落語家9名に、落語家になったきっかけ、師匠との関わり、日々の心がけ、演目に対する思いなどを聞いたインタビュー集。ちょうど10年前に刊行された本。10年前の落語界のことをよく知らないので、どういう人選なのかはよくわからないが、落語を古典芸能として師匠の演じたものを忠実に再現するだけの落語家ではなく、創作落語や古典落語を大きくアレンジして演じたりしていた落語家が選ばれたようだ。10年経った今も人気の落語家が並んでいるので、この10年の流れは、そうした落語家が牽引してきたということなのだろう。インタビューの内容については、「あの時の○○という演目は良かった」などと見ていない人には何のことだか分からないものとか、落語の内容を知らないと質問の意味そのものが分からない質問とかが多くて多少イライラする部分もあったが、それでもこの落語家のこのお題を聞いてみたいという気になる情報満載で、これからの落語鑑賞の手引きになる情報がたくさん得られたので良かったかなと思う。(「この落語家に訊け」 広瀬和生、アスペクト)