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中途半端な密室 東川篤哉

2012年03月04日 | 読んだ本

人気作家の最新短編集だが、収められた5編のうち4編が作家がプロ作家としてデビューする前の作品とのこと。人気にあやかって急遽編集されたということなのだろうが、読者としては大変ありがたい企画だ。本書を読んで驚かされるのは、これらの作品のトリックの面白さ、語り口の明快さ、あっけらかんとしたユーモアなど、現在人気を博している著者の良さがそっくりそのままでていることだ。良く考えると、トリック自体はそれほど斬新ではないのだが、色々なシチュエーションのなかでそれが新しいものに思えてくるのが不思議だ。(「中途半端な密室」 東川篤哉、光文社文庫)