昏睡状態の患者の瞳孔異常は局在診断および予後診断に有用である。
強い光を用いて対光反射の有無を診察するべきである。
拡大鏡（ルーペ）を用いることで裸眼では観察できないような微細な対光反射（縮瞳）を観察できることがある。
Horner症候群の有無もチェックするべきである。
視床下部病変に伴う無汗症は頸部交感神経の支配する領域である顔、頸部、上肢だけでなく、病側の全身で認められる。
この視床下部が障害されている徴候を認識することが重要なのは、この徴候は初期のテント切痕内ヘルニアの最も早期に認められる明らかな徴候の場合がある。
視蓋部病変の時には瞳孔は正中部固定されているか、大きい（5〜6mm）。
この際、瞳孔は光に反応しないが、瞳孔変動や自然に起こる瞳孔のサイズ変動がみられることがある。
鈎回ヘルニアが原因で第Ⅲ脳神経障害が起こる場合には片方の瞳孔が散大し固定されている（光などで変化しない）。
橋出血では、瞳孔は縮小してピンポイント状になるが、拡大鏡を用いることで対光反射が観察されうることがある。
代謝疾患による昏睡においては瞳孔は縮小して小さくなっているが、末期になるまで対光反射は保たれる。
唯一の例外はバルビツール系睡眠薬の中毒であり、この場合に限り対光反射は消失する（瞳孔は固定する）。
重度の低酸素（無酸素）による障害では瞳孔は散大し固定する。
散瞳が数分以上続いているようであれば、脳（中枢神経）の障害は重症であるが、若年者であれば瞳孔が散大し固定した状態が数時間続いた後でも回復することがある。
低体温（症）も瞳孔を固定する。
瞳孔の診察は脳死患者の診察では必要不可欠。
写真：沖縄本島中部、読谷村周辺の風景です。
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