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おまえさん(上・下) 宮部みゆき

シリーズ最新作。前の2作と同じ上下2冊巻だが、第1作、第2作と段々本の厚さが増していき、本作では第1作の倍くらいの厚さになっている。巻を重ねるごとに登場人物に対する愛着が増して、お馴染みの登場人物の新しい活躍が楽しめるのは良いが、少し語り口がくどくなってきているような気もする。この第3作目では、前2作のように短編がいくつかあってその後に本編が登場するという形式とは逆に、本編があってその後にいくつかの短編が続くという形式になっている。全体を1つの長編ストーリーと考えれば両者に大きな違いはないのだが、本編でミステリーの部分が大方解決して、短編部分がその後の後日談という形式は、本書の内容にピタリと合致する構成になっているのですごいと思うし、全体の構成から細部の語りまでが計算されつくされているようで驚かされる。主人公の少年を始めとする主要な登場人物の行く末も気になるし、本書で新たなスタートを切った登場人物のそれからも気になる。一気に最新作までの3作品を読んでしまったので、次の作品が出るまでには数年かかりそうな気がするが、これからどのような展開が待ち受けているのかじっくり待ちたい気分だ。(「おまえさん(上・下)」 宮部みゆき、講談社文庫)

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