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ロボット・イン・ザ・ガーデン デボラ・インストール
書評誌で絶賛されていた本署。その書評誌でこれだけ褒めちぎられているのは珍しいと言えるほどの絶賛振りにやや困惑しながらも、とにかく読んでみることにした。読み終わった感想は、話が面白い上に、とにかく主人公のロボット「タング」が可愛いということだ。表紙に書かれたロボットの可愛さもさることながら、全編を通じた「タング」の行動や発言一つ一つが何とも言えずに微笑ましい。その理由は単純明快で、その行動や発言が「赤ん坊」「幼児」「子猫」といった可愛いものの代名詞のような存在を想起させるからだ。作者自身も、新生児を育児しながらこの作品を執筆したと明かしている。要するに育児の体験をそのままあるいは形を変えて、主人公のロボットに投影させたのだろう。育児をしながら執筆した本といえば「ハリーポッターシリーズ」を思い出すが、同じ「育児をしながら」でも、これほど違う作品を生み出す原動力になるのだなぁと感心した。ものすごい事件に巻き込まれるのだが、その悪役も何となく間抜けであっさりしている。世界を駆け巡る主人公たちが「東京」に立ち寄る章では、世界から「東京」ってこう見られているんだということが判ってうれしくなった。掛け値なしで、本年の忘れがたい1冊の1つだと思う。続編を執筆中とのこと、翻訳で読めるのは何年先になるか判らないが、気長に待ちたい。(「ロボット・イン・ザ・ガーデン」 デボラ・インストール、小学館文庫)
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