映画(評:北村匡平)©︎ 2023 KADOKAWA ©︎ T.N GON Co.,Ltd. https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/kubi-takeshi-kitano-film-review-202311  閲覧2024/7/11  画像出典右:シネマトゥデイ北野武監督の新作『首』タイトルの意味は? https://www.cinematoday.jp/news/N0140077  閲覧2024/7/11

本予告編1分31秒https://www.fashion-press.net/news/102259  

ファイナル予告編1分12秒https://www.youtube.com/watch?v=DIKjq762fik  

 

リバー、流れないでよ(2023日本 監督 山口淳太)

京都・貴船にある老舗料理旅館ふじや」。仲居のミコト(藤谷理子)は、別館裏の貴船川のほとりに佇んでいたところを女将に呼ばれて仕事に向かうが、2分前にいた貴船川のほとりに戻ってしまう。ミコト以外の番頭、仲居、料理人、宿泊客たちも、2分間のタイムリープを実感しており、協力して原因を突き止めようとする中、貴船一帯に異変が生じ始める。ミコトはある思いを抱えながら、そんな状況を眺めていた。

舞台の映画版でその出演者が多数参加しています。キャストの京都の実家での撮影。2分のしつこい位のタイムリープでなかなか、解決の糸口が見出せないストーリーが面白い。撮影期間に制約があったのか、途中、雪のあるシーンに違和感オチが残念でした。

下画像左:旅館「ふじや」、貴船川の上に台を設けて涼みながらの食事ができる実在旅館。画像中:雪のシーン、左に主人公ミコト(藤谷理子)。画像右:近くの貴船神社。

画像出典左:【元祖川床の宿 貴船ふじや】─川魚料理でもてなす京料亭─ https://www.jalan.net/yad331500/?vos=evjlnpg0047&cxlt=n7lqmdjzmvlsm2k02zw2y82hq2ng&pog=mt_kwdvccrgpcm19786233982&gad_source=5&gclid=EAIaIQobChMIj9mo48qehwMVtG4PAh2B3AFLEAAYASAAEgKaAPD_BwE&gclsrc=aw.ds  閲覧2024/7/11  画像出典中:ヨーロッパSHOP【Blu-ray】映画「リバー、流れないでよ」 https://www.europe-kikaku.com/shop/image/goods/captcha/movie-003_8.png  閲覧2024/7/11  画像出典右:【貴船】暑気退散!京の奥座敷へ納涼エスケープ~『リバー、流れないでよ』ロケ地より~ https://www.digistyle-kyoto.com/magazine/35535  閲覧2024/7/11

予告編1分30秒https://www.youtube.com/watch?v=xDsSW0StrHk&t=2s 

 

ASAさん

1、表題2024年前半の自分の映画生活を振り返って~映画コメント「マッドマックス:フュリオサ」~

2、雑感

(1)年明けに、ビデオで「ドクトル・ジバゴ」を観直し、ロシア革命について自分は何もわかっていないなあと、あらためて思い、ロシア革命に関わる本や映画を少しさまよってみました。こういう「関連するものをめぐって読んだり考えたりする」という面白みが、去年くらいから徐々にわかってきました。

(2)亡くなった和田誠氏の著書を読み返していたら、「けんかえれじい」という作品がすごく好きだと書いていたので、これは録画したビデオを観直してみたら、昔(20歳ころ)観た印象とまったく違う傑作でした。

その印象に引っ張られて、長年あまり観ていなかった鈴木清順作品を録画やら配信やらで観直したのも、今年前半の映画生活のトピックです。(自分のベストは「野獣の青春」)

(3)映画館で観た映画の中で特によかった作品を外国映画、日本映画、3本ずつあげておきます。

《外国映画》「コット、はじまりの夏(2022/アイルランド 監督:コルム・バレード)

貧農で、親からも学校でも軽視されている末娘コットが、ひと夏おばさんの家に預けられて、自分の生き方というものを初めて学ぶ物語。少ないセリフ、描写の映画力。泣ける展開。最高でした。(女房と観て「地味な赤毛のアンだね」ということで衆議一決しました。)

ありふれた教室(2023/ドイツ 監督:イルケル・チャタク)

公立学校の関係者としては、他人事とは決して思えない、ドイツの中学校をめぐる、ヒリヒリするサスペンス。金銭の盗難に始まり、人権であったり、親子関係であったり、教師の権力であったり、あらゆる社会の課題が一つの教室で渦を巻く。誰も逃れられない現実の恐怖

オッペンハイマー(2023/アメリカ 監督:クリストファー・ノーラン)

一緒に観た友人は「わかりにくすぎる」と不評でしたが、確かに情報と知識が必要な作品だと思います。登場人物も多岐にわたり、時代は白黒で表現される時代と、カラーの時代にわかれ、それがまたひっきりなしに切り替わるので、クリストファー・ノーランの映画に慣れていないとつらいかも知れません。私は大好きなので堪能しました。原作(文庫本で3冊のノンフィクション)を読んで、2回目に観たらさらに面白かった。科学者の孤独と、ある種の狂気。

《日本映画》「ミッシング(2024 監督:吉田恵輔)

行方不明になってしまった幼い我が子を捜し求め、走り回り、叫び怒りのたうち回る母親を熱演する石原さとみがとにかくすごいのですが、彼女を取り巻く夫や、弟や、取材するテレビの記者や、そういった人々が、みんな実に嘘くさくなくて、それぞれに傷ついているのを観て、観客もまたちゃんと傷つくことができる。つらいけれど、希有な映画体験ができます

夜明けのすべて(2024 監督:三宅唱)

だいぶ前にサークルのブログに掲載していただいた感想が細かく書けているので、よろしければ参照して下さい。なかなか人には伝わらないメンタルの病をかかえた二人が、苦しみながら、時に助け合いながら(それでも恋愛方面にはまったく行かず)、なんとか自立して社会の中で生きて行こうとする、すべての人が「自分ごと」と感じられる名作です

違う惑星の変な恋人(2023 監督:木村聡志)

この映画を観たことで、自分的には、時ならぬ木村聡志監督ブームが来ました。(といっても4本しか観てないんですけど)単なる恋愛の三角関係というか四角関係というか、そういう話ではあるんだけど、キラキラした真剣さというよりも、「なんかわるいけどこうなっちゃってという、ダメな人たちのダメ恋愛コメディなのです。とにかくツボでした

3、作品感想

(1)作品マッドマックス:フュリオサ」(2024/オーストラリア 監督:ジョージ・ミラー)

(2)ストーリー

9年前の大傑作「マッドマックス:怒りのデスロード」の前日談。とはいえ、題名こそ「マッドマックス」ですが、「デスロード」は、男の権力支配から女性たちを解放しようと闘う女戦士(フュリオサ)の物語でしたね。

そして、本作は、そのフュリオサが、幼いころに誘拐されて、助けに来た母親を目の前で殺されて、それから戦士として成長しつつ、のし上がり、やがて復讐を目指す物語。

ラストは「怒りのデスロード」につながる。

(3)感想

 前作に比べて今一では?的な批評や感想をいくつか見聞きしたので、多少不安を持ちながら劇場に向かったのですが、始まっちまったら、そんな不安はかけらも思い出しませんでした。全篇これクライマックスです。

少女時代の彼女がバイカー軍団にさらわれるのは予告編でみた通り。しかし、そこから母たちによる追跡と反撃が始まり、続く。いったん終わるかとみせて、また続く。ここまでか、と思わせておいて、さらに続く。このいい意味での「しつこさ」。これこそが本作を、凡百のアクション映画から屹立させていると思います。

そう、大傑作である前作が、ほとんど止まらずに走り続け戦い続ける人々の姿を全篇クライマックスとして活写し続けたように、今回は確かに少女期から大人期まで、あえて言ってしまえば前作の始まりまで、長いスパンの物語ですが、とにかく止まらない。走り続け、戦い続け、あらがい続け、破壊し続ける。止まらないアクション、今回もそのビートは継続しています

こうしていてもすぐ観に行きたくてたまらなくなるくらいの躍動感と興奮が全篇にわたって貫かれています。

少女期を演じた女優も、実にいい面魂をしていて、しかも美しいのだが、彼女がいつの間にかアニャ・テイラー・ジョイに変わったかわかりきらないくらい全篇スピード感がある。たしかにシャーリーズ・セロンに比べて、ゴツさは足りないかもしれないが、ぶすっとした表情と、誰しも感じるであろう眼力の強さは、それを十分補っているし、多少若く弱さを感じさせなくもない分だけ、愛おしいキャラクターと感じられる部分にもなっていると感じます。

残念なのは、前作でのマックスの立ち位置にいることになるジャックという好漢の存在感というかキャラ立ちというか、それが少し足りないかなあ、と思わないでもない点ですがそれが前作(つまり未来)で、少しずつフュリオサがマックスに心を開いていく過程につながるのだろうとも思いました。

とにかく全篇そうくるのか!と叫びたくなるようなアクション上の工夫に満ちた画づくりが心を震わせます。次は10年と言わず、すぐにでも続篇(前作の続篇なのか?)が観たくてたまらない。

観ないのは大損。映画ファンでこれを観ないというのは本当にもったいない超傑作アクション映画です。

(4)下画像左:フュリオサ役アニャ・テイラー・ジョイ。画像右:ポスタービジュアル。

画像出典左:『マッドマックス:フュリオサ』が思わぬ苦戦!?北米No. 1発進も、クリス・プラット&“ニュークス”共演のアニメ映画が猛追https://moviewalker.jp/news/article/1201235/   画像出典右:映画ナタリー「マッドマックス:フュリオサ」新ビジュアル到着、“もう1人の戦士”の新写真も。 https://natalie.mu/eiga/news/569529   

予告編31https://www.youtube.com/watch?v=q2KJot6OzUI 

 

S.Tさん

1番目ハマのドン(2023日本 監督 松原文枝)

映画終了時に場内で拍手が起き、しばらく続きました。映画終了時に拍手がある映画は『雪道』など時々ありますが、大きな劇場で多くの観客のほぼ全員が拍手するのは『ハマのドン』が始めての経験です。それだけ魅力的なドキュメンタリー作品です。

