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リチャード・ニクソン サイン アメリカ大統領
ニクソン大統領のサインは、ある意味で、私のサイン・コレクションの原点ともいうべきものだ。入手した順番から言うと最初に入手した大物サインは「サッチャー首相」のサインなので、こちらを原点というのがふさわしいのだが、私に「サイン」というものに対する興味を持たせてくれたのがニクソン大統領のサインだ。本の題名は忘れてしまったが、昔読んだある本のなかで、ニクソン大統領のサインの変遷が写真入りで紹介されていた。その写真では、大統領就任当時のサインははっきりニクソンと読める実に堂々としたサインだったのだが、ウォーターゲート事件後、全く別人のもののようにミミズが一匹這っているようで全く文字かどうかも判らない奇妙なサインに変わってしまっていた。あまりにも激しいサインの変化に驚くと同時に、サインが人の心をいかに反映したものであるかを実感した。そのサインの変化は、ウォーターゲート事件によるニクソン大統領の心の退廃、周りの人々への疑心暗鬼によるものだったのである。その後、サインを集めるようになったが、ずっとそのニクソンのサインの異様な変化ぶりが頭から離れなかった。
このニクソン大統領のサインは実に穏やかなサインである。書かれた時期ははっきりとはしないが、引退後しばらく経ってからのものか、大統領になる前のものかどちらかだと思われる。大統領になったばかりの堂々としたものでもないし、ウォーターゲート事件の頃の奇妙なサインでもない。おそらく大統領弾劾・辞任という激動を経て、完全に政界から引退、ようやく心の安寧を得た頃のサインではないかと思う。このサインは、いろいろな意味で私の本当の「宝物」である。
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