1981年から2001までの20年間、ジェゼネラル・エレクトリック GEのCEOだったジャック・ウェルチは名経営者として多くの書物で紹介されています。しかし、実際そうなのでしょうか? 今まで、ジャック・ウェルチを名経営者と崇め奉って商売して来た人たちにとって、今さら方針変更できないだけではないですか?
GEは、エジソンの作った会社が源流の一つであり、ジェゼネラル・エレクトリックの名の通り総合家電メーカーから、重電やジェットエンジンなどに業種を広げてきた、誰もが認める優良な老舗メーカーです。
ジャック・ウェルチは、業界1位か2位でない事業は将来を見込めない事業として売却する一方、金融ビジネスを強化して、金融ビジネスが利益の半分を占める時代もありました。一時はGEが金融ビジネスをメインにする会社になるという記事も出ていました。
しかし、リーマンショック後の金融環境の悪化で、現在はジャック・ウェルチの後継者のジェフリー・イメルトは、金融事業を売り払い、製造業に回帰している途中です。これらGEの経営改革を日経新聞はわざわざ社説で誉めて、GEを見習え!と書いていました。
そうでしょうか? 「学ぶべき点が多い」会社と言うよりは、ジャック・ウェルチに将来を見る目が無かったというべきでは? 利益が上がりそうな金融事業を取り込んで、実際にそこから利益が上がったので、GEを金融がメインの会社にしようとしていたのでは? そこから、たかだか10年か20年しか経っていないのに、収益が悪化したので金融事業を売り払うと言うのでは、ジャック・ウェルチの決めた方針が間違っていたと言うことでしょう。優秀な経営者なら、せめて30年は同じ方針で行かないと働く人はたまったものでは無い。
規制が厳しくなって収益を上げづらくなった金融ビジネス部門をGEからおっぽり出すのでは、会社としてのGEは良いかもしれないけど、その金融ビジネスの会社は実際に存在するわけで、そこで働く人にとっては良い迷惑です。こんなことをする経営者が優秀ってことは無いでしょ!
一方で、将来伸びそうな会社をGE以外から持って来ても、そんなのは名経営者といえない! 少なくとも、もともとのGEに存在する事業と相乗効果を上げないと、GEとくっついた意味が無い。
こう考えて来ると、ジャック・ウェルチは尊敬に値する経営者とは言えず、行き当たりばったりの経営者というべきです。あっちこっちの会社を着けたり剥がしたりするくらいなら、誰でもする。
老舗の大メーカーがこういうことをやっているから、社会民主主義を標榜する民主党の大統領候補のバーニー・サンダースがクリントン候補に迫る勢いなのでしょう。
2016.03.12