ほぼ週二 横浜の山の中通信

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東大理Ⅲは富士山か?

2019年06月24日 | 研究および大学

週刊ダイヤモンドに「イノベーターの育ち方」という連載記事がある。その2019/06/22号は東大理Ⅲ卒の会社経営者を取り上げている。

 

この記事の中で、聞き手が「東大理Ⅲは医者にならない人が10%」という質問に対して、会社経営者は「東大の理Ⅲは日本最難関だからという理由で目標とする秀才たちが多く、医者になりたい人が一番少ない医学部と言われます」と答えていた。

 

「東大理Ⅲは人生の模擬試験」と思っている人が多いと言うことかな? あるいは「東大理Ⅲは富士山」で、頂上を極めることだけが目標であって、下山の方法までは考えていないということ? つまらんことに青春をかけるなあ。

 

東大医学部の劣化が言われている(私は東大医学部と全く関係が無いので、事実かどうかわからない)が、こういう事も原因かもしれない。医学部は教育に金のかかるのに、卒業生が医者や研究者にならない人が多いのは、東大医学部にとって金銭的損失が大きく不都合です。

 

そもそも受験勉強で良い点を取れても、医者や研究者に向いているかどうかは全く別。体質的に向いていない人(私は血を見ると背筋がゾクゾクする)もいるのに、日本一の難関だからという理由だけで東大理Ⅲを目指すとは、理解不能。だいたい医者なんて、アナログ的なものの最たるもので、受験勉強とは対極的かもしれない。

 

別の見方をすると、東大理Ⅲに合格する受験生は、有名進学校出身が多いようなので、有名進学校は成績優秀な生徒に東大理Ⅲを受験するよう指導しているのかもしれない。有名進学校は東大理Ⅲの合格者が多いほど営業的には都合が良い。

 

さらに別の見方をすると、親からのプレッシャー? 親が医者なら、子供はどうしても医者になって欲しいけど、そうでない場合は自分の子供が医者に向いているかいないか、親はわかると思うけどな?

 

それに東大は理Ⅲで合格しても、3年次へ進級する時に進路を変更することが可能なので、医者が合わないと思えば進路を変更することが出来る。東大に2年も通学していると、内情がわかるし、自分の進路を考え直す時間も十分あるのに? 

 

東大生の中には、我々が時間をかけないとなかなか理解できない問題(時間をかけても理解できないこともあるが)をサッと理解する優秀な人もいるし、記憶力が抜群で試験に受かったような人(それはそれで優秀というべきかも)もいるけど、試験以外はあまり賢くないようです。

 

ただし、「東大の理Ⅲは日本最難関だからという理由で目標とする秀才たちが多く、医者になりたい人が一番少ない医学部」という状態が続けば、他大学の医学部にとってありがたい。東大医学部にこういう受験生しか入学して来ないなら、東大医学部はいずれ弱体化する。他大学の医学部にとってチャンスです。

 

(補足)

東大の理系の入試は次の3種類のどれかを受ける。各コースの合格ラインは

 理科類(工学部・理学部コース)3157

 理科類(農学部・薬学部コース)3027

 理科類(医学部コース)    3704

と理ⅢはⅠ・Ⅱ類と比べて大幅に高い。

(少し古いですが週刊現代2013.04.10号から。この記事は、私のブログと同じような視点で書かれています)

 

2019.06.24

 

 


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