みなさん、こんにちは。
レジデント:両方の質問票の陽性尤度比を「乗」じて(掛け算の結果のこと)、利用してもOKでしょうか?
徳田:それはいけません。
なぜなら、PRIME-MDは2項目がPHQ-9の項目にすっぽり含まれているからです。
尤度比をそのまま掛け合わせてもよいという前提は、検査が「互いに独立なとき」だけでしたね。
レジデント:わかりました。
ピットフォールですね。
では、PHQ-9 (スコア ≥ 10)の陽性尤度比を約6程度としてやってみます。
そうすると、検査後確率は下記のノモグラムで示すように40%となります。
レジデント:結果は、大うつ病の可能性はかなりあり、ということですね。
徳田:そうです。
ただ、スクリーニング診断が「大うつ病または気分変調症」の場合の、特性をみてみましょう(表)。
表:大うつ病または気分変調症の診断のための各質問票の操作特性
対象:成人 陽性尤度比(95%信頼限界) 陰性尤度比(95%信頼限界)
PHQ-9 (スコア ≥ 10) 5.9 (4.2-8.3) 0.29 (0.23-0.38)
レジデント:「大うつ病または気分変調症」に対する陽性尤度比も約6なのですね。
最終診断はどうすればよいのでしょうか?
徳田:これはもうやはり、正式な診断のための医療面接(半構造化診断面接でも可)ですね。
他の疾患の診断と同じです。
レジデント:了解しました。
医療面接でナラティブな側面も診てみます。
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最終診断と推奨:大うつ病または気分変調症の疑い
医療面接
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レジデント:長い間、ご指導ありがとうございました。
今後の臨床でもこのエビデンス診断を活用していきます。
徳田: また会いましょう!
写真:沖縄本島中部、読谷村の海岸
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