ストーリー港湾労働者の元締めとして君臨したハマのドンこと藤木幸夫横浜港湾協会会長が横浜へのカジノ誘致に「バクチは家庭を破壊する」「人をダメにしてしまう」とバクチに取りつかれた港湾労働者の実態に基づいて反対。市長選で総理や代議士の権力が押すカジノ推進派候補を、反対派候補が打ち負かすまでに至るドキュメンタリー。その過程で「ハマのドン」藤木会長の人生と人柄が浮かび上がる。

感想:港湾労働者の元締めと言えば暴力団や悪徳権力の巣窟、裏社会のボスと思っていたが、藤木会長のような極めて正義感の強い、「主役は横浜市民」と話す民主的な人がいることに驚いて拝見した。私は17歳のころ横浜港で20㎏の塩袋を10トントラックから船に積むためのパレットに降ろす仕事をアルバイトでしたことがあるが、初めは楽に持てたが、50袋を超えるあたりから、とてもつらくなる。港湾の荷物運搬は当時、力仕事が多く、単純だが過酷な労働だった。パンフレットによれば当時、野毛の木賃宿住まいや、はしけ船の水上生活の家族がおり、賭博は日常的に当たり前のように行われていた。藤木会長はそうした労働者の生活を見ていたと思う。

印象的な場面は藤木会長が山口組3代目田岡組長に「組を解散して、まともな生活をするように組員に話すべきだ」と述べた場面。この言葉は私の記憶で正確でないかもしれないが、このような内容を話していた。あの武闘派暴力団の山口組を全国組織に作り上げた田岡組長に直接このような話をする、「ハマのドン」と言われるゆえんと思う。

もう一つの印象的な最後の場面、横浜発祥の地「象の鼻パーク」の「横浜港湾労働者供養塔」で藤木会長が手を合わせ、記者らしき人に「人は幸せに生きなきゃいけない。人は一人でいる時は人間じゃない。相手がいて人間になれる。だから相手に幸せな思いを与えられるように努力する。向こうからも幸せになれるよう助けてもらう。大事だよ」と話す。(パンフレットで話した内容確認した)

下画像左:人間関係図、右中央に「ハマのドン」藤木会長現在92歳で健在、左中央はIR実施法案を強行採決した当時の菅総理、その上は市長選に出た当時国家公安委員長衆議院議員小此木八郎、その右はカジノに反対し当選した横浜市大医学部教授山中竹春。右端には松原文枝監督のサインがある、当日劇場に来ていてサインを頂いた。画像右:手前左から2人目が山口組3代目組長田岡一雄、その右中央に藤木の父藤木幸太郎。幸太郎の藍綬褒章受章祝賀会、シルクホテルで撮影された(現在の横浜シルクセンターと思われる)。

画像出典左:パンフレットのコピー  画像出典右:文春オンライン「今も港はヤクザが仕切っているのか」…“ハマのドン”藤木幸夫(92)が明かす「ヤクザとバクチとミナト」の“本当の関係”『ハマのドン』より#1 https://bunshun.jp/articles/-/63188?page=2  閲覧2024/7/9

予告編1分、公式サイトhttp://hama-don.jp/ 

 

2番目バカ塗りの娘(2023日本 監督 鶴岡慧子(けいこ))

ストーリー:漆塗り製品の津軽塗が斜陽産業として多くの家が廃業する中、主人公の家は父親が細々と技術を守って仕事を続けている。貧困のせいか、母は離婚して別の男と暮らし、兄は津軽塗に見切りをつけて美容師になっている。主人公は家計を助けるためスーパーのレジの仕事をしながら父の津軽塗を手伝う。手伝いながら津軽塗の美しさに惹きつけられて、廃校に残されていたグランドピアノの漆塗りに津軽塗を付け加えたいと思い、役所の許可を取ってピアノに自分が思う通りの津軽塗を付け加える。インバウンドで青森に来た芸術家がピアノの津軽塗を見て注目する。

感想:漆塗りは能登の輪島塗しか知らなかったが、この映画で津軽塗を知ることができた。塗っては研きを繰り返し、手間がかかるのでバカ塗りと言われるそうです。最後が希望につながる終わり方なのでホッとします。同様の多くの伝統的優れた製品が、100円ショップのような開発途上国で作られた安価なものに押しつぶされていく現実ではないかと、考えさせられます。伝統工芸を取り上げた映画としては、現代的なテーマのLGBTも取り上げていて、単純な伝統工芸や地方文化だけではない深みのある作品になっていると思いました。

下画像左:左に津軽塗職人で口数少ない父(小林薫)、右に父を手伝う娘主人公(堀田真由)。画像中:主人公が自分の思う通りに津軽塗を加えたピアノ。上側や鍵盤側にも加えられている。画像右:津軽塗の表面柄の1例

画像出典左:映画.comバカ塗りの娘 https://eiga.com/movie/99177/  閲覧2024/7/9  画像出典中:11月の弘前 1日目 『バカ塗りの娘』ロケ地巡り https://note.com/lydiamaho/n/ndbd759dcacaf  閲覧2024/7/9  画像出典右:メーカー紹介<津軽塗> https://www.monova-web.jp/blog-20200704-tsugaruakarilab/  閲覧2024/7/9

3番目『団地ともお#44朝起きて昼寝して夜寝ろともお#47二軍で完全試合だともお(2014日本 監督渡辺歩)

このシリーズは小学校4年生「ともお」が中心の話が多いのですが、「ともお」以外が主人公の時に特に魅力的な作品があるように思います。1本が12分程度の短いアニメです。残虐傾向のアニメが多い中でこのシリーズは真逆の人の心を温かく見守る作品が多いです。

#44朝起きて昼寝して夜寝ろともお』は、「ともお」の姉の君子中学2年の同級生熱海が主人公になっている。

ストーリー:姉がバイオ部の早朝練習に朝早く学校に行くと、同級生熱海は既に来ている。いつも熱海は早く来ていた。君子は熱海の兄や弟はスポーツ万能で成績も抜群であることを知る。熱海は、スポーツは苦手で成績もよくないことが分かってくる。君子はだんだん熱海の人柄を理解できるようになっていく。

感想スポーツや成績がよくない人がどういう気持ちでいるか、魅力的な人であることがわかる作品と思う。

#47二軍で完全試合だともお』は、「ともお」と同じ団地に住むプロ野球選手阿羅間(あらま)が主人公。

ストーリー:一軍の阿羅間は年配になり二軍へ行って二軍球場を立て直してくれと二軍に配属される。やる気がない二軍選手たち、ゴミだらけの不衛生な二軍球場内。阿羅間はトイレ掃除、選手ユニホームの洗濯、球場では観客にビールなどを販売。販売中に阿羅間の出場アナウンスが出ると、観客席からグランドに降りて投手をやる。グラウンドが広いので、空いているスペースを民間や少年野球に貸して少しでも経営が良くなるようにする。阿羅間の姿勢で、やる気がなく、ふてくされていた二軍選手たちが変わっていく。

感想やる気がない二軍選手たちが、だんだんやる気を出して、球場が活気を持つようになっていく姿が、単純な話であるが、痛快さがある

下画像左:朝早くからバイオ部の部屋にいて作業をする熱海。画像中左:バイオ部ノートを持つ君子。画像中右:観客が少ない客席を見る阿羅間。画像右:隣で練習中の少年野球チームの人が試合中のボールを取り、エンタイトルツーベースになる。

画像出典左と中左:アニメ万国情報館【画像あり】団地ともお第44話「運動会で神になれともお/ 朝起きて昼寝して夜寝ろともお 」 実況 https://aniban.ldblog.jp/archives/38735354.html  (閲覧2024/7/20)   画像出典左と中左:アニメ万国情報館【画像あり】団地ともお 第47話「かわいい子には一人旅だなともお/ 二軍で完全試合だともお 」感想https://aniban.ldblog.jp/archives/39109979.html  (閲覧2024/7/20)

以上です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メンバーが選ぶ2023年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(2/2)

2024-01-12 00:54:32 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

(1/2)の続き。

F.Mさん

①[42〜世界を変えた男〜](2013年アメリカ 監督ブライアン・ヘルゲランド)

1947年の4月15日(のちにこの日が、ジャッキー・ロビンソン・デーとなる)

史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの半生を、ブリックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)の球団オーナー、ブランチ・リッキーとの交流を軸に描いた実話を基にした感動の物語です。

この映画では、2つのパワーが描かれています。 

1つは、ロビンソン自身の圧倒的な野球の実力

もう1つは、球団オーナーとしてのリッキーのリーダーシップ

この2つのパワーが合わさった事で、黒人初のメジャーリーガーが誕生しました。

人種差別が激しい時代背景なども思うにつけ、アメリカの全球団が永久欠番にしている背番号42理由もよく解って、今ベーブルース以来の2刀流で大活躍の大谷選手がそのロサンゼルス・ドジャースに入団した事とも相まって、とても印象に残る映画になりました。

(下画像左:映画パンフレット、左にドジャースのオーナーのリーキー役ハリソンフォード、右にロビンソン役チャドウィック・ボーズマン。画像中左と中右:ロビンソンは「ここはお前の居場所じゃない」「さっさと帰れ」と言われ、危険球も投げられる。画像右:実際のジャッキー・ロビンソン、ドジャースのユニフォーム姿)

画像出典左:映画ナタリー 42~世界を変えた男~ https://natalie.mu/eiga/film/161232 (閲覧2024/1/10)  画像出典中左:映画『42~世界を変えた男~』予告編https://www.youtube.com/watch?v=toNYuaZpd84 (閲覧2024/1/10)  画像出典中右:トルーパー.com@trooperkt0108【42〜世界を変えた男〜】(2013) https://twitter.com/trooperkt0108/status/1258063954204438528 (閲覧2024/1/10)  画像出典右:シネマトゥデイ 人種の壁を破ったメジャーリーガー「ジャッキー・ロビンソン」映画化 https://www.cinematoday.jp/news/N0032756 (閲覧2024/1/10)

 

②[憧れを超えた侍たち 世界一への記録](2023年日本 監督 三木慎太郎)

2023年3月に開催されたWORLD BASEBALL CLASSICで優勝するまでの軌跡をたどる野球の日本代表チーム・侍ジャパンの選手やスタッフ達に密着したスポーツドキュメンタリーです。

