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慢性腎臓病の正しい知識

2015-07-25 | 養生訓

今回も「賢く選ぶ百歳長寿の養生訓」よりお送りします。

本題の前に、臨床推論の総論ルールがたった1時間で楽しく完全理解できる、

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「肝腎」は「肝心」と同異義語であり、肝臓と腎臓は大切な臓器です。この2つの臓器は、沈黙の臓器ともいわれ、肝不全や腎不全など「末期の不全」状態になるまで症状が出にくいというのが特徴です。そのため、慢性腎臓病という概念を導入して、早期に予防的介入をすることが勧められています。

まず、慢性腎臓病の定義を下記にまとめます。

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①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか(特に蛋白尿の存在が重要)

②GFR(糸球体濾過量)<60mL/分/1.73㎡

①、②のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する

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ただし、最近の研究では、①が無くて②が「軽度」のみある高齢者の場合には、その後の腎障害の進行をあまり認めないケースが多いことが判明してきています。そのような場合には、あまり心配する必要はないので、かかりつけ医に相談してみましょう。

 

慢性腎臓病の主な治療法について下記にまとめます。

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(1)生活習慣を改善する:喫煙は慢性腎臓病の確かなリスク因子です。飲酒に関しては適正飲酒量(日本酒1合以下)が望まれます。また日本では男性において肥満が末期腎不全の相対リスクを高めることが示されています。

(2)血圧を下げる:降圧目標は130/80mmHgです。家庭血圧を重視し、2~3ヶ月かけてゆっくり降圧します。ACE阻害薬、あるいはARBが第一選択となります。ただし血清クレアチニンの上昇や高カリウム血症に注意する(クレアチニン値が前値の30%以上あるいは1mg/dL以上の上昇がみられる場合は減量か中止を検討します)。すでに腎機能が中等度以上に低下した慢性腎臓病では低用量から慎重に開始します。尿蛋白が1g/日以上の場合125/75mmHgが目標であり、尿蛋白0.5g/日未満を目指します。

(3)その他:糖尿病は慢性腎臓病および血管疾患の強い危険因子であり、糖尿病性腎症における血糖コントロール目標はHbA1c 6.5%未満です。

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しかしながら、高齢者や体力が低下しているひと、多臓器に病気のあるひとの場合、血圧や血糖のコントロールを厳しくやりすぎると、薬剤の合併症が増えて危険です。治療目標についてもかかりつけ医に相談しましょう。

では、「賢く選ぶ百歳長寿の養生訓」より、慢性腎臓病の心得3ヶ条をお示しします。

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第1条:慢性腎臓病は腎機能・尿所見の評価法である推算GFR(糸球体濾過量、eGFR)が用いられるようになり、早期発見ができるようになった。

第2条:慢性腎臓病は心血管疾患の危険因子でもあり、心血管発症予防のために複数の治療法を組み合わせて受けることが重要。

第3条:慢性腎臓病治療では降圧目標は130/80mmHgであり、同時に食事療法、禁煙指導など生活習慣を改善することがカギ。

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今回は以上です、話変わって、台風12号が現在沖縄本島の北部をかすめながら北上しているようです、九州地方の方はこれからの情報に注意して下さい、それと、台風の影響で関東甲信越では異常高温注意報が出ているようです、こまめな水分補給をお忘れなく、では次回に。

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ドクター徳田安春の養生訓―元気な100歳をめざせ
徳田安春
西村書店

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