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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

GEのジャック・ウェルチは名経営者なのか?

2016年03月12日 | 会社

1981年から2001までの20年間、ジェゼネラル・エレクトリック GEのCEOだったジャック・ウェルチは名経営者として多くの書物で紹介されています。しかし、実際そうなのでしょうか? 今まで、ジャック・ウェルチを名経営者と崇め奉って商売して来た人たちにとって、今さら方針変更できないだけではないですか?

 

GEは、エジソンの作った会社が源流の一つであり、ジェゼネラル・エレクトリックの名の通り総合家電メーカーから、重電やジェットエンジンなどに業種を広げてきた、誰もが認める優良な老舗メーカーです。

 

ジャック・ウェルチは、業界1位か2位でない事業は将来を見込めない事業として売却する一方、金融ビジネスを強化して、金融ビジネスが利益の半分を占める時代もありました。一時はGEが金融ビジネスをメインにする会社になるという記事も出ていました。

 

しかし、リーマンショック後の金融環境の悪化で、現在はジャック・ウェルチの後継者のジェフリー・イメルトは、金融事業を売り払い、製造業に回帰している途中です。これらGEの経営改革を日経新聞はわざわざ社説で誉めて、GEを見習え!と書いていました。

 

そうでしょうか? 「学ぶべき点が多い」会社と言うよりは、ジャック・ウェルチに将来を見る目が無かったというべきでは? 利益が上がりそうな金融事業を取り込んで、実際にそこから利益が上がったので、GEを金融がメインの会社にしようとしていたのでは? そこから、たかだか10年か20年しか経っていないのに、収益が悪化したので金融事業を売り払うと言うのでは、ジャック・ウェルチの決めた方針が間違っていたと言うことでしょう。優秀な経営者なら、せめて30年は同じ方針で行かないと働く人はたまったものでは無い。

 

規制が厳しくなって収益を上げづらくなった金融ビジネス部門をGEからおっぽり出すのでは、会社としてのGEは良いかもしれないけど、その金融ビジネスの会社は実際に存在するわけで、そこで働く人にとっては良い迷惑です。こんなことをする経営者が優秀ってことは無いでしょ!

 

一方で、将来伸びそうな会社をGE以外から持って来ても、そんなのは名経営者といえない! 少なくとも、もともとのGEに存在する事業と相乗効果を上げないと、GEとくっついた意味が無い。

 

こう考えて来ると、ジャック・ウェルチは尊敬に値する経営者とは言えず、行き当たりばったりの経営者というべきです。あっちこっちの会社を着けたり剥がしたりするくらいなら、誰でもする。

 

老舗の大メーカーがこういうことをやっているから、社会民主主義を標榜する民主党の大統領候補のバーニー・サンダースがクリントン候補に迫る勢いなのでしょう。

 

2016.03.12


三菱グループは今後も最強か?続き~MRJも心配~

2016年02月05日 | 会社

2016年2月2日のブログ「三菱グループは今後も最強か?」の続きです。前のブログを書いた後で、疑問が出たので追加します。

 

前のブログでは、2007年に自衛隊のF2支援戦闘機が墜落した原因は、三菱重工業の作業員が若くて点検に未熟だったので、配線のコネクタを逆にセットしたという発表でした。

 

しかし、昔はともかく最近の民間ではこういう話はありえません。配線のコネクタを逆にセットすると墜落するような重要な部品は、フェールセーフ(いわゆるバカ除け)になっていないとおかしい。このような重要な部分の点検・整備が、人の経験に頼るような設計になっているのは、私のように民間の製品を設計していた者としては理解できません。

 

多くても数百機程度しか製造しない割に部品点数の多いジェット戦闘機では、性能を向上させる設計が優先し、生産や点検・修理をやり易く間違えないようにする工夫は後回しにされるか、顧みないことになるのでしょうか? もしそうであれば、私は人を信用しないので不安です。わたしなら、こんな戦闘機には乗りたくない。

 

ここで思い出すのが、三菱航空機が開発している民間機MRJの生産の延期です。MRJにおいて、こういう人の経験に頼る設計をしていないでしょうね? 民間機では、いつも熟練した人が点検・整備するとは限らないし、仮に熟練した人が作業をしたとしても、ミスを絶対しないとは限らない。もしそうであれば、設計のやり直しが必要で、生産の遅れはこれが原因で無いでしょうね?