2006年、2009年の優勝も思い出し、(日本中もそうだった様に)純粋にとても元気をもらいました。

BSNHKでの大谷選手などの大リーグ中継にもどハマりで、お陰様で楽しい1年になりました(笑)

(下画像:優勝の瞬間)

画像出典:Kaz’s Blog「憧れを 超えた侍たち 世界一への記録」https://kazinaba.exblog.jp/30348042 (閲覧2024/1/10)

 

③[阪急電車 片道15分の奇跡](2011年日本 監督 三宅喜重)

TVドラマ・草なぎ剛主演の僕シリーズなどを手がけた監督のデビュー作との事。有川浩の小説を映画化

阪急今津線を舞台にした片道15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々を描く物語です。

こんな描き方もあったかと思い(TVドラマの僕シリーズもよく見ていたので)…見終わった後に何となくほのぼのとして…見てよかったと思った映画です。

(下画像:阪急電車をバックに出演者たち)

画像出典:SITA浪漫 1年ぶりの映画「阪急電車」http://gurikura-0606.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-16cc.html (閲覧2024/1/10)

*見たい映画 役所広司主演の『パーフェクト・デイズ

 

N.Mさん

すずめの戸締まり(2022年日本、監督:新海誠)

帰省中、実家のある兵庫県を題材にした映画を探していたとき「すずめの戸締まり」の作品を見つけました。

主人公の鈴芽(すずめ)という名の少女が、日本各地の災害を引き起こすとされる扉を閉じて鍵をかけていくというストーリーです。

ファンタジー要素が強いですが、実際に地震災害を経験した地域が舞台となっていて、兵庫県もその中の一つでした。

描写が美しいです。 神戸の街の描写は(おそらく他の街も)、実際の街並みに忠実に、細かい部分まで丁寧に再現されているようです。

有名な監督が震災をテーマにした映画を作ることで、若い世代に震災の記憶を伝える助けになればいいですね。

画像出典:映画ナタリー すずめの戸締まりの画像・動画(18/22)https://natalie.mu/eiga/gallery/film/188870/188774 

 

S.Tさん

1番目瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと(2022日本 監督中村裕(ゆたか))

内容:寂聴さんの人柄や人生が浮かび上がってくるドキュメンタリー講話の場面では、人を引き付ける話をし、年とともに昨日できたことが今日できなくなると、そのことを笑い飛ばす。テレビのインタビューでおかしなことを言ってしまったときには、後で「ボケてしまった」と涙を流す。転んで目の周りを紫にしていた姿もそのまま映像になっている。

亡くなる前の雪の日に、「この雪が雪を見る最後になると思う。近頃の出来事のそれぞれが、これが最後になるように思える」と話して、その通りに再び雪を見ることなく亡くなった

感想:寂聴さんの人生思う通りに生きた、直球の人生、状況に応じて出家し、無理な変化球がないように思う寂聴さんは最後まで、とても感性豊な人だったように思う。寂聴さんが中村監督を「ゆうさん」と親しく呼び、心の支えにしていたように思える映画でした。

中村監督が17年間寂聴さんの生活を記録した。中村監督の初作品。私もいずれ「この雪が雪を見る最後になる」という日が来るのかもしれない。

(下の画像左:講話中の寂聴、会場は笑いの渦。画像中:誕生日祝いか何かの祝いで分厚いステーキを食べ、お酒を飲む寂聴、向こうにいるのが中村監督。画像右:自宅で大笑いをする寂聴、2021年11月に99歳で亡くなった。最後まで戦争をしてはいけないと訴え続けていた)

画像出典左と中と右:瀬戸内寂聴さん 至福は「孤独に書くこと」 密着17年、中村裕監督が明かす知られざる姿。©2022「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」製作委員会  https://globe.asahi.com/article/14630751  (閲覧2023/1/5)

次のアドレスで予告編を見ることができます1分:https://eiga.com/movie/96677/ 

TVnews23の小川彩佳キャスターのインタビュー3分39秒:https://www.youtube.com/watch?v=K2r0_7kdp2w  

 

2番目土を喰らう十二ヵ(2022日本 監督中江裕司)

内容:「ぽつんと一軒家」に出てきそうな小屋で山菜や畑でとれるもので生活をする主人公がその食材で料理を作る。この映画はこの自然食の料理が主人公になっている。いろいろの料理がどう作られるか四季の自然とともに丁寧に描かれる

料理は作家の水上勉の料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」が基になっているとのこと。水上勉は貧困から9歳の時に禅寺に入り精進料理の世界に入った(参考:ウィキペディア水上勉)。映画の料理はすべて精進料理と思う。映画の主人公は作家であり「ツトム」さんと呼ばれているので、水上勉が想定されていると思う。

感想自然食材の魅力がフルに発揮され、料理は素朴であるが食べてみたいと思う映画でした。また、自然の中で生きる人たちと都会の人が対比的に、料理とともに描かれているのも印象的でした

(下の画像左:子芋(里芋),良い食材は焼くだけで旨い。下画像中:塩漬けの梅と周囲に塩もみしたシソの葉、梅干しを作る過程が描かれる。画像右:「なめこ」を取りに行く途中で編集担当者(松たか子)と出会い、一緒に取りに行く、松たか子の赤い服とコントラストで秋の紅葉がとてもきれいな場面)

画像出典左:四季の恵みに感謝し、十二ヵ月を生きる。https://tsuchiwokurau12.jp/ (閲覧2023/1/5) 画像出典中:映画『土を喰らう十二ヵ月』https://twitter.com/tsuchiwokurau12 (閲覧2023/1/5) 画像出典右:信濃毎日新聞デジタル『土を喰らう十二カ月』を語る② 信州の四季を取り入れ 穏やかに生きていく、その喜びを教えてもらえますhttps://www.shinmai.co.jp/news/article/SHPR2022103100003442 (閲覧2023/1/5)

(下画像左:台所、左下のテーブルで主人公がいつも食事をする。画像中:食事時の主人公ツトム(沢田研二) 。画像右:ツトムが少し離れた所に住む亡き妻の母親の様子を見に尋ねた場面。母親(奈良岡朋子)はツトムと同じように一人で畑を耕し生活。中央の皿、自家製たくわんを山盛りにしてもてなす。米も味噌も母親の自家製)

画像出典左と右:四季の恵みに感謝し、十二ヵ月を生きる。https://tsuchiwokurau12.jp/ (閲覧2023/1/5) 画像出典中:信濃毎日新聞デジタル『土を喰らう十二カ月』を語る① 旬の食材を使って きちんと 料理することを 心がけましたhttps://www.shinmai.co.jp/news/article/SHPR2022102500003436 (閲覧2023/1/5) 

下アドレスで、禅寺では「献立は畑と相談する」で始まる予告編1分6秒を見ることができます。

https://youtu.be/f5el63UWTM8  (閲覧2023/1/5)

 

3番目妖怪ウォッチ誰にでもすぐに謝ってしまう妖怪(たぶん2015年 監督ウシロシンジ)

内容:この妖怪に取りつかれると、誰にでもすぐに謝ってしまう。この妖怪に対抗するために主人公ケータ君はリーゼント頭の妖怪「グレるりん」を呼び出し闘わせるが勝負がつかず、妖怪どうし仲良くなってしまう

感想他:この妖怪は傑作だ。これまでに、このような妖怪がいただろうか。なにしろすぐに謝ってしまう妖怪

以前、大手百貨店の1階のスペースで妖怪ウォッチの着ぐるみのショーがあり、着ぐるみを着た主人公ケータ君、ふみちゃん、妖怪案内の執事、などが出て来て、簡単なストーリーをやった後「ゲラゲラポーのうた」を踊ると、見ていた1階の子供、2階から見ていた子供、幼稚園くらいの子から小学生くらいまでが多数一人残らず子供たちは一斉に一緒に踊る。どの子も踊りを知っている。こんなに子供たちに人気のあるのはどんなアニメだろうと思っていた。

見たのがこれ第72話#205「妖怪あやまり倒し」。これまでの妖怪と言えば「怖い」作品が多い中、まったく異なる発想でインパクトがあったので3番目に上げた。

このシリーズはいろいろな人の個性や出来事を妖怪のせいにするところは非科学を増長し不適切で問題があるが、発想が今までにない、意表を突いているところは好感が持てる面がある。妖怪「あやまり倒し」に似たものに妖怪「一旦ごめん」がある。この妖怪に取りつかれると直ぐに「一旦ごめん」と謝る。いずれも心を和ませる作品。5~10分程度の短い作品。

(下の画像左:右にふみちゃん、中央に主人公ケータ君、左に妖怪に取りつかれて謝る友達のカンチ君。画像中:妖怪に取りつかれ、謝るふみちゃん。画像右:「ゲラゲラポーのうた」と踊り。歌と踊りは更新され8作品以上になっているようだ。子供たちはこのような踊りが大好き

画像出典左:妖怪ウォッチ あらすじ 第72話 【妖怪 あやまり倒し】https://bigmongee.com/anime/archives/12456  (閲覧2024/1/8)  画像出典中:「妖怪ウォッチ」第72話感想画像まとめ・ドケチングがひゃくれつ肉球かわすシーンが無駄にかっこよかったwー【妖怪ドケチング】【妖怪あやまり倒し】【妖怪迷い車】http://moeboku.seesaa.net/article/420207789.html (閲覧2024/1/8)  画像出典右:2014年冬アニメ「妖怪ウォッチ」第1話の感想文https://blog.goo.ne.jp/takasaatsu/e/023c63ec1c87a1007a37aad1ffc934c8 (閲覧2024/1/8)

以上です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メンバーが選ぶ2023年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(1/2)

2024-01-11 21:16:02 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーからメールで頂いた2023年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品です。作品西暦は特記がなければ日本公開年度、次に製作国です。公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルBDなどを含めて選んでいます。これから見たい映画も取り上げていいとしています。今回は新型コロナのため映画館で観るのを控えた会員もいますので、2023年前半に観た映画でなくてもいいとしています。また、感想などでネタバレの要素がある場合がありますのでご了承ください。原則敬称略。

