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明智恭介の奔走 今村昌弘

著者の本は5冊目だが、本書はこれまでに読んだ4作品とはかなり違った内容で、著者の幅広さを強く感じた一冊。ストーリーは、大学のミステリー愛好会の2人組が日常のちょっとした謎を解くコージーミステリーの王道のような内容に、本格ミステリーっぽい緻密な推理と古典的名作ミステリーへのオマージュで味付けされたもの。5つの短編全て色々な仕掛けがあって面白かったが、一番強く印象に残ったのは、大学近くの寂れつつある商店街の老朽化した建物が市場相場よりも高く売却された謎を追う一編。コナンドイルの名作の亜流と思いきや、「そうきましたか」という意外な展開にしてまんまとはめられてしまった。著者の色々な作品をこれからも読んでいきたいと期待が膨らんだ。(「明智恭介の奔走」 今村昌弘、東京創元社)
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