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神社崩壊 島田裕巳

昨年末の富岡八幡宮事件について書かれているようなので読んでみた。本書は、神社の宮司という地位を巡る猟奇殺人事件の顛末から、その背景にある全国一万を超える神社が抱える深刻な問題に至るまで、広範囲にわたる日本の宗教界の暗部を分かりやすく解説してくれる。驚いたことに、富岡八幡宮と同じような「神社本庁との軋轢」という問題が、日光東照宮、明治神宮、日吉大社(日枝神社、山王神社)、宇佐八幡といった錚々たる日本中の神社にも存在するという。これを読むと、神社に行ってお賽銭を入れたりお祓いをしてもらったりしても、そのお金が一般人以下のモラルしかない神社の関係者の遊興費になってしまうということが分かり、神社と関わることが虚しくなる。また、伊勢神宮を頂点とする現在の「神社本庁」という権威構造、ヒエラルキーの矛盾が今後「神社」という存在そのものを危うくするかもしれないという本書の意見も衝撃的だ。多くの点で考えさせられる一冊だ。(「神社崩壊」 島田裕巳、新潮新書)

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