H.Oさん

今回は、ワンちゃんを主人公にした映画の中から、シリーズものの2点でエントリします!ワンちゃんと生活を共にしていると、犬というより、自分の子供という感じで接してしまうので、常々、ちゃんと意思疎通できたらなって思っていますが、この映画は、動物たちも人と意思疎通したいって思っていると思わせます。

僕のワンダフル・ライフ(A Dog's Purpose) ( 2017年アメリカ 監督:ラッセ・ハルストレム 原題A Dog's Purpose )

野良犬トビーの愛すべき転生」(W.ブルース キャメロン 著)という米国でベストセラーになった本を元に映画化されたものです。

主人公は、ベイリーというワンちゃんと少年イーサ ン。犬の寿命は人より短いので、イー サンに会いたい一心で、ベイリーは転生を繰り返すわけですが、生まれ変わる度に、犬種も飼い主も変わり、なかなか遭遇できないといった流れで進みます。

あらすじは、観てのお楽しみというところですが、犬目線で心情が描かれているのがとても面白く、その中で、犬が飼い主を幸せにしようとする姿にはグッときます

画像出典:映画専門チャンネルムービープラス 僕のワンダフル イッキ観!https://www.movieplus.jp/recommend/detail/?id=1070  (閲覧2024/1/8)

僕のワンダフル・ジャーニー(A Dog's Journey )( 2019年 アメリカ 監督:ゲイル・マンキューソ 原題 A Dog's Journey )

僕のワンダフル・ライフ』の続編です。主人公のワンちゃん(ベイリー)が何度も生まれ変わっている間に、少年だったイーサンも大人になり、そして・・・・・ということで、これが、完結編という感じです。

何度も生まれ変わって、いろんな飼い主に出会っていろんな経験しながら、その度に強い絆を築いていくのですが、本人(本犬)は、やっぱりイーサンに会いたくてという流れで進みます。

犬に人間の言葉が分かっていたらいいなという思いが強くなりますね

当然ですが、ご覧になる場合は、『僕のワンダフル・ライフから先にご覧ください

画像出典:洋画専門チャンネル ザ・シネマ 僕のワンダフル・ジャーニー 飼い主への一途な愛は何度生まれ変わっても永遠に。https://www.movieplus.jp/recommend/detail/?id=1070   (閲覧2024/1/8)

 

O.Aさん

2023年下期に鑑賞した映画で予告編と本編のギャップが大きかった映画を紹介します。

一部、内容に触れている部分があるため、所謂ネタバレを気にされる方は読まない方がいいです。

予告編詐欺と言いたくなる位、予告編と本編に差異があった3本。

(2023年11月23日公開 監督北野武)

予告編→ https://www.youtube.com/watch?v=vcGZ8m7tqDI 

予告編の印象から黒澤明の『影武者』や『』の様な大型歴史時代劇を期待すると思います。衣装が黒澤明の娘の黒澤和子なのでなおのこと。もしくは、『アウトレイジ』の時代劇版を期待した人もいると思います。

しかし、本編では、BL(衆道)コント的な要素が多く、本格時代劇を期待した観客はかなり困惑すると思います。

特に劇中、羽柴秀吉(たけし)が羽柴秀長(大森南朋)と黒田官兵衛(浅野忠信)に対して仕掛けるアドリブ芝居では、完全に大森と浅野が役柄を離れ素に戻って対応しているのが明確にわかります。まさかこれが本編に使われているとは当人は思っていなかったでしょう。

作品の印象は、過去作の『みんな〜やってるか!』や『監督・ばんざい!』に近いかもしれません。たけしの秀吉のキャラクターはテレビ番組『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』の城主のまんまでした。

(下の画像は中央に羽柴秀吉(たけし)、左に羽柴秀長(大森南朋)、右に黒田官兵衛(浅野忠信)。衣装は黒澤明の娘の黒澤和子)

画像出典:映画.com首【こんな狂った戦国時代、観たことない――!】北野武監督、構想30年の“集大成的一作”で描いたのは“誰も見たことがない本能寺の変”だった! 有名武将たちの“全員、狂人”も凄まじいエンタテインメント超大作 https://eiga.com/movie/99284/special/  (閲覧2024/1/9)

 

怪物の木こり(2023年12月1日公開 監督三池崇史)

予告編→ https://www.youtube.com/watch?v=Bfajd6Kax84

2019年・第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した小説の映画化。コピーの『サイコパス VS 連続殺人鬼』と三池崇史の最新作ということで期待が高まる一本。『殺し屋1』や『極道戦国志 不動』のような映画を期待した人も多いと思います。

しかし、本編ではサイコパスと謳っている亀梨和也が開始早々、「実はサイコパスではありませんでした」というまさかの展開。しかも、サイコパス設定が人工的に作られたという設定。このネタバレが巻頭のシーンにあるのも致命的にダメ。一番の売りを外してどうやって本作を楽しめばいいのか?

更に亀梨は実はいい人だったというダメ押しで鑑賞したことを後悔させるオチに絶句しました。

(下画像左:主人公弁護士(亀梨和也)。画像右:連続殺人鬼、木こりのように斧で人を襲う)

画像出典左:映画.com怪物の木こりhttps://eiga.com/movie/99644/ (閲覧2024/1/9)  画像出典右:シネマトゥデイ 亀梨和也を狙う“怪物”はこうして生まれた…『怪物の木こり』狂気のキャラクター制作秘話 https://news.yahoo.co.jp/articles/419a0ba16d9381a700991fa47aef038c95153d2a (閲覧2024/1/9)

 

映画 窓ぎわのトットちゃん(2023年12月8日公開 監督八鍬新之介)

予告編→ https://www.youtube.com/watch?v=869wlarndRA

戦後最大のベストセラーと言われる同名小説のアニメ化。予告編を見ると時代背景は戦後の復興中の日本のような印象を受けました。

児童向けアニメのような予告編の作りなので、大人の観客は鑑賞リストから外してしまうと思います。

しかし、本編は完全な反戦映画でした。後で気づいたのですが、公開日が12月8日で「太平洋戦争開戦記念日」だったのも意図的だと思います。舞台は戦中の日本で戦争のカゲが忍び寄る時代の描写が克明に描かれています。終盤のB29が焼夷弾を東京に投下するシーンの作画がかなり詳細に描写されているのに驚きました。劇中に太平洋戦争の開戦を報じるラジオの描写もあり、予告編では全く出て来ない「戦争」の要素を外したことは完全にマイナスだったように思います。

(下の画像左:中央の窓際にいるのがトットちゃん。画像右:東京大空襲の場面)

画像出典左:FASHION PRESS映画『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子の幼少期描く自伝的小説をアニメ映画化、小栗旬・杏ら声優キャストにhttps://www.fashion-press.net/news/106231 (閲覧2024/1/9)  画像出典右:講談社コクリコ 窓際のトットちゃんhttps://cocreco.kodansha.co.jp/special/tottochan (閲覧2024/1/9)

 

Y.Tさん

2023年は知人に勧められた是枝監督の『怪物』を映画館で観たかったのですが、体調を崩してしまい叶わず。

Amazonプライムで、長年気になっていた『ミリオンダラー・ベイビー』を観ることにしました。とても心に響きました

ミリオンダラー・ベイビー(2004年アメリカ公開 監督:クリント・イーストウッド原題Million Dollar Baby)

ハッピーエンドでは無い、ボクシング映画です。

老いた名トレーナー「ダン」と、田舎育ちでボクサーを目指すウェートレスの「マギー」。

「終わり良ければ全て良し」という言葉がありますが、逆に終わりが“最悪”だった場合は、全ての過程、そもそもの出会いさえも過ちだったように思えてしまいます

フィクションと分かっていても、ダンとマギーの「選択」と「人生」に数日思いを馳せました。

公開当時、母親に勧められていたのですが当時10代の私には受け入れられなかったと思うので、今観てちょうど良かったです。

映画って、ちょうど良い時にちょうど良いものが巡ってくることがあるな、と思います。

 (下画像左:レストランで働くマギー(ヒラリー・スワンク)。画像中:左に老いた名トレーナーのダン(クリント・イーストウッド)、右にボクサーを目指すマギー。画像右:マギーは勝ち進み、WBA女子ウェルター級チャンピオン『青い熊』ビリーとの100万ドル(ミリオンダラー約1.4億円)が掛かる試合。左にビリー、右の白がマギー。この試合で悲劇が起こる)

画像出典左:『ミリオンダラー・ベイビー』絶句するほど美しい「絆」のドラマhttps://intro.ne.jp/contents/2005/05/19_1257.html (閲覧2024/1/10)  画像出典中:愛すべき映画たち『ミリオンダラー・ベイビー』(クリント・イーストウッド) https://aisubekieigatachi.com/million-dollar-baby/   (閲覧2024/1/10)  画像出典右:どらごんづ★Movie'zミリオンダラー・ベイビー(2004年)https://dragonsmoviez.blog.fc2.com/blog-entry-1359.html (閲覧2024/1/10)

 

Aさん

今回は映画館で観た二本の映画について書きます。それ以外で印象に残ったのは、沢木耕太郎原作のボクシング映画『春に散る』と、フランス・スペイン合作の実話をもとにした映画『理想郷』でした。

ゴジラ-1.0(2023年日本 監督・脚本/山崎貴)

かつて本多猪四郎が監督した作品群の『ゴジラ』、『モスラ』、『ゴジラ対モスラ』などの怪獣ものや、『マタンゴ』などのSF怪奇ものを子供の頃、よく父に連れられて渋谷の映画館で観た。思えば、私が映画好きになった原点はこの辺りにあったようだ。この頃の怪獣ものにはロマンがあった

ゴジラ-1.0』には、1954年版の『ゴジラ』のような過ぎ去った昭和のテイストが詰まっていて懐かしさを感じた。そんな時代設定でありながら、最新技術のVFXは素晴らしく古さと新しさが統一されて画面的に違和感がない。そして「核の脅威」の象徴であり、人間が犯した罪の祟り神とも言える肝心のゴジラは間違いなく怖い。

好き嫌いはあるだろうが、私は、戦略的・政府的側面が強くて、ゴジラがそれほど怖くなかったスタイリッシュな『シン・ゴジラ』をあまり評価していない。なので、怪獣ものなら何でもいいというわけではない。

