球場を赤く染めて、必死の声援は唸るがごとく。
24年ぶりの優勝を目標にスタートした今年のプロ野球広島東洋カープ。
あれよあれよという間に借金生活にはまり込み、抜け出せないまま夏場を過ごし、秋風が吹く頃には「優勝」の二文字は消えた。
ならばせめてAクラス確保でクライマックスシリーズを戦うか。その夢さえはかなく消えそうな、地元での対阪神3連戦の2戦目。
ひょんなことから招待を受けることになり、センター後方、バックスクリーン横のバーベキュー席に、御一行様28人で陣取った。
以前の広島市民球場では、もっぱら外野席で大騒ぎしながらの観戦が多かった。が、マツダスタジアムではネット裏指定席が多かった。
そのためか、センター後方、テレビカメラがひしめくバックスクリーンの左中間寄り。いささか距離があって選手の顔も表情も定かではない。
但し、座席のすぐ左上にモニター画面が設置されていて、グラウンドから目を離し、そちらに向けば、アップの表情が間近に見られるサービスはある。ただこのモニターは、ワンテンポ遅れて映し出されるため、グラウンドのプレーと少しズレがある。それがまた愛嬌でもある。
次々出される焼肉・焼きそば・お好み焼き。ビールは飲み放題。頬張りながら大名気分の観戦。気分の悪かろうわけがない。
そんな中始まった1回の表、いきなりエースマエケンが阪神に1点を献上。「こりゃまた負けか!」。イヤな予感が頭をかすめる。
なんせ貧打・凡退の山。チャンスは作れど得点ならず。打線のつながりだの、点を取るための戦略など、まるで忘れたかのような淡白な攻撃。
1回2回3回、ゼロ行進を続けた前日と全く同じ負けパターン。面白くもおかしくもない。ついついビールに手が伸びる。
ようやく5回。勝利投手権利を目前にした相手投手の焦りとでもいうのか、投手のマエケンに2塁打を許した。
というか、マエケンの負けたくない気持ちが乗り移ったような打球は、左中間スタンド目の前まで転がってきた。アッパレな闘魂。
貧打凡退の代表格、3番新井が辛うじて三遊間を抜いて同点に。続く空砲ばかりの大砲4番エルドレッドが、レフトフェンス直撃のタイムリーヒット。
何故ここまで、カープのバンキシャ如き試合描写をするか。ここまで言いたいほど、1点が取れない試合が3試合も続いたのだ。
「バッターは何をしとるんじゃ、来年の査定は全員減俸だ!」と吠えたい気持ちを抑えて、歓喜の試合描写になってしまうのである。
カープ、ラッキーセブン。ジェット風船が球場を真っ赤に染めて。
カープのラッキーセブンを迎えれば、「それいけカープ」の大合唱とともにジェット風船が球場を真っ赤に染める。
老いも若きも入り混じって、思い入れ選手のユニフォームを身にまとい、声を枯らすカープ女子。
こんな熱烈なファンの気持ちに応えるのは何か? 選手にはもう少し真剣に考えてもらいたい、と言いたくなる。
マエケンと中崎の踏ん張りで投手戦を制したから、帰りの足取りは軽かったが、投手戦というよりまるっきりの貧打戦でもあった。
歓喜のバンザイ! 勝利の瞬間!
負けが込むとすぐにそっぽを向きたくなるアタシのようなファンは、本当のファンとは言わないのかもしれない。
負けても負けても、つまずいてもころんでも、最後まで応援するのが真のファンと言えるのだろう。
もしもこの中に孫の悠雅君が入っていれば、勝ち負け関係なく、神にささげる祈りの如き、熱い熱い声援を送り続けるに違いない。
目下そんな心配もないだけに、負け続けるカープに愛想尽かしをしながらも、横目で勝敗の行方を追ってしまう淋しいファンでもある。
昨日の勝負、勝つには勝ったがスッキリ感が乏しい。むしろモヤモヤが大いに残る勝ち試合だった。それでも勝ちは勝ち!!
また今日も、スッキリ勝ちに期待をかけるとしよう。今日はテレビ観戦だ。
勝ったら良いと言うものでもないのですね。
「勝ったから良かったね」
「勝ってもあれじゃあダメ。バッティングコーチを変えんとダメ」だと言っているのを聞いて「何で勝ったのに」と思ったけど、やっぱりそう言うものですか。
今日の試合は勝って良かったと言えますかね?
一度で良いので、バーベキュー席で観戦したいな。
特にこの時期、勝つしかない状態の中で勝ったのですから、文句はないはずなのですが・・・。
残り試合を全部勝つつもりで戦うのなら、それなりの力強さを見せて欲しい、ということでしょうか。
相手が強くなかったから勝つのではなく、強い相手にブチ当たってでも勝ち切る姿勢。これをファンは欲しがっているのです。
ファンというのは、ある意味貪欲で残酷な部分もありますね。
寝そべって観たり、食事形式のテーブルがあったり、今回のような団体さんで焼肉しながら観戦したり。
世の中随分楽しくなってます。