ケースで考える呼吸器疾患
慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive pulmonary disease (COPD)の診断は遅れているといわれている。
40パック年以上の大量長期喫煙歴のある患者で常に、COPDの可能性を考慮して診察をおこなうべきである。
では、下記のケースをみてみよう。
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慢性咳を主訴に受診したCOPDプラス肺癌のケース
75才男性、主訴:半年前からの咳。
半年前からの咳、喀痰、労作時呼吸困難にて受診。大量長期の喫煙歴あり。
バイタルサインでは、頻脈や頻呼吸なし。
身体所見上、くちすぼめ呼吸、気管短縮、呼吸補助筋の発達、吸気時の鎖骨上窩の陥凹と頸静脈の虚脱、樽状胸郭、両側呼吸音の低下、心臓最強拍動点の剣状突起下への移動、などあり。
手指ではバチ指あり。
COPDを疑い、胸部単純X線写真とスパイロメトリー検査を施行、確定となった。
「COPD単独ではバチ指はまれ」ということより、胸部CT検査を施行し、肺癌を疑う所見も得た。
肺癌診断が確定した後、手術などの適切な治療を行なった。
現在は、禁煙しており、吸入薬などで外来フォロー中。
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「COPD単独ではバチ指はまれ」などは重要な臨床的叡智であり、クリニカルパールと呼ばれる。
実際、このパールはUCSFのティアニー先生のパール集に記載されている。
上記ケースではまた、COPDに特徴的な身体所見もそろっている。
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徳田安春 | |
医学書院 |
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