6月13日のホルムズ海峡で、タンカー二隻が国籍不明の勢力から攻撃を受けた。ノルウェーのタンカーは炎上していたが後に鎮火し、日本の会社が所有しているタンカーは船体に穴が開いたが沈没せず、フィリピン人船員は軽い被害で済んだ。
ノルウェーのタンカーの乗組員(ロシア人)はイランによって救助され、厚遇されているというビデオが流れた。日本の会社が所有しているタンカーはシンガポールの会社が運航し、船員は全員フィリピン人で、既にタンカーに戻ったと伝えていた。
米軍は、日本の会社が所有しているタンカーの写真を公開した。それによると、左の船腹に1か所穴が開いており、その後方に不発だった爆発物(磁石により船体に吸着する機雷という説明)が船体に張り付いていた。そして、この不発だった機雷に(米軍の説明によると)イランの革命防衛隊のボートが近づき、機雷を取り外す様子を撮影したビデオを米軍が公開した。
この米軍のビデオの説明が正しいとすると、タンカーを攻撃したのはイランの可能性が高い。なぜなら、不発だった機雷を調べれば、どこの国の機雷か直ぐにわかるので、動かぬ証拠になる。だから、どうしても回収する必要があった。それで、米軍に見つかるという危険と不発機雷が爆発するかもしれないという危険を冒してまで、夜(と言われている)という不利な条件下でも、不発機雷を直ぐに回収する必要があったと考えるのが妥当。そうでなければ、イランが不発機雷の危険な回収を急いだ理由がわからない。
そうはいっても、他の勢力がやった可能性は?
・サウジアラビアかUAE?
スンニー派のサウジアラビアやUAEは、シーア派のイランを弱体化させたい。それで、安倍首相のイラン訪問時に、イランの一部勢力がやったように見せかけて、アメリカとイランの関係がさらに悪化(あるいは戦争まで)させるように仕向けた。ただし、こういう作戦がバレた時は逆に窮地に立たされるので、サウジアラビアやUAEはそういうリスクを取るかどうか?
・イスラエル
イスラエルに強硬な姿勢を取るイランを困らせてやりたいという動機は存在する。タンカーへの攻撃をイランがやったと見せかけて、イランを窮地に追い込むのはありえる。しかし、サウジアラビアとイランに挟まれたホルムズ海峡におけるイスラエルの活動は難しいので、イスラエルが現地のスンニー派の組織をそそのかした可能性は?
・オマーンやイエメンのシーア派勢力
内戦の続くオマーンやイエメンで、イランの援助を受けたシーア派組織が動いて、安倍首相のイラン訪問による対話ムードの高まりを潰そうとした可能性はある。イランとアメリカが友好的になると、こういうシーア派勢力にとって都合が悪い。ただし、オマーンやイエメンから離れたホルムズ海峡でタンカーを攻撃するだけの実力があるかどうか?
・アメリカの強硬派
アメリカの対イラン強硬派が、現地の勢力をそそのかし、金を渡してやらせた。これは安倍首相のイラン訪問による対話ムードの高まりを壊すために、安倍首相のイラン訪問に合わせて実行した。ただし、アメリカの対イラン強硬派が、そこまでやるかどうか。
・アラビア半島の海賊
この地域の海賊が身代金を奪うことを目的に実行したが、現在まで身代金に関する話は出て来ていないので、これは違うだろうな。
ということで、タンカーを攻撃したのはイランの可能性は高い。特にイランの正規軍ではない革命防衛隊(こういう組織は強硬派が多い)が、アメリカとの仲を取り持とうという安倍首相がイランを訪問したタイミングでタンカーを攻撃して、安倍首相の仲介を潰そうとした可能性が高いだろうな。
イランもアメリカも強硬派を抑えつけることができるかどうか? 今のところ、イランもアメリカも戦争をする気は無さそうだけど、強硬派に引きずられて戦争に突入しないよう願うばかりです。
他の人もタンカー攻撃はイランの仕業と思っている人が多いようなので、今回は多数派です。
2019.06.21
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