手軽に登ることができる文室山は余呉湖から行市山へのコースの途中のピークで、山頂にはブナが並び立っていて気持ちがいいのだが、塩津側へ立派な道が下っているのが以前から気になっていた。
この区間では権現坂は塩津側を歩いているものの北側の集福寺越は歩いていないので、今日小雨が降り続くなか二つを一気に片付けておこう。
近江塩津駅すぐ北側から線路をくぐり谷に入り、右岸尾根へ取り付くと立派な山道があって幸先がいい。
尾根は山畑跡があり山道がのびて途中までは快調であったが、藪が出てきてけものみちを伝って送電線巡視路へ出る。
これが山頂まで延びているのだが、晴れていれば二つの鉄塔では展望が楽しめそうだ。
ブナの木の下で遅い昼食を食べると元気も出てきて、天候は回復しないが予定通り集福寺越までササの尾根を枝払いやテープ付けをしながら北上し、峠道を集福寺へ下ることにする。
地形図の表示通り下り始めてすぐに北隣の谷へトラバースし尾根を乗っ越した後は鬱蒼とした自然林の苔むした谷をひたすら進むのだが、谷は岩で埋まり道はほとんど残っていない。
炭焼き窯跡が次々と現れ、杉林となると谷幅が広がり階段状の山田跡が林道へ出るまで延々と続く。
北隣の谷もそうであったが、集福寺川源流域の山田の多さは半端ではなく、旧街道峠下の古層のむらの往時を想うのは楽しい。
林道へ出て式内下塩津神社へお参りし、集落を抜けて国道へ出て塩津駅へ向かう。
塩津神社は塩津湊にあり、時間があれば足を延ばしたい歴史のまちなみであり、道の整備を進めてトレイル例会でも取り上げたいコースのひとつ。
トレイルは山や峠をつなぐだけではなく古層のむらやまちもつないでいきますので乞うご期待。