 

2016.02.05


三菱グループは今後も最強か?

2016年02月02日 | 会社

旧財閥グループとしては最強かもしれませんが、ピークは過ぎています。先週の週刊ダイヤモンドは特集を組んでいましたが、持ち上げるのに苦労したのでは? バブルにのめり込まなかったことや莫大な過去の遺産のおかげで現在もそこそこやっていますが、これ以上の発展は無いでしょう。戦争でもない限り。

三菱商事、三菱地所、三菱重工、三菱自動車、三菱化学、三菱電機、う~ん、鳴かず飛ばずですね。三菱商事以外は、海外が弱いように見受けられる。

 

そう言えば、最近の新聞は三菱重工長崎造船所で建造中の客船「アイーダ・プリマ」(12万4500㌧)で今年3件目の火事が発生したことを報じています。いずれも原因不明で放火の可能性も指摘されています。この客船の建造では、仕様変更などによる引渡しの遅延が発生し、既に約1336億円の損失が出ていて、損失額はさらに増えると報道されています。

 

三菱重工長崎造船所での客船火災というと、2002年の「ダイヤモンド・プリンセス」の大火災が思い出されます。この火災の原因は失火?(あるいは原因不明)とされ、この時も数百億円の損失を出しました。

 

また三菱重工の名古屋では、2002年に小牧南工場で自衛隊の戦闘機などの点検・修理作業中に配線が切られなどの事件が9件発生しました。また2009年にはやはり小牧南工場で修理中だった自衛隊のヘリの配線が切断される事件もありました。また、名古屋の大江工場では、2015年に民間航空機ボーイング787の主翼の配線が切れているのが発見されています。これらは明らかに人為的ですが、結局犯人は捕まっていません。

 

問題はいずれの原因(犯人、背景、手口など)もハッキリしていない事。仕事に不満な人がいるんでしょうね。この会社、制度疲労を起こしているように思えるのですが・・・

 

2007年には自衛隊のF2支援戦闘機(陸上や海上の敵部隊を攻撃・爆撃する戦闘機)が墜落した件では、機体の点検を行った三菱重工業の作業員のミスというのがわかっています。作業員が若く作業に未熟だったので、配線のコネクタを逆にセットしたと言うことですが、こういう重要なところに逆向きにセットできるコネクタを使うことは、あり得ないと思います。それに、ぬけぬけと作業員のミスにしてしまう(少なくとも外部発表は)会社も、ありえないと思います。

 

三菱重工と言うと、ロケット、ジェット戦闘機、ジェット旅客機MRJ、原子炉、潜水艦・護衛艦・客船などの造船と多くの分野を手掛けていますが、痒いところに手が届いているのでしょうか? MRJの開発では、多くの下請けが入っているとTVで報道していました。下請けが悪いとは申しませんが、その管理・把握が十分に出来ているのか?少し不安を感じます。

 

2016.02.02

続きはこちら

 


米国の「HP」を買収? 懲りないサムスン、ソニーと同じ?

2014年11月29日 | 会社

米国のヒューレット・パッカードはシリコンバレー発祥の老舗企業の一つです。当初は電子計測器が有名で、私も使っていました。その後はコンピューターやその関連機器、プリンターなどの事務機へと事業を広げました。現在ではピーク時より売上は減少していますが、年間の売り上げが約13兆円の大大企業です。

 

創業の電子計測器は、現在「アジレント・テクノロジー」という会社に分社化されています。

さらに最近になって、ヒューレット・パッカードは2015年10月に、プリンターとパソコンの会社新「HP」と、サーバーやサービスを行う新「ヒューレット・パッカード・エンタープライズ」の二つの会社にほぼ等分割することを発表しました。

 

週刊ダイヤモンド2014年11月29日号の記事「日本企業の最後の楽園 複合機市場に忍び寄る異変」という記事には、サムスンが分社化されたプリンターとパソコンの会社新「HP」を買収する噂が書かれています。真偽のほどはわかりませんが、事実とすればサムスンはホントに焦っています。

 

