硬くて荒い土の中から、針のような細~い青い芽を出し始めたのは10月半ばであった。
「ずいぶん早くから春を待つ支度をするもんだね~」と感心したのを覚えている。
針の太さが徐々にふくらんで、暮れには爪楊枝の丸さに。そして年が明けたあの寒さの中でグングン伸びた。
その確かな成長は、まるで受験生が最後の追い込みで、それまでに蓄えてきた力を一気に吐き出す勢いに似ていた。
同じ水仙族でも、ラッパ水仙などはとっくに咲き始め、終わりに近づくころに、やっとこのイトスイセンは尖った先穂が膨らんできた。3月初めにチラホラちっちゃな花を見せはじめた。その後まもなく、温かさも手伝ってた一気に満開へ。狭いに庭にひしめくように咲き競う、幸せを運ぶといわれる黄色い花。
受験生の全てがこのイトスイセンのように、時期が来たら見事に花開くというわけには行かなかったろう。
イトスイセンの芽生えとほぼ同じ時期の昨年10月初めにスタートした同窓会幹事会。
あれこれの実務と並行して水面下の努力をしながら、4月3日の本番に備えてきたのだが。
時期が来たら、幸せの黄色い花をあふれんばかりに咲かせるイトスイセンと同じにはならなかった。
3月15日の返信ハガキ締め切時点で、約30数人が音も沙汰もなし。もちろん参加者も決して伸びない。
その後昨日までの10日間でやっと8枚ばかりが追加で届いた。その間の出席率は3割強。
そして今朝は、東京在住の出席予定者から電話が。「何人くらい出席?」「今回はちょっと少ないんよ」「いいよいいよ、懐かしい友の顔を見に行くからよろしく頼むよ」。イライラやガッカリばかり募らせてはいられない。こんな仲間もいてくれるのだから。
兎に角、数が勝負ではない、中味だよ……と自らに言い聞かせ、当日の演出をあれこれ練っている。
イトスイセンに背中を押されながら、5時間を如何にプロデュースするか。自分も楽しみなってきた。
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