ゴジラ-1.0』の時代背景は、太平洋戦争末期。特攻隊員だった主人公(神木隆之介)が生への葛藤から特攻できずに生き残り、戦後の荒廃した東京に突如現れたゴジラと対峙する民間チームに入って戦う物語。主人公が自分を取り戻していくという自己完結のストーリーに、混乱の中で偶然知り合った女性(浜辺美波)とのほのかな恋愛が絡めてある。

この賢く勇敢な民間チームとゴジラの戦いがメインなのだが、ここぞという時に流れる例のゴジラのテーマ曲のタイミングが絶妙だ。ストーリーは先が読めてしまう部分もあり、そこが物足りないという意見もあるだろうが、私は、それはそれで良いと思う。変な言い方かもしれないが、「王道の怪獣映画という安心感があるのだ。

ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで見せた山崎監督の昭和の街づくりが素晴らしく主役二人をはじめ、脇を固める俳優陣もみな適役だった。そして大迫力の画面。ラストは、ただでは済まない、この先があるというエンドレスな不安要素を感じさせた。

(下の画像左:戦闘機でゴジラに挑む主人公(神木隆之介)。画像中:窓から迫ってくるゴジラを見る女性(浜辺美波)。画像右:大迫力のゴジラ)

画像出典左:シネマトゥデイ『ゴジラ-1.0』戦闘機に乗り込みゴジラに挑む敷島!新場面写真(全8枚)https://www.cinematoday.jp/gallery/E0023303/002.jpg.html (閲覧2024/1/9)  画像出典中と右:圧倒的迫力!!「ゴジラ-1.0」新たな全身ビジュアル&場面写真15点公開 https://eiga.com/news/20230914/12/ (閲覧2024/1/9)

 

PERFECT DAYS(2023年日本・ドイツ合作 監督/ヴィム・ヴェンダース)

PERFECT DAYS」は、私的で詩的で禅的な映画。観る側の心の奥底をくすぐるような、懐かしさと静けさに包まれた映像とストーリーだ。渋谷で公衆トイレの清掃の仕事をする男の日常を描いているだけなのだが、なぜか最後まで目が離せなかった。

若い頃、ヴィム・ヴェンダースやジム・ジャームッシュの映画が大好きだったことを思い出した。画面作りが本当に美しい

役所広司演じる平山は、ミニマリストで決まったことを淡々とこなすことに喜びを感じるのだろう。

早朝、近所を掃く老女のほうきの音で目覚め、部屋の植物に水をやる。カセットで音楽を聴きながら掃除道具を乗せたバンで仕事場へ。仕事は丁寧で手を抜かない。終われば銭湯で汗を流し、行きつけの地下の居酒屋へ行く。(店長がいつも「お帰り」と声をかけて一杯目を出すのが良い。)夜は古本屋で買った本を読みながら眠りにつく。見る夢は彼がフィルムカメラで撮る木漏れ日の映像と同じように淡い。

デートをしたい若い同僚にお金を貸して、結局返ってこないかもしれないが、それほど怒りはしない。だが同僚が突然辞めてシフトが崩れそうになった時のみ、普段温厚な彼は異様に怒る。生活のリズムが崩れるのが嫌なのだろう。それは「今」を本当に大切に生活しているから。訪ねてきた姪と一緒に自転車に乗って、大声で歌うように繰り返す「今度は今度、今は今」というフレーズが全てを語っている。

気になったのは、禅的には「掃除と料理は修行の一環」なので、その点、仕事にしている掃除は完璧だけど、私生活ではもう少し食生活に気を使って欲しかった。朝は車で缶コーヒーのみ、昼はお寺の境内でサンドイッチ、夜は居酒屋でほとんど食べずの繰り返しでは栄養が偏るし、お金もかかる。料理も簡単でいいから彼なりに工夫して欲しかった。ひょっとしてミニマリストで、ガスは止めているのかもしれないが。そういえば、火を点けたシーンは皆無だった。

バンのカセットから流れる60~70年代の音楽も良かった。私はアニマルズの『朝日のあたる家』とオーティス・レディングの『ドック・オブ・ザ・ベイ』しか知らなかったけど。ルー・リードの『PERFECT DAY』という曲は初めて聴いた。

ちなみにスナックのママ役の石川さゆりが歌った『朝日のあたる家』は昔、浅川マキが日本語詞を作って歌ったものらしい。それで、映画の中でギターを弾いていた客はあがた森魚だというから、かなりマニアックだ。他にも一瞬だけ出る俳優たちもいて見逃せない

彼にとっては、この淡々とした日々が「PERFECT DAYS」なのだろう。過去に何があったか、なぜこの仕事と生活に落ち着いたのか、一切明らかにならず、観る側が想像するのみだ。

最後の平山の表情は良かった。喜怒哀楽が溶け合った至福の表情で、平穏な未来を感じさせた。

(下画像左: 公衆トイレでの主人公平山(役所広司)、清掃の仕事は丁寧で手を抜かない。画像中:行きつけの居酒屋。画像右: スナックのママ(石川さゆり)『朝日のあたる家』を歌う)

画像出典左:BANGER視覚・聴覚・触覚に訴えかける唯一無二の体験『PERFECT DAYS』ウェブ限定の書き下ろし小説「Days of HIRAYAMA」 https://www.banger.jp/news/108181/ (閲覧2024/1/10) 画像出典中:antenna“役所広司が通う”浅草のディープな焼きそば酒場へ!映画『PERFECT DAYS』ロケ地巡りhttps://antenna.jp/articles/21275903 (閲覧2024/1/10) 画像出典右:音楽ナタリー石川さゆり、ヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演の映画「PERFECT DAYS」で居酒屋のママに https://natalie.mu/music/gallery/news/524694/2060575 (閲覧2024/1/10)

下画像左:古本屋で買った本を読みながら眠りにつく主人公平山。画像右:笑顔の表情の平山。

画像出典左:音楽ナタリー石川さゆり、ヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演の映画「PERFECT DAYS」で居酒屋のママにhttps://natalie.mu/music/gallery/news/524694/2060575 (閲覧2024/1/10) 画像出典右:公式trailer パーフェクトデイズhttps://www.imdb.com/title/tt27503384/ (閲覧2024/1/10)

(2/2)へ続く

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メンバーが選ぶ2023年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品

2023-07-11 20:38:32 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーからメールで頂いた2023年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品です。作品西暦は特記がなければ日本公開年度、次に製作国です。公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルBDなどを含めて選んでいます。これから見たい映画も取り上げていいとしています。今回は新型コロナのため映画館で観るのを控えた会員もいますので、2023年前半に観た映画でなくてもいいとしています。また、感想などでネタバレの要素がある場合がありますのでご了承ください。原則敬称略。

N.Mさん

怪物(2023年 日本 監督:是枝裕和)
同じ出来事が親、教師、子どもという異なる視点から描かれています。異なる視点で見ると、真実はこんなにも異なるのかという展開の仕方です。一つの出来事でも、視点によって解釈が異なり、真実を理解するためには多角的な視点が必要であることが示されているのかなと思います。
それは簡単に伝わるメッセージで、より深いメッセージがあるように感じました。ただ、私には理解が及ばず、何度か繰り返して見ることが必要そうです。
この映画は、坂本龍一が生前に音楽を手掛けた最後の作品のようで音楽にも注目です。

画像出典:安藤サクラ主演×是枝裕和監督『怪物』、場面&キャラクター写真19点が一挙解禁

https://mdpr.jp/news/3695863

 

F.Mさん

①『シンドラーのリスト(1993年アメリカ 監督:スティーヴン・スピルバーグ 原作:オーストリアの小説家トーマ ス・キニーリー氏の「シンドラーの箱舟」)

第二次世界大戦時にドイツによるユダヤ人の組織的大量虐殺(ホロコースト)が東欧のドイツ占領地で進む中、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を経営する軍需工場に必要な生産力だという名目で、絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話で有る。

ホロコーストに関する代表的作品として、見ておくべき映画の1本と思い、現在の世界情勢を思うにつけ(もちろん色々有りはするが)平和な国に住んでる事を実感させられました

(下画像左:ナチス親衛隊SSは抵抗者、隠れる者、病人など、次々に虐殺。下画像中左:連行されるユダヤ人の中を歩く赤い服の少女。下画像中右:赤い服の少女の遺体を運ぶ人。下画像右:ナチス親衛隊SSの前に立つ主人公シンドラー中央、後ろに多数のユダヤ人労働者)

画像出典左と中右:史上最大の悲しみを描くホロコースト作品“シンドラーのリスト”https://yellowegg.jp/eiga/schindlers-list/  (閲覧2023/7/11)    画像出典中左:ゆめたんのマイペース日記 シンドラーのリストに出てくる赤いコートの女の子https://ameblo.jp/yumetandayo/entry-12675204464.html  (閲覧2023/7/11)  画像出典右:CINEMORE『シンドラーのリスト』“スピルバーグ映画”を越境する「音」への取り組み(C)1993 UNIVERSAL CITY STUDIOS, INC. AND AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. ALL RIGHTS RESERVED.https://cinemore.jp/jp/erudition/643/article_781_p3.html  (閲覧2023/7/11)

②『引っ越し大名!(2019年日本 監督:大童一心 原作:土橋章宏氏の「引っ越し大名三千里」)

何度も国替(引っ越し)させられた実在の大名松平直矩(なおのり)のエピソードを基に、高額な費用のかかる遠方への引っ越しを、知恵と工夫で乗り切ろうとする姫路藩士達の奮闘を描く。

断捨離をせねばと考えている身としても、アレコレと参考になった

このジャンルでは、現在『大名倒産』が公開されていたり『超高速!参勤交代』『殿、利息でござる!』などなど様々な作品も有り、この作品というよりはこのジャンルという感覚で選んで見ました。

(下の画像は不要物見切り許可状を見せる場面)

画像出典:FASHION PRESS映画『引っ越し大名!』土橋章宏の人気小説を星野源や高橋一生で映画化 https://www.fashion-press.net/news/39437  (閲覧2023/7/11)

 

③『怪物(2023年日本 監督:是枝裕和 脚本:坂本 裕二)

喧嘩をした子供達の食い違う主張をきっかけに、社会やメディアを巻き込む騒動が起きる。

今年の話題作として、見て見ました。1ヶ月経ってますが、一言で言うと難しい!!と言う印象は相変わらずです。母の視点・教師の視点・子供達の視点 まさに、怪物だーれだ⁈

