続いて、フィル・エスポジトの兄弟選手である、トニー・エスポジトのサイン。シカゴ・ブッラクホ-クスのキーパーとして、1970年から3年連続でベジナ・トロフィー(年間最優秀キーパー)を受賞するなど、キーパーとフォワードとポジションは違うが兄フィルに負けない記録を残した名キーパーである。前に紹介した、モーリスとアンリのリシャール兄弟、セディン兄弟もそうだが、NHLの選手には兄弟選手が多い。アイスホッケーの上達には、両親のホッケーに打ち込むことに対する理解といった生活環境が大きく作用するからだと思われる。サインは、兄のフィルとは対照的に、どことなくユーモラスな感じがする。
大リーグの往年の名選手を何人か紹介したので、次はNHLの往年の名プレーヤーでまだ紹介していない選手を紹介する。まず最初は、フィル・エスポジトである。彼の通算得点数は717得点で歴代5位である。通算得点500ポイントが名選手の証とされるNHLだが、700得点以上をあげた選手は、これまでに6人しかいない。一方、彼の場合、アシスト数では歴代10位にも入っていない。こうしたアンバランスの理由は、2つ考えられる。1つ目は、その選手が根っからの「点取り屋」で他の選手にパスをするという意識が希薄な場合である。もう1つは、チームメートの同一シフトの選手との力量に大きな差がある場合である。彼の場合、同一チームに、彼以上のスーパー・スター、ボビー・オアがいたことを考えると、後者であることはまずあり得ないだろう。そう考えると、私は彼のプレーを直接みたことはないが、彼が根っからの「点取り屋」だったということではないかと思う。サインは、引退後のサインで時間をかけて丁寧に書かれていることを割り引いても、サインするスペースにぴったり収まるように配慮された非常にしっかりした素晴らしいサインである。
沖縄には1回旅行で行っただけだが、食事の美味しさや自然の良さに触れ、こういう場所に住みたいなぁと漠然と思ったものだ.しかし、本書を読んで考えてしまった。旅行しただけでは、沖縄のゴキブリがものすごく大きいことまでは判らない。安易に、沖縄=楽園という幻想で沖縄に移り住み、こんなはずではなかったと後悔する人も多いとか。ただ面白く読むことも可能な本書だが、「失敗しない沖縄移住」のための解説本としては意外にまじめな本でもある。(「住まなきゃわからない沖縄」仲村清司、新潮文庫)