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総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

COVID-19 提言書 その3 地域の皆様へ緊急協力のお願いとロードマップ

2020-05-05 | お知らせ

2020/05/03

2020/05/04改定

2020/08/01改定

COVID-19提言書 その3 地域の皆様へ緊急協力のお願いとロードマップ

 

COVID-19のパンデミックが拡大しています。そこで、提言書3を提出します。そのコンセプトは、「命(医療)か経済」の選択ではなく、両方を守るための『攻めるCOVID-19対策』の出口戦略です。医療界と産業界、行政、学術機関での産官学での取り組みへの提言と緊急協力依頼とロードマップです。中長期的視点から、守りのCOVID-19対応(外出や営業、旅行の自粛など)の継続により、現状の産業界は倒産や失業などの生活苦、新たな健康問題も懸念されます。これらの課題を解決する視点からも、医療界の新たな産業ニーズに対応するために、地域産業界の各得意分野を活かし、安全・安心を確保した上でのCOVID-19対応を依頼する事が必要です。その際、地域の産業と雇用を守る、生活を守る事に少しでも繋がるよう知恵を工夫、仕組みづくりを、全地域をあげて取り組む姿勢と、組織を超えた協力・協働が不可欠となります。地域住民の「医療体制を守りたい」という気持ちを引き出すエンパワーメント戦略、ポジティブなCOVID-19対応が重要です。

 

具体的には、『攻めるCOVID-19対策』で生じる医療界の課題(PPE不足、HCW不足、療養ホテル、在宅療養支援、健康モニタリング、情報管理システムなど)を、産業界における新たな産業ニーズ、機会と捉え、地域の産業界を鼓舞し、攻めるCOVID-19対策の地域モデルとして動員していただく。この活動を通じて、「生活に与える影響を最小限に抑える」戦略展開につなげ、さらに、もう一つの戦略である「医療体制を維持し死亡者を抑える」ことを積極的にサポートする事で、地域全体でのWIN-WINを目指すものです。これらの、医療界と産業界の攻めるCOVID-19対策地域モデルは、国内外で不足する医療資源と事業継続計画にも貢献できます。

 

具体的なロードマップ

 

戦略1:問題の共有(中長期的)

今後、数年間はCOVID-19検査(RT-PCR検査と抗原検査)と感染者隔離を地域の産業として認知する。唾液検体での展開を中心とする。

地域別の実行再生産数を定期的に公開し地域単位で対策を講じる

 

戦略2:産業界におけるCOVID-19予防策の強化(事業継続計画含む)

 

戦略3:医療界における産業ニーズへの積極的参入(産学共同活動) 重点課題

  • 医療資源の供給量・確保量を対応できる仕組みの構築
    • 医療用ガウン *中小企業を中心とした国産ガウンの縫製による大量生産
    • N95マスク(再処理システム含む)*学術機関での開発の事業化など
    • 医療用マスク
    • フェイスシールド *学術機関での開発の事業化など
    • 手袋
    • 手指衛生消毒剤(酒造所開発品と学術機関開発のジェルなど)
    • 検査に必要な物品の確保
    • 医療施設におけるゾーニング支援(資材や施工)
    • 医療施設における感染リスク低減製品支援

(エアロゾル曝露防止ボックスPCR検体採取用シールド、など)

  • 支援ロボットの開発と増産(接触を減らし医療者の感染を防ぐ)
  • サプライチェーンの問題解決(抗菌薬などの医薬品枯渇の予防)
  • 宿泊施設の療養生活施設への提供(自治体や県による空棟の借り上げ)
  • 上記施設の運営のためのサービス支援
    • 遠隔健康観察モニタリングシステムの導入と運用 
    • 送迎システムの構築

(レンタカー、タクシー、運転手など感染予防教育のリスク低減した上での参画)

  • 療養者へのメンタルサポート(エンタメの活用など含む)
  • 潜在医療・介護・福祉人材の活用
  • 診療所・在宅医療からの病院診療支援・検査センター支援・宿泊施設モニタリング支援
    • 診療サポート(オンラインシステムの導入、送迎、緊急時の対応など)

・患者さん向け「体調不良時かかりつけ医相談アプリ」などの開発

・患者さんの検査を検査所に依頼する際のやりとりの改善

 ・発熱外来への診療依頼での診療情報提供書の送付方法の改善

 ・患者さんと付き添い人が移動する手段を各地域で確保

 ・「健康モニタリングアプリ」等の開発・規制緩和

  • 地域内の感染患者の追跡情報の共有(デジタル・サーベイランスシステムとの連携)
  • 保健所業務支援(大阪モデル参照)
    • 接触者追跡システム(引退した有資格医療者の活用)
    • 業務のIT化(行政-医療-産業:全プレイヤーのIT化・電話やFAX連絡を減らす)
  • 医療従事者サポート

① メンタルケア、バーンアウト予防や離職予防

② COVID-19についての最新の医療情報の提供

  • 市民啓発活動支援

 

戦略4:二次的健康被害の予防(ライフサイクルに応じて対応)

  • 妊婦・里帰り分娩など強化
  • 子ども:学校保健の強化 食事サポート 学業サポート 予防接種対策
  • 学生:教育機会の継続のための遠隔授業・遠隔グループ作業・動画コンテンツの制作
  • 失業者対策(県や市町村の臨時職員とし採用し、増加する業務へ対応、病院支援も)
  • 飲食宅配・テイクアウト事業の拡大
  • 依存症対策(アルコール・タバコ・ギャンブルなど)
  • エッセンシャルワーカーの働き方改善(職業感染予防強化)
  • 高齢者:地域の高齢者の健康管理サポートの強化

(感染予防:買い物代行や受診代行、宅食供給 フレイル予防)

(9)必要時の航空機の乗り方の研究と教育

 

戦略5:第一次産業の構造改革・支援:健康的な食を支える

  • 農業、畜産、漁業などへの政策介入により自給自足率を高める
  • 流通システムの見直し

                                                                                                            

提言者

 

徳田安春 Yasuharu Tokuda, MD, MPH(主提言者)

伊礼壬紀夫 Mikio Irei, MD, COH (Certified Occupational Health Consultant)

崎浜智子 Tomoko Sakihama, RN, PHN, PhD

近藤太郎 Taro Kondo, MD

渋谷健司 Kenji Shibuya, MD, DrPH

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