街区公園以外の公共施設は何にもない78世帯が寄り添う我が住む団地。輪番制で回って来るたった1年の自治会長役。何も語らず、決められた二つ三つの活動をこなせば1年などあっという間に過ぎて役目は終わる。
そんな中で敢えて火中の栗を拾うような役目を買って出た「自治会事務所」という名のミニ集会所建設構想。やるべきかやらざるべきか。考えたのだったか、お役を引き受けた時はすでに「やるべき」と腹をくくっていたのだったか。兎に角1年という月日があっという間に過ぎたような、あれこれ悩み、動き、勉強させられる日々であった。ある意味ではとても充実した1年でもあった。
そうして過去の紆余曲折を踏まえて、自治会館とまでは行かない、わずか14人が集まって会議が出来る「自治会事務所」を完成させたのが今年の3月20日。あれから2カ月。役員会などの事務所として使う以外の「カルチャー教室第1号」が5月末日の今日開かれた。
昨年度の役員として共に1年間を過ごした若い女性が「自宅で作るパン工房」という教室を催したのである。わずか3人の講習会であった。でもこれでいいのだ。というか、この講習会が、カルチャー教室が、徐々に広がって、我が住む自治会の中で生活を楽しむ場を創出すること。これこそが当初の自治会事務所建設の目標の全てなのである。彼女の勇気と努力に敬意と拍手を贈りたい。
本当は、この手で第1号カルチャー教室を立ち上げる準備はしていたのだ。あいにくのコロナに押されて少しの遠慮や躊躇があった。でも目的を理解して先鞭をつけた人がいてくれたことに、苦労の全てが吹っ飛んだ。やっぱり人間の世界は面白いものだ。