子供の頃に、田舎の廃墟になった不思議なでんぷん工場でよく遊んだワクワク感を思い出しました。子供時代のあるあるですね。

(下画像左:喧嘩をした?子供二人。下画像右:舞台となった廃電車)

画像出典左:映画『怪物』はなぜ性的マイノリティを描きながら不可視化したのか。映画製作の構造的な問題を考える(文:久保豊)

https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/movie-kaibutsu-review-202306  (閲覧2023/7/11)

画像出典右:映画「怪物」6.2全国公開 × 諏訪LOCATION 特設サイト へようこそ! | 諏訪圏フィルムコミッション

http://www.suwafc.com/kaibutsu-locationsp/  (閲覧2023/7/11)

見たい映画

・『青いカフタンの仕立て屋』『モロッコ』新聞の案内を見て。

・『WBC〜侍ジャパン世界一奪還へ』野球は昔から好きなので、すっかり大谷女子になった身としては(笑)やはり見たい!日ハム時代に買ったグッズは、やはりお宝になりましたね♪

 

M.Nさん

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー日本語吹き替え版(2023年4月26日日本公開。製作米日。監督アーロン・ホーバス、マイケル・ジェレニック 原題The Super Mario Bros. Movie)

ストーリー:ニューヨークで配管工を営む双子の兄弟マリオとルイージ。二人で配管工の生業をすることに希望持ちながら頑張っていた。ひょんなことから謎の土管に入ってしまい見たことのない世界へ行ってしまう。そんな途中にその兄弟は離れ離れになってしまう。弟を助けに行くために兄はいろんな人に出会い協力をもとに弟のもとへ。

感想他:姪っ子にぜひ映画のマリオを見たい!とリクエストされ、私自身も幼少期からゲームや本で慣れ親しんだマリオの映画の世界へ飛び込んできました

ストーリーとしては桃太郎かなというようなイメージですが・・・どのキャラクターも愛らしいです。

映像作品としてとても綺麗でぜひスクリーンで見ることをおすすめします。

3Dも4Dもあるようなので何度でも楽しめると思います。

安倍元首相が「マリオ」の恰好をしたオリンピックの閉会式・・世界中にインパクトを与えたと思います。マリオを生み出したのは日本人ですからね(^▽^)/

劇場の中は子どもたちが多く見終わったあとの館内はマリオの言葉ヒーヤッホーという声がどこからともなく聞こえました

今後はマリオカートで遊ぶときはクッパを選ぼうかな。彼の一途な気持ちや歌声は心に染みました(^0^)♫

マリオが迷い込んだ世界へぜひ行きたい!私も土管を見つけたら入ってしまうかもしれません。

下に映画館で撮ったポスターを添付いたします。

 

O.Aさん

2023年前半の印象的な映画3本

1.『REVOLUTION+1』2023年3月11日公開 監督足立正生(75分)

2.『劇場版 センキョナンデス』2023年2月18日公開 監督ダースレイダー、プチ鹿島(109分)

3.『妖怪の孫』2023年3月17日公開 監督内山雄人(115分)

3作品とも黄金町のシネマ・ジャック&ベティで鑑賞した。

意識した訳でもないのに偶然時間帯があったので鑑賞したが3作品とも安倍晋三に関連する映画でなんとも奇妙なシンクロニシティを感じてしまう。

ご存知のとおり、安倍晋三は2022年7月8日に暗殺により亡くなっている。もう一年もなるが、その事件を描いたのがREVOLUTION+1である。

国葬に抗議する意味で足立正生と井上淳一が2日で脚本を完成させて撮影に臨んだ野心作全国の公開は今年の3月であったが、その前に横浜で先行上映していた。未完成版は、2022年9月27日の国葬の日に公開された。

映画はタモト清嵐(そらん)扮する川上哲也(山上徹也)が事件を起こすまでの背景を中心に描く。流石に急場で製作された映画なので事実を列挙するのが精一杯の印象作品に深味がないのが少し物足りない印象。

 

劇場版 センキョナンデスでは、2022年7月8日の暗殺事件が劇中に登場し、選挙をエンタメとして楽しむ。

主演のダースレイダーとプチ鹿島(監督も兼務)が安部氏暗殺の一報を聞いて絶句するシーンが出て来る。

映画前半は『香川1区』でも描かれた小川淳也VS平井卓也の構図を茶化す軽いノリであるが、安部氏の暗殺を境に作品が社会派に変貌して行く。予測不能なドキュメンタリー映画の醍醐味が体験できる拾い物。

配給のネツゲンは大島新の設立した映画製作会社で、大島新のドキュメンタリーと重なる部分も多い。

 

妖怪の孫は、安倍晋三のバックボーンを知るのに最適なテキスト映画。

別に故人を擁護するつもりはないが、決して順風満帆という訳ではない安部氏の政治人生を知ることができる。

父親との確執や祖父で岸信介を越えることに奔走する総理時代の姿を通して安部晋三の実態を浮き彫りにする。

意外と知らないことが多く取り上げていて興味深いが、『パンケーキを毒見する』と同様に不要なアニメパートがあるのがマイナス。

5月5日から公開した『ハマのドン』もかなり集客があるようで政治ドキュメンタリー映画は意外に稼げるコンテンツなのかもしれない。

(下画像左:『REVOLUTION+1』撮影風景。中央の白髪の人が監督足立正生、その左に主演タモト清嵐。壁には安倍晋三の写真。下画像中:『劇場版 センキョナンデス』香川1区小川淳也の突撃取材、左にダースレイダー、右にプチ鹿島。下画像右:昭和の妖怪岸信介の『妖怪の孫』安倍晋三)

画像出典左:【緊急限定上映】REVOLUTION+1  https://demachiza.com/movies/12220  (閲覧2023/7/7)  画像出典中:ラッパーと時事芸人が忖度なしの突撃取材を敢行!前代未聞の政治ドキュメンタリー『劇場版 センキョナンデス』爆笑の特報予告が解禁! 両監督からのコメントも到着!©︎劇場版 センキョナンデス https://cinefil.tokyo/_ct/17591374  (閲覧2023/7/7)  画像出典右:映画ナタリー 妖怪の孫 https://natalie.mu/eiga/film/192491 (閲覧2023/7/7)

 

H.Oさん

今回は、昔見た時間や空間の制約を超えた映画を2点でエントリします!「タイムスリップ」とか「時間軸のずれ」をテーマに、ロマンチックな要素を組み合わせた映画は、現実ではあり得ないと知りつつ、感動してしまいます。その中で、印象に残っている作品を2つご紹介します。

イルマーレ』(The Lake House( 2006年 アメリカ 監督:アレハンドロ・アグレスティ 原題The Lake House)

主演は、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックです。2人はレイクハウスに住んでいるにもかかわらず、2年以上の時間差で生活しているという設定です。

お互いに過去と未来を生きているため、直接会うことができず手紙を介して知り合って、色々な障壁を乗り越えたり運命に逆らったりしながらのラブストーリーです。

テーマソングは、ポールマッカートニーの「This never happened before」で盛り上がります。2000年の韓国映画『イルマーレ(時越愛:シウォレ)』をリメイクした様ですね。

画像出典:手紙で繋がる時空を超えた愛『イルマーレ』(2006年/アメリカ映画)https://safarilounge.jp/online/culture/column/detail.php?id=6771  


ぼくは明日、昨日のきみとデートする( 2016年 日本 監督:三木孝浩)

主演は、福士蒼汰と小松菜奈。福士蒼汰が一目惚れして、小松菜奈をデートの誘うところから始まります。

タイトルどおり、彼が明日デートする彼女は、実は昨日の彼女だということなのですが、それはお互いの時間の流れが逆になるということで、初めてのデート、初めて手をつなぐ、初めてお互いを名前で呼び合うなどが、全て、相手にとっては最後になるという設定なのです。

かなり頭が混乱しそうですが、2人が、色々な障害を乗り越えながら生きるストーリーは素敵で印象深かったです。主題歌は、back numberの「ハッピーエンド」! これもグッドです!

画像出典:自由気ままな映画ブログ 映画『ぼくは明日昨日のきみとデートする』ロケ地まとめ!あの橋や公園はどこ? https://film-studio3000.com/eiga/bokuasu-roke/  

 

S.Tさん

劇場映画館では放映されない自主上映作品は見逃すと、見る機会がほとんどないので、優先すべき作業があったのですが無理に時間を取って行ってきました。『雪道』は東急東横線の中目黒での自主上映、『アリ地獄天国』は東急東横線の大倉山でのドキュメンタリー映画祭で観てきました。特に『雪道』は現在と過去をうまく整合させ、感動的でした。

1番目『雪道(2022年日本公開、韓国PG12 監督:イ・ナジョン、原題:Snowy Road)

日本が軍事支配を始めたころの朝鮮半島が舞台。綿花を栽培している貧しい農家の主人公15歳の少女(農家少女)は、学校に行きたいと思っていたが親は認めない。弟は無理しても学校に行かせる家父長制の家族。綿花畑などの地主の娘で富裕な主人公15歳の少女(地主少女)は農家少女を卑下し、自分は高貴な存在としていた。地主少女には優しい兄がおり、農家少女はあこがれていたが、地主少女は話をすることさえ認めない。この2人の少女の人生が描かれる

ストーリー: 地主少女に日本軍のため働く勤労挺身隊の話が来て、「憧れの日本へ行き働きながら勉強もできる」と日本行を決意する。少女の兄も勤労挺身隊の勧誘と思われる人に日本へ連れていかれていた(徴用工?)。農家少女にも日本へ行きたくないかと話しかけてくる人が現れる。少女は断っていたが地主少女の兄に会えるかもしれないと迷いがある。ある日無理やり車に乗せられてしまい、母親に行くと言ってないので、どこに行ったか心配しているだろうと思う。日本へ向かう列車の中で二人の少女が会う。何かおかしいと感ずる。二人が向かったのは日本ではなかった。地主少女は「何かの間違いです」と懸命に訴えたが聞き入れられない。二人は慰安婦施設に連れていかれる。時が立ち、日本の敗戦が近づき、日本軍に日本人慰安婦とともに撤退するよう指示が出る。現地調達慰安婦は処分の命令。この混乱の時に少女二人は殺されかかるが、かろうじて慰安施設から脱出することができ、雪の中を故郷へ向かう。この故郷への道が題名の『雪道』。

