横浜映画サークル

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『みんなの学校』横浜キネマ俱楽部自主上映と監督の講演に行ってきました

2023-02-06 21:29:02 | メンバーの投稿

みんなの学校』(2014日本 監督 真鍋俊永)

学校のあるべき姿をドキュメンタリーで描く傑作でした

ストーリー:大阪市の公立小学校児童数約220人の新設校(南住吉の小学校の人数が多くなりすぎて分校のようにして新設)の初代校長があるべき学校像を求めて奮闘するドキュメンタリー。不登校や知的障害など特別支援の対象になる児童が30人以上いるが、みんな一緒に学び、運動会、遠足が行われる

感想、とても印象的な場面:問題を起こした男児を同級生の女児と一緒に校長室に連れてきて話し、男児がもうやらないと言うと、校長は女児に「後は頼むわ」と言って二人が部屋を出ていく場面。この女児に対する校長の信頼がすごく高い。手のかかる児童たちがたくさんいるが、この女児のように面倒を見るしっかりした児童もいる児童みんなで支え合う姿がとても印象に残った。支え合うみんなの学校」のように思う。

ただし、この学校にはサイコパス特性を持つ児童は一人もいないようです。神戸連続児童殺傷事件を起こした少年Aは物心ついた時から弟をいじめ、小学校1年では隣に座った同級生の腹を思い切りつねりあげ、人の心と肉体を破壊することを止められない病を持っている。成績は悪くないが整然としたものはぐちゃぐちゃにする衝動をもつ(情報元「絶歌」太田出版他)。もし一人でもサイコ特性の児童がいた場合、その子を隔離するなどが必要になり「暴力的な子、障害の子すべての子供に学習権を与える、誰一人排除することない心構えで学校を作っていく」という「みんなの学校」は成り立たなくなるのではないかと思う。サイコ病児童の対応策は別に必要になると考える。「愛情で包み込む」ことでも何回「言い聞かせ」ても、治ることはなく、分かった振りをして、ほとぼりが冷めた頃に、陰でサイコ特有の行動を再開する。サイコ病児童は教育による是正が困難で、治療の視点が必要。サイコ病児童は多くはないが存在し、大人になって戦争を求める激しい欲求を持つようになる場合があるので、決して無視できない。

講演:真鍋俊永監督の話。箇条書きに印象に残った点のみ

1、児童たちがカメラを意識せず自然である理由子供たちがのびのびする資質を兼ね備えていた。こんな人(カメラマン)が来ることもあるんやなと気にしないためと思う。

2、映さないでという子はカットしている。

3、小学校のドキュメントを取ろうと何校かに当たったが断られ、この学校の校長のみOKしてくれた。

4、「みんなの学校」の取材で心が広くなった

講演者へのQ&A

筆者の質問:撮影から10年がたち、映画でトラックの運転手になりたい、親の後を継ぎたい、医者になりたいなどを言っていたが、子供たちはどうなったか差し支えない範囲で分かりましたら。

答え:映画で殴り返した子はサッカーがうまく、Jリーグの札幌に入ったと聞いている。先生を目指している人もいる。東京大学大学院教育学研究科のバリアフリー教育開発研究センターのH.P.で卒業生座談会があり、そこでも分る。H.P.のアドレス。https://www.p.u-tokyo.ac.jp/cbfe/

他の人の質問:校長や学校はその後どうなりましたか?

答え:大阪市の維新の会は「みんなの学校」は面倒なのでつぶしたいと思っている。特別支援学級と通常学級は別にするよう文科省通知があった。教頭だった人が次の校長になったが、その後2人校長が次々変わっている。

筆者は例えば特別支援学級の人のような弱者を知らないで育った子供と身近に感じて育った子供では大人になった後に違いが出るように思う。どんなに「優秀な教育」を受けて「エリート」として育っても、弱者を理解できない人は人間的な魅力が少なくなるように思う。そういう意味でも「みんなの学校」の存在意義は大きいと思う。

(下の画像は左に初代校長木村泰子、右に不登校で4年生特別支援学級からの転校生で「みんなの学校」では通常学級の児童と一緒に学ぶ。この児童は授業を抜け出すことを繰り返し、職員が捕まえて連れ戻す。しかし、不登校はなくなる。画像中:左の男児が右の男児を殴ったので校長に呼ばれて二度と殴らないと約束し、謝ってくると教室に戻ると、今度は右の児童が急に殴りかかり、慌てて職員が止めている場面。映画は自然にありのままに記録されている。画像右:体操をする「みんなの学校」の児童たち)

画像出典左中右共:【映画レビュー】不登校をゼロに。『みんなの学校』から見える居場所のあり方とは(C)関西テレビ放送 https://www.futoukou-navi.com/note/tokushu/minna.html  (閲覧2023/2/6)

(下の画像は音楽の場面、後方の3人は鈴を挙げて鳴らしている。その右はタンバリン、手前の青い服の子はトライアングルで知的障害があるがうまくできて後で褒められる。コメントは漫画家の細川貂々(てんてん)「子供たちひとりひとりが能力に応じて大切にされていること、手がかかる子もかからない子もいるけれど平等に愛されていること、そういう学校が地域の中で理解されて存在していること、そのことにとっても感動しました筆者も同感)

画像出典 :みんなの学校 ニュース https://www.futoukou-navi.com/note/tokushu/minna.html  閲覧2023/2/6

その他:横浜キネマ俱楽部スタッフの推薦本

会場入り口で見た見本と表紙が違っているようなので、違うかもしれませんが、校長木村泰子著『「みんなの学校」が教えてくれたこと。小学館』の表紙を参考までに下に貼り付けます。(横浜キネマ俱楽部から推薦本はこの表紙のもので違いはありませんと連絡をいただきました)

画像出典:アマゾン「みんなの学校」が教えてくれたこと~学び合いと育ち合いを見届けた3290日~ (小学館新書) Kindle版木村泰子  (著)   閲覧2023/2/6

以上、S.Tでした。

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