「メディアに物申す その11海外留学生の減少は学生が悪い?」
海外に留学する学生の減少について、2013年9月4日に「メディアに物申す その11海外留学生の減少は学生が悪い?」を書いている。このブログでは、海外へ行く留学生の減少を、学生の志の欠如だけを原因にすることに異を唱えて、社会的な要因を考えている。
このブログでは、下記の記事を参考にしている。
・2012年11月13日の SankeiBiz「米大学への留学6.2%減 中国は日本の10倍、19万4000人」
・2012年6月22日の読売新聞「米・ワシントン…日本人留学生減 対策練る」
・「選択」2011年2月号の「留学生減少は『日本の危機』ドルー・ギルピン・ファウスト(ハーバード大学学長)」
私が考えた社会的な要因は次の通り。
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【留学先の事情】
・アメリカの教育・研究レベルが相対的に低下し、魅力が減少
・アメリカ以外の留学先が増えた
・能力主義なので、年をとると短期の実力評価で追い出される可能性あり
【日本側の事情】
・留学していると、新卒採用情報が少ない⇒日本での就職が不利
・日本では、新卒以外の採用が少ない⇒日本での就職が不利
・アメリカに留学しても、日本での就職には評価されない(給料が増えない)
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TOEFLのテスト内容が変更されたのが原因?
週刊東洋経済の2022年7月23日号に、第一生命経済研究所のレポート「なぜ米国大学への長期留学生は減ったのか」(2022年6月14日)の簡単な紹介が「06年度を境に長期留学生が激減 日本人の米国大学留学を阻む壁」として載っている。
2007年度から2010年度にかけて、米国への留学生が急減した。短期留学生(単位取得を目指さない)は増加したが、長期留学生(単位取得を目指す)は約2万人から1万人にほぼ半減している。
この留学生の減少は、TOEFLのテスト内容が2006年から変更されたのが影響したとみている。TOEFLは、2006年にそれまでの「読む、聞く、書く」のテストから「話す」テストが追加され、「話す」のが苦手な日本人のハードルが上がったとしている。
もしそうであれば、日本の若者の留学意欲が低下したと盛んに書いていたメディアの責任はどうなるんだ!と言いたい。何か問題が起きると、弱い立場の人の責任にする、特に教育系のメディアは汚らわしい。
まあ、米国への長期留学生の減少は、TOEFLのテスト内容の変更が主な原因であっても、それだけではなく、私が上に書いた要因もあるかもしれないと思っておこう。
2022年9月8日
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