写真は、市川クラブで水圧検査に合格したことを示すプレートです。市川では二年ごとに(つまり隔年で)現用またはその予定のボイラについて常用の1.5倍の圧力をかけて安全検査を実施しています。このテストに合格しない機関車は絶対に走れません。規制緩和が盛んな現在ですが、こと安全に関する点ではナンセンスです。
実際にはどうやるか、ご存じの方も多いでしょうが、一応市川としての方法をご紹介しておきます。
まず安全弁を抜いてボイラにいっぱいまで水を入れます。次に安全弁の取り付けネジの片方をプラグで密閉し、もう片方にアダプタを介して圧力計を装着します。
さらに、各種のコック、弁を固く閉めて漏れのないようにします。以上の準備が整ったら送水ポンプ(小さい井戸、あるいは大きな水鉄砲のようなもの)からボイラに送水してやります。すると圧力計がスイーっと上がっていきます。kg読みでいくと、常用5kg、試験時7.5kgが最も多いパターンです。
既定の圧力に達したらポンプの開閉弁を閉め、ボイラ内を所定の圧力で密閉します。このまま放置して圧力が下がらなければ合格です。しかし、現実はなかなかそうはいってくれません。たいていの機関車が思わぬところから漏れが出て対策を迫られます。その場で対処できれば再度受けなおして合格を得ることができますが、いったん持ち帰って修理となるカマもたまにあります。
つまりこの水圧検査は単に圧力保持の能力を確認するだけでなく、圧のかかる全般についての影響調査にもなっているわけです。わたしのB20君も検査のたびにバルブの不良があったりシーリングが不十分だったりして(ボイラを下すほどの大事には到っておりませんが)手直しをすることがあります。
走り装置は、走っているうちに不具合が顕在化しますが、ボイラ関係はなかなかそれが見抜けないのでこの水圧検査は非常に有効かつ必要な検査であるといえます。
検査に合格すると上記写真のプレートが発給されますので、これを機関車のどこかよく見える場所に固定しなければなりません。わたしの場合はキャブの側板にネジ止めしています。ちょっと見ると何かの銘板のようで、ディテールアップにも若干貢献しています。
どこのクラブにも所属せず、個人で活動しておられる方は、検査の機会がありませんから、ご自分で送水装置を作って検査されるか
小型蒸気機関車製造者協会(当クラブのほか、OSさんや動輪舎さんなどメーカーも加盟)にご相談されるのがよろしいでしょう。
交通標語みたいですが、安全は自分たちで守り、育てるものと思います。