私は2013年8月27日付けの「会社は急には変われない その2~サムスン電子~」で、サムスンの日本のメーカーをターゲットにした「2番手戦略」の話を書きました。ターゲットが明確な時は、この「2番手戦略」は有効ですが、マーケットが成熟してくると遠からず行き詰まります。サムスンは思いのほか短時間でその時が近づいて来たようです。

 

また、2013年9月20日付の「サムスンの焦り~時代遅れの複写機合弁会社設立~」では、サムスンがシャープの複写機部門を買収しようとして失敗したことを書きました。その時は、ペーパーレスの時代に複写機?と、サムスンが相当焦っていると書きました。サムスンが、日本メーカーのおいしい所を研究してその果実を取る「日本教科書戦略」も未だ健在なようです。

 

週刊ダイヤモンドの記事には、複合機(複写機とほとんど同じ意味)のピークは2016年で、それから徐々に減少に転じると書かれています。これには私も同感で、新興国で紙消費が伸びない限り、減少傾向だと思います。

 

そのような事業をサムスンが多額の費用をかけて買収するとは信じられない。新「HP」を買収したのち、パソコン部門(昔のCompaq)を中国メーカーに売却するにしても、買収には相当な金額が必要です。ただし、「ヒューレット・パッカードエンタープライズ」の経営者は、片割れの新「HP」が高く売れるので喜ぶかもしれませんが。

 

そういえば、昔ソニーも複写機事業に興味あるのでは?という噂がありました。皆さん、消耗品ビジネスはおいしいと思っているようですが、写真フィルムのようにデジカメが普及すると、消耗品ビジネスも雲散霧消しますからね。

 

最近のサムスンの四半期決算で営業利益が前年同期比60%減のニュースが出ていて、新聞・雑誌は「サムスン凋落」などの見出しを付けています。サムスンは元々の利益がメチャ多いので、マスコミが言うほど業績は悪くないと思っていましたが、新「HP」の買収を画策するとは? 

 

週刊ダイヤモンドの記事が本当だとすると、サムスンも早晩ソニーと同じような状態になるのもそう遠くないと意見を変えました。

2014.11.29

 

「サムスンが米HPに売却」

見出しを見た時、ビックリしました。上記の記事から2年弱が経過し、米HPとサムスンの攻守が逆転していますから。しかし、その見出しも「サムスンが米HPに*事業を売却」というのと「米HPがサムスンの*事業を買収」と二通りがあって、「どっちがホント?」と思いました。サムスンの最近の状況を考えると、サムスンが主導して「米HPに*事業を売却」というのが真相だろうと推測します。

 

それに、「*事業」のところも、同じ新聞に「プリンター事業」と「複写機事業」の二つがあって、「どっちじゃい?」という感じ。売却するのは同じ事業でしょうが。

 

サムスンは現在の主力事業と今後伸びそうな新規事業に注力するために、非中核事業を整理中らしいので、これは真っ当な戦略です。

 

韓国の新聞は9月9日にこの噂を伝えているので、現地では早く噂が流れていたのでしょう。この新聞はサムスンがさらに事業を整理するのでは?と書いています。

 

2016.09.13


日本のIT産業で誇れるのはゲームだけ?

2014年06月10日 | 会社

昔、日本企業がアメリカの著名企業を買収していました。

1989年には、三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンタービルを、ソニーがコロンビア映画を買収しました。1990年は、松下電器がユニバーサル映画を買収しました。

 

 その頃と比べて、今の日本経済は停滞していると言わざるを得ません。この原因として、日本人の購買意欲が低いとか、デフレマインドとか言われています。しかし、その根本的な原因は、日本が新しい成長産業を作れなかったのが主原因と思います。

 

 インターネットに絡む技術やサービス、各種機能は、ほとんどはアメリカから出ています。この現状を見ると、アメリカの力強さを感じます。日本産の技術は、チョロチョロほどしかありません。

 

私の狭い経験で言うと、アマゾンは使い勝手が良いし、 Androidのタブレットも、Googleマップも便利です。

今の日本の状況を見ると、これらに匹敵する新サービスを日本企業が将来作り出せるのだろうか?と思ってしまいます。

 

 一番期待されたソニーも、任天堂のゲームの後追いのプレイ・ステーションですからね。

日本から出たIT産業は、ゲームだけです。

企業がダメなら、旗振り役?の経産省も旗が折れたままですね。

 

2014.06.10