日本では人間ドックなどの健診がよく行われています。
しかし、コクラン共同計画という多数の研究論文を評価して総合的判断をする国際的なプロジェクトから、健診の効果を疑問視する結果が報告されています(BMJ 2012,345 e7191)。
ランダム化比較試験16件を対象に、成人の一般健康診断の有益性と有害性を評価しています。
健診未受診群と健診群の全死亡、心血管死、がん死のリスクには差はなく、さらに健診群で新規の疾患診断数は増加したものの、罹患率や入院率の低減効果も見られなかったとするものでした。
余計な診断がつけば、さらに精査のための費用や合併症、心配による精神的負担も増えます。
もちろん、これは無症状の人々の集団に対して当てはまることです。
症状がある人は人間ドックではなく、外来を受診すべきです。
また、リスクの有無とその程度で健診の有用性は異なってきますので、一概に言えないことも大切です。
健康についての患者さんのスタンスは多様であり、無症状の場合にどこまで調べることが有用かは個別の判断が重要です。
一人一人の身体的特徴や並存症を評価し、さらに健康に対する意識の違いを総合的に判断して、良いアドバイスができるのは、患者背景を十分に把握した総合系の医師が適しているといえると思います。
今回は以上です、大相撲九州場所は横綱日馬富士が約2年ぶりに優勝しました、後半の横綱白鵬の連敗で辛くも手にした賜杯でした、しかし、北の湖理事長の急死には驚きましたね、大腸癌による多臓器不全だそうです、一時代を築いた大横綱のご冥福を祈りたいと思います、では次回に。
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