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用もないのに 奥田英朗

2012年03月07日 | 読んだ本

著者のエッセイはこれで3冊目。帯に「脱力度120%のエッセイ」とあるが、その「ゆるさ」にも段々慣れてきた感じがする。内容は、スポーツ観戦や行楽地訪問に関する紀行文集だが、著者自身の観戦している試合や行楽地に対する思い入れがごく普通で、強い気持ちがあるわけではない、というのが「脱力度120%」の正体だ。野球の試合を見ていても、寒くなってくると「早く帰りたい」ということばかりが書かれているし、四国のお遍路さんの体験記でも「車に乗れてラッキー」という感じだ。数年前に大盛況だった「愛知万博」などは、著者の恰好の餌食になってしまっている。それにしても、富士急ハイランドにある世界一の絶叫マシンに55歳までという年齢制限があることを本書で知った。今年の10月までに行かないと年齢制に引っかかってしまうということだ。だからといって、そうなる前に行きたいという訳でもないが、「もう乗れません」と言われると逆に乗りたくなるんじゃないかと思う。(「用もないのに」 奥田英朗、文春文庫)