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放浪探偵と7つの殺人 歌野晶午

最近まとめて読みだした著者の短編集。作者の短編集は初めてなのでどんな感じなのだろうかとか、題名には7つの殺人とあるが、目次をみると短編が8つ収録されていて、ここにも何か作者のトリックのようなものがあるのかなどと思いながら読み始めた。読んでいくと、全ての短編に同じ人物が「探偵役」として登場する。その探偵役の主人公が大変奇妙で、名前は同じで、推理の見事さも共通しているのだが、職業とか登場の仕方がどれもばらばらで、とても同一人物とは思えないような描かれ方をしているのが面白い。特に気に入った作品は「水難の夜」だ。トリックの斬新さもさることながら、後になってわかる人を食ったような語りの面白さ、これは短編ミステリーの傑作だと思う。(「放浪探偵と7つの殺人」 歌野晶午、講談社文庫)

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