前回に引き続き、健康長寿は子供から、子供の肥満対策について考えていきましょう。
肥満対策としては、運動とならび、いやそれ以上に重要なのが食事です。 妊娠中、そして子供のときからよい食事環境、よい食習慣をつくることがいかに大切か理解し、実践していただきたいと思います。 それが健康で長寿の大人をつくります。
妊娠中の母親の栄養が不十分だと、生まれてきた子供が成長後に肥満・糖尿病になる可能性があります。 アメリカの医学誌『セル・メタボリズム』に発表されたマウスを使った研究では、妊娠後期にマウスの栄養を30%減らしたところ、生まれてきた子供が成長後糖尿病に近い状態になり、その後成長期に高脂肪の栄養を与えつづけると肥満になることが明らかになっています。 母親は妊娠中から、子供に責任を負っていることを自覚しましょう。
生後4~6ヵ月までの乳児は母乳からの栄養のみで十分であり、できれば1歳まで母乳をつづけるのがのぞましいです。 母乳には、必要な栄養以外にも、赤ちゃんをバイ菌から守る抗体が含まれていて、さまざまな感染症から守っています。 母乳を与える行為自体も「アタッチメント(母子の愛着)」という乳児の発達・こころの安定のうえで大事な意味をもっていることもわかっています。 母乳は子供の健康への最高の贈り物なのです。
砂糖を多く含む果汁100%ジュースを与えるのはできれば六ヶ月以降にしてください。 食事をはじめたら、最初は嫌がるかもしれませんが、健康な食品を与え続けるようにします。 揚げ物やケーキ、ジュースなどは避けましょう。 またこの頃から、子供への食事教育は重要で、食事の時間に「これはおいしくて、身体にもいいのよ」などと、栄養の重要性もさりげなく教えられるとよいと思います。
野菜・果物・穀物類に富む食事を、家族全員に、個別にではなく提供するようにしましょう。
食事の用意を子供と一緒にする時間をつくりましょう。 子供はお手伝いできることを楽しみ、健康な食事やそのつくり方、たとえば、調味料はどのくらいが適量なのかということなどを学ぶことができるでしょう。
仕事の関係などで、現代社会では家族全員が決められた時間に食事をするのが困難であるかもしれません。 しかし、家族が食事を一緒にすることは、その日一日の出来事を語り合う、生きるうえでの基本的な営みで、心身ともに栄養補給をする大切な時間です。 週に何回かでも、できるだけそうした時間をつくるよう心がけましょう。
今回はこの辺で、次回も子供の肥満対策について考えていきましょう。