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ブラックホール戦争 レオナルドサスキンド

オンライン講義の講師の先生が薦めてくれた一冊。宇宙論の科学者自身が書いた啓蒙書だが、とにかく難しくて途中で何度も読むのをやめたくなったが、最後は意地のような感じでとりあえず読み終えた。内容は、宇宙論のカリスマ、スティーブホーキンス博士が提唱した「ブラックホールに取り込まれた情報は消滅する」という仮説に反論し続けた著者の経験談、宇宙論研究の歴史解説、著者が研究を続けてきた中で出会った研究者達との交流の3本立て。ホーキンスとの戦いについては、ホーキンスが神格化されてしまっていることにより無条件で彼の言い分を信じてしまう取り巻き科学者への苛立ちが生々しく描かれている。また、ホーキンスの前で反対意見のプレゼンをして彼の反論を聞きたいと思っても、病気が進行してしまっている彼とのコミュニケーションの手段が限定されていて7〜8分待っても返ってくるのは単語2つだけとか微かに読み取れる表情のみという理不尽さ。結局は、著者自身の必死の研究や別の研究者の援護射撃によって著者に軍配が上がったようなのだが、その辺りは正直言ってあまりよく理解できなかった。ホーキング自身は、自分の間違いを認めて修正するような発言をした後「この論争に勝者敗者はない」と付け加えるなど、人間ぽいというか往生際が悪かったらしい。理解できなかったのは、著者が勝利したポイントとなったと述べる「ブラックホールの相補性」「ホログラフィック原理」「反ドジッター空間」「ひも理論」といった概念。「相補性」というのは「粒子でもあり波でもある」という光の二面性を説明するときに使われる言葉だが、それがどのようにこの話と関係してくるのかわからなかったし、近年のひも理論の研究が著者の援護射撃になったという部分も、ひも理論については大昔にブルーバックス一冊を読んだだけという自分にとっては謎だらけ。色々勉強し直してから読み返してみたら少しは理解できるようになるかもしれないが、どんなに頑張っても無理かもという気もした。(「ブラックホール戦争」 レオナルドサスキンド、日経BP社)
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