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チョコリエッタ 大島真寿美

小品だが、香り立つ作品だ。小さい時に母親を亡くした少女が、一緒に育った愛犬を亡くすところから始まる物語は、主人公の喪失感のようなものが、読む人の心を強く揺さぶる。解説を書かれた人は「号泣した」と吐露しているが、こちらの心情次第では、本当に胸に刺さるのではないかと思われる。フェデルコ・フェリーニの映画作品のからみも印象的で、この先、フェリーニの名前を見るたびに思い出すのは、ひょっとすると彼の監督作品ではなく、この作品なのではないだろうか感じる程のインパクトだ。この作者の作品は、どれも本当に素晴らしいと感じる。(「チョコリエッタ」 大島真寿美、角川文庫)

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