感想:最後の農家少女が高齢になり、林の中を歩いている場面と、高齢になった少女が昔母親に「こら、何やっているの」と追い回されていることを懐かしく思い出す場面がラップして表現されている。私も亡き母親に「00はほんとにダメなんだから」と怒られていた時を思い出してジンとくる場面でした。

日本軍の従軍慰安婦を描くと、目の敵にして批判する人が出てくると思うのですが、そうした人も高齢になった農家少女の現代の生活人の心を描くうまさに惹きつけられるのではないかと思う。拉致被害者御家族の横田早紀江さんに観ていただければ、きっと感銘するのではないかと勝手に思う作品でした。

(下画像左:農家少女左が憧れの地主少女の兄と恥じらいながら話す場面。下画像中:慰安婦となった少女。手前の右側が農家少女、左の背が高い方が地主少女。下画像右:混乱の慰安婦施設で殺されかけたが逃げ出し、故郷への途中の雪道の2人。地主少女は逃げる時の銃弾の傷で血が出ていた。地主少女は農家少女に、「兄と結婚してもいいよ」と話すと、農家少女は「もう結婚できる体じゃないから無理」と、地主少女は「黙っていればいいじゃない、私もこのことは誰にも決して話さないから」と、「もう疲れたので少し休んで後から追っていくから先に行って」と農家少女を先に行かせて、最後の別れになる場面。)

画像出典左:映画の時間 雪道映画情報:https://movie.jorudan.co.jp/film/97157/  (閲覧2023/7/2) 画像出典中:歌手イ・ヒョリ、SNSに慰安婦被害を扱った映画『ヌンキル(雪道)』のOST公開 http://japan.hani.co.kr/arti/culture/26548.html  (閲覧2023/7/2) 画像出典右:映画.com 雪道 https://eiga.com/movie/97463/  (閲覧2023/7/2)

 

2番目『アリ地獄天国(2020公開 日本 監督 土屋トカチ)

「・・2020年後半・・印象的な作品(3/3)」で観たい映画として取り上げていた作品。

映画内容の事前情報大手引越会社の正社員が、長時間労働や事故で生じた費用は自腹などで「アリ地獄」と揶揄される状況を問題にし、個人加盟労働組合(ユニオン)に加入したら配置転換、給料半額、ついに解雇に追い込まれるなどを追った3年間のドキュメンタリー。情報元:公式サイト他。

ストーリー:システムエンジニアだった主人公は妻がおり、より安定的な年収1000万円という記事を信じて引越社へ転職。がむしゃらに働き(月390時間,土日を休日と仮定すると残業390-8h×20日/月=230時間程度になる。私の経験では、残業50時間以上でプライベートなことは一切できない、主に睡眠時間を確保する生活。残業80時間以上になると精神がおかしくなってきて、人と笑うところが違ってくる。月230時間の残業を私は行ったことがないが土日も含めて毎日13時間程度の労働時間、食事昼夕各1時間と仮定すると毎日朝8時から夜11時まで働く、睡眠時間が確保できず、命の危険がある状態と思う)営業成績トップになるが、ある日、社用車での通勤時に事故を起こし会社の車が破損など。事故の修理費など48万円を給料から天引きされた。通勤中の社用車事故は本人の特別な過失がない限り労災の対象範囲で会社負担が一般的、天引きはおかしいと苦情を言い、また長時間労働についても改善を申し出た。類似の問題を扱った週刊誌記事を見て合同組合(プレカリアートユニオン)を知り相談を始める。合同組合の支援でいろいろな天引きの個人弁済や長時間労働強制に対する抗議を始めると、営業からシュレッダーによる裁断業務へ回された。この付近から土屋トカチ監督の撮影が始まる。主人公は営業への職場復帰を求めたが、シュレッダー業務が続いた。主人公は合同組合の支援で「団体交渉」を会社側に求め、会社は形式だけの団体交渉を受ける。会社は一日中シュレッダーだけをやらせておけば、そのうち退職するだろうと高をくくっていたが一向にやめずに職場復帰の要求を下ろそうとしない。会社はシュレダーをする部屋の壁に「過激派の流れを汲むような怖い人は去れ!」「北朝鮮人は帰れ!」のチラシを張った。「罪状」と題し顔写真入りのチラシが各支店に配布され、主人公夫妻のそれぞれの両親に嫌がらせの怪文書が送られた。本社の前で抗議行動をしていると副社長が出てきて「お前ら何してんねん」と大声で暴力団と間違えそうにまくし立てる。ほかの従業員も朝鮮人、韓国人などを揶揄した民族差別の用語や古い時代の差別用語を浴びせかけられた人がいる。シュレッダーだけの業務は2年続いた。最後には会社が折れ職場復帰が実現する。会社が折れた理由は主人公の不屈な姿勢がいろいろな人に影響し、会社への批判が集まり、会社の経営がうまくいかなくなったためと思われる。本社も移転した。営業職に復帰した主人公は、他社の営業などからも一目置かれて、協力してくる人が出てくる。映画はここまでであるが、この後副社長は社長に出世しており、主人公の困難な状態は新たな段階に入ったと思われる。

観ようと思う動機:私が横浜へ引っ越してくるとき3社の引越会社から見積もりを取って決めたのですが、その時の状況がこの映画の背景に関係すると思い見てみたいと思った。見積もりは他社にも頼んでいると言っていないときには3社とも40万円前後だったが、他社にも見積もりを頼んでいると話すと急に30万円程度に各社とも下げてきて、何社に見積もりを頼んでいるか、他社はどこか、を聞いてきた。話すと業者間で談合されると困るので話さないでいると、競って下げてくる。引越市場は年間500万件程度でその限られた市場の取り合いが激しいことが分かってくる。結局一番安いところは20万円強だったが、安すぎて問題が生じると困ると思い、1割ぐらい高い、2番目に安いところに決めた。それでも横浜についた時の荷下ろしは問題なかったが、エアコンのダクトのセッティングがしてもらえなかった。作業員は外注の人らしく顧客そっちのけで手間賃が安すぎると盛んに携帯で、大声でもめていた。また、次の仕事が入っているのでダクトセッティングの時間が取れない様子でもあった。ダクトセッティングはいいよと言って帰ってもらった。新たに別費用でエアコンメーカにダクトのセッティングを依頼した。引越全体は最初の40万円程度よりはずいぶん安く済んだが、合い見積もりで競争をさせるという手法や、安いところが生き残るという原理が単純にいいことか?考えさせられる経験だった。引越会社の激しい競争と働いている人の厳しい状況を見た思いがする。『アリ地獄天国』はこの引越会社の状況を会社の内側から捉えていると思い、観てみたいと思った。

観た後の感想能力の高い働く人を安く、激しく使った方が勝利する競争原理を『アリ地獄天国』は浮かび上がらせたと思う。この引越社は当時従業員4000人程度の大手企業。この競争原理は資本主義の原理のように思うので、多かれ少なかれすべての企業の中に存在すると思う。主人公は職場復帰を勝ち取ったが、資本主義の原理を克服したわけではないので、いずれこの原理そのものに対峙しなければならないことになるのではないかと思う。私が横浜に引っ越しをするときに引越し会社の激しい競争の現実に直面したが、主人公は職場復帰してこの競争の真っただ中に戻らざるを得ない。会社側の不当な振舞は会社の文化(社風)というような視点では解決しない本質的なものがあるように思う。主人公の勇気や真摯な姿を応援する気持が沸き、会社側の不当な対応に腹が立つが、資本主義の深遠な困難さも同時に感じざるを得ない

 (下画像左:シュレッダー後の袋を道路の向かい側のごみ置き場へ運ぶ主人公。映画の後の座談会に土屋トカチ監督が出席をされ、パンフレットにサインをいただいたもの。下画像中:各支店に張り出された『罪状』チラシ、弁護士と相談して作られたらしい内容になっている。下画像右:本社前で抗議のマイクを持つ主人公、左に撮影中の土屋トカチ監督。この画像には入っていないが合同組合の人が主人公を周囲で支えている)

画像出典左:パンフレット表紙コピーをトリミング。 画像出典中:パンフレットからコピーをトリミング。 画像出典右:パンフレットからコピーをトリミング。

 

3番目『生きるLIVING(2023日本公開 英国 監督オリヴァー・ハーマナス 脚本カズオ・イシグロ 原題:Living)

本来1番目に挙げるべき名作ですが前の2本があまりにもインパクトが大きかったので、3番目になっています。「・・2022年後半・・印象的な作品(2/3)」で観たい映画として取り上げた作品。

ストーリー(私の記憶に基づくので、多少違っているかもしれない):ロンドンの役所の市民課長の主人公は、当たり障りのない事務処理をこなし、決まった時間に帰る、孤独で空虚な毎日を過ごしていた。ある日医者から余命半年の癌を宣告される。職場を無断で離れ、海辺のリゾートで自分らしい時間を作ろうとするが、虚無さだけになる。街に戻ると部下の若い女性に出会い、食事を共にする。部下の女性は快活で職場の人に陰であだ名を付けていた。主人公にはゾンビと、なぜかと聞くと、生きているか分からないからという答え、主人公はうまいこと言うと二人で笑う。部下の女性はレストランの支配人になれる仕事が見つかったので転職するという。後日、主人公がそのレストランに行くと、ウエイトレスの仕事で支配人にはなれそうもなく、募集の甘い言葉に騙されたが、ハツラツと仕事をしている。数回その元部下の女性と食事をした後、無断で離れていた職場に戻る。職場の部下たちがびっくりしている中、書類の中に埋もれていた、団地の空き地が排水が悪く不衛生で、公園にしてほしいという陳情書を取り出した。この陳情は団地の主婦数人が何回も市民課に来ていたが、都市計画課など他課の仕事として他の課へ行くように指示して、たらい回しにして、戻っていた。主人公はこの陳情を実現すべく、動き出す。自ら他の課へ行き認可が下りるまで粘った。公園ができると、その公園のブランコに座り「ナナカマドの木」を歌い、幸せそうな笑顔を浮かべて他界する。

感想:黒澤明の『生きる』のリメイクだが、展開は、ほぼ黒澤作品通りで、魅力的なところがすべて入り込んでいるように思う。異なるところは、黒澤作品には悲壮感があり、本作品は希望がある点だ。黒澤作品の「ゴンドラの歌」は切々と歌われるが、対応する「ナナカマドの木」の歌は、比較的力強く明るく歌われ、悲壮感がない。黒澤作品の最後は若い職員が、新課長が陳情書類を後回し棚に移すのを見て文句を言おうとするが止めてしまうのに対し、本作品では、市民課長が亡くなる前に対応する若い職員に手紙を残し、壁にぶつかったらあの公園をみて私を思い出してほしいというような内容を残した。また、主人公が影響を受けた元部下の若い女性とこの若い職員の二人が未来の希望として描かれているように思う。

本作品のパンフレットINTRODUCTIONで、カズオ・イシグロは黒澤の映画への姿勢を「世間から称賛されるからやるのでなく、他人がどう思うかではなく、それが自分がなすべきことだからやる」と表現している。この姿勢は両作品のテーマとして共通に表現され人を惹き付ける魅力となっていると思う。映画の中で表現されているこの黒澤の姿勢は私自身もずいぶん励まされる思いがする。尚、黒澤作品のほぼすべてに係わった野上照代はパンフレットの中で「私としては、やっぱり黒澤さんの方が描き方はうまいと思うけれど、一つの映画としてこの作品も面白く拝見しました」「黒澤さんの『生きる』も見る人が増えてくれれば、嬉しいですね」と述べている。

https://youtu.be/8dBvDgXvYWg  1分47秒:映画の酒場の場面で主人公が「ナナカマドの木」を歌う場面の動画、癌で余命が少ないという悲壮感はないように表現されていると思う。主人公を演ずるビル・ナイは歌がうまい

https://www.youtube.com/watch?v=_GEM_Vgm8TM  3分53秒:声楽家大前恵子が日本語訳で歌う「ナナカマドの木」ご参考まで。

https://youtu.be/SRaxhH3rchY  3分30秒:ソプラノ歌手鮫島有美子が歌う「ゴンドラの歌」いい歌ですね!

(下画像左:書類が山積になった市民課の中、奥に主人公の市民課長がいる。下画像中:市民課長役ビル・ナイ。下画像右:完成した公園で遊ぶ子供立ち。子供はどこの国も同じですね)

画像出典左:映画.com 第21回:黒澤明監督作「生きる」との違いは? 英国リメイク版の監督、脚本カズオ・イシグロらが明かす(C)Number 9 Films Living Limited。https://eiga.com/extra/hosoki/21/  (閲覧2023/7/7)  画像出典中:ENTERTAINMENTブリティッシュ“ライク”“私は紳士になりたかった …” 映画『生きる Living』https://www.british-made.jp/stories/entertainment/202303300061894  (閲覧2023/7/7)  画像出典右:FASHION PRESS映画『生きる LIVING』黒澤明作品をリメイク - 余命半年、残された日々をどう生きる? https://www.fashion-press.net/news/81992  (閲覧2023/7/7)

以上

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メンバーが選ぶ2022年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(3/3)

2023-01-21 18:13:09 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

(2/3)の続き

Mさん

ウエストサイドストーリー(2022米 監督スティーヴン・スピルバーグ 原題West Side Story)

1961年に映画化もされたブロードウェイミュージカルを、スティーヴン・スピルバーグ監督が映画化。監督念願のミュージカル初演出。1950年代のアメリカ・ニューヨークを舞台に、移民系の二つのグループが抗争を繰り広げる中で芽生える恋を描く。脚本と振付は、主人公を「ベイビー・ドライバー」,「TOKYO VICE」などのアンセル・エルゴート、ヒロインをオーディションで選出されたレイチェル・ゼグラーが演じるほか、1961年版でオスカーを受賞したリタ・モレノらが出演する。

お馴染みのナンバーがどう変化しているか、興味深く楽しめました。ヒロインのレイチェル・ゼグラー、始めはユニークな顔立ちだなと思っていましたがストーリーが進むに従って、魅了的な女優に思えてきました。旧作と違い、本人が歌っており、踊り、歌等素晴らしかった。旧作の出演者の方々、良い年齢の重ね方が観られて近親感が湧きました。

(画像下左はヒロインを演じたレイチェル・ゼグラー。画像中は旧作で踊るリタ・モレノ。画像右は本作でのリタ・モレノ)

画像出典左:FRONTROW『ウエスト・サイド物語』主演の「レイチェル・ゼグラー」って誰!? https://front-row.jp/_ct/17462675 (閲覧2023/1/19)   画像出典中:リタ・モレノがウエストサイドストーリーをほとんど辞めた理由 https://ja.news24viral.com   (閲覧2023/1/19)  画像出典右:MOVIE WALKER PRESS “伝説の女優”リタ・モレノが、60年を経て『ウエスト・サイド・ストーリー』に繋いだ架け橋 https://moviewalker.jp/news/article/1085585/ (閲覧2023/1/19)

 

ラストナイト・イン・ソーホー(2021英 監督エドガー・ライト原題Last Night In Soho)

ロンドンで現代と1960年代別々の時代を生きる二人の女性の人生がシンクロするサイコスリラー。

ファッションデザイナー志望のエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学するが、寮生活に向かず一人暮らしをすることに。新しいアパートで暮らし始めた彼女は、1960年代のソーホーにいる夢を見る。エロイーズは夢の中で、歌手を夢見るサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)と出会い、肉体的にも感覚的にも彼女と次第にシンクロしていく。

色彩が華やかでとても綺麗です。

時代のシンクロがとても早く、そして、ラストの意外な展開で面白く鑑賞できました

(下の画像の左は主人公役トーマシン・マッケンジー。右は夢の中のサンディ役アニャ・テイラー=ジョイ)

画像出典:MOVIE WALKER PRESS夢と恐怖がシンクロする、魅惑の60’sに迫る!『ラストナイト・イン・ソーホー』特集 https://moviewalker.jp/feature/12058/ (閲覧2023/1/19)

 

すずめの戸締まり(2022日本 監督 新海誠)
君の名は。」,「天気の子」などの新海誠監督が、“災いの元となる扉”を閉めるために旅をする少女の姿を描いたアニメーション。九州の田舎に暮らす女子高校生が扉を探す不思議な青年と出会い、災いをもたらす扉を閉めるために日本各地の廃虚へおもむく。


混み具合が落ち着いた時期に鑑賞。田舎の農道等がリアルで懐かしかった流れる古い楽曲も楽しめました過去の災い、そんなに古い事ではないので歯痒く感じられましたラスト近く、突然泣かされました。主題歌「RADWIMPS」の歌声は少し、マンネリかな。
(下の画像左は扉を探す不思議な青年。画像右は扉の前の主人公)

画像出典左:山陽新聞さんデジすずめの戸締まり https://www.sanyonews.jp/town/cinema/film_detail/4486  (閲覧2023/1/19)

 

H.Eさん

千夜、一夜(2022年 日本 監督 久保田直 出演:田中裕子,尾野真千子,安藤政信)

ドキュメンタリー出身の久保田監督が、日本全国で年間8万人にも及ぶ「失踪者」リストに着想を得て作ったヒューマンドラマ。

切なくて  重くて…心に残る。田中裕子は流石です。

(下の画像は失踪した夫を探すためのビラを手にする主人公(田中裕子))

画像出典:テアトルシネマグループ上映作品千夜、一夜 第27回釜山国際映画祭の国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)、第45回山路ふみ子映画賞の山路ふみ子映画賞 https://ttcg.jp/movie/0871000.html  (閲覧2023/1/21)

 

夜明けまでバス停で(2022年 日本 監督 高橋伴明 出演:板谷由夏,大西礼芳,三浦貴大)

2020年冬に幡ヶ谷のバス停で起きた寝泊まりしていたホームレスの女性が突然襲われ死亡した事件をモチーフにした社会派ドラマ。

新型コロナウィルスの感染拡大の影響で仕事と住まいを失いバス停で寝泊まりせざる得なかった女性を通じもしかしたら明日誰しも置かれるかもしれない「貧困、社会的孤立」を描く

ホームレスになった女性は炊き出しや生活相談に行かない。「自尊心」ゆえに自らが置かれている危機的状況にもかかわらず「助けて」と言えない自分だったら「助けて」と言えるのか?と考えてしまった

(下の画像左は居酒屋で仕事をしていたころの主人公役板谷由夏。画像右は新型コロナで居酒屋が閉店し、ホームレスになった主人公)

画像出典左:映画『夜明けまでバス停で』予告編 https://www.youtube.com/watch?v=qQiZcbN0zEc  (閲覧2023/1/21)  画像出典右:「夜明けまでバス停で」公式サイト https://yoakemademovie.com/  (閲覧2023/1/21)

 

ある男(2022年 日本 監督 石川慶 出演:妻夫木聡,安藤サクラ,窪田正孝)

平野啓一郎の小説を映画化。弁護士の城戸(妻夫木)がかつての依頼人である里枝(安藤)から亡くなった夫、大祐(窪田)の身元調査という奇妙な相談を受けたことで、彼の正体に迫っていくさまを描く。

里枝の息子、悠人を演じた坂元愛登が印象に残った覚えておきたいと思う。

(下の画像左は家族4人の写真、左に里恵(安藤サクラ)右端に夫(窪田正孝)、学生服の悠人(坂元愛登)。画像右は悠人を演じる坂元愛登)

画像出典左:YAHOO!JAPANニュースク ランクイン窪田正孝、巧みな表現力で一人何役をも演じ分け 『ある男』幸せな家族の日々を映し出す場面写真 https://news.yahoo.co.jp/articles/3a20e3562f04a776c5100ead219335f7c8515f7f (閲覧2023/1/21)  画像出典右:YAHOO!JAPANニュース 映画.com「ある男」で注目の新人俳優・坂元愛登とは? 妻夫木聡「彼の言葉と演技に救われた」 https://news.yahoo.co.jp/articles/4dd4b08d1472e56a01efd4978cde8bac10f921e0 (閲覧2023/1/21